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後ろのメリーさん  作者: 10.bi
Life
20/34

2.3

「それで、本当は何をしているのかしら?」

「本当は? いや、言った通りのことをしているよ」

「親のすねかじりと学生、ばいとを?」

「そうして一括りにするとおかしく感じるね」

 一括りにするとどうだろう。不思議なことに、親のすねかじりが存外まともな物に見えてくる。

 苦笑交じりに言うが、メリーの表情は変わらない。

 何をしているのか。その答えの正否を確かめようとするメリーにとってしてみれば、仲間外れはどうでも良い問題だ。そしてメリーが仲間外れを指摘したとなれば、それはアルバイトとなっただろう。それだけは何か分からない。少女の話とは無縁な言葉を知る由もない。

 

「学生なら、いつ学校に?」

「気が向いたときさ」

 ただ今日は気が向かなかったようだ、と肩を竦めた。

 メリーははて、と首を傾げた。アルバイトと同様にまた、学校と云う物を知らないのかもしれない。同じ名前を持っているだけで意味する物が違うのか。例えば端と箸とか、そうした違いがある物と思い、早苗は学校の話をやめてしまう。

 今日はいかなくても良い。そう決めてしまえるようになることを、メリーは知らなかった。

 三つのうち、残った分かる物はすねかじりだけとなる。残る二つにクエスチョンマークを付けたいま、何か分かる物が一つあることは、確かにおかしく感じる。一括りにするのにおかしな物とは、こう云うことか。メリーは首を傾げるが、そう云うことではないだろう。

 

「それで、ええとね」

 メリーは尋ねることを考える。

「ええと、どのようにすねをかじっているのかしら?」

「学校に行ってないというのに、毎月振り込んで貰っている」


 わけの分からない質問と思い、早苗は頭を掻いた。

 責められているわけではない。だと云うのに歯がゆく、どこか申し訳ない。

「この話は止めだ。終わりにしよう」

 ぶんぶんと腕を振るい、早苗の追及を免れた。

 

「どうした、急に物を尋ねて」

 昨夜尋ねていたのは早苗であった。形勢逆転した理由は何か。

「私が尋ねるのは、メリーが全くの未知だからだよ。メリーに尋ねる理由はないだろう?」

「いいえ。しっかりとした理由がある」

「それは何?」

「私はこの通り、全くの無知だから」


 飯を食べるのにこんなにも時間が掛かってしまう。そう言い、ようやく茶碗を空にして言った。トン、とテーブルの上に茶碗が置かれた。

「アイマスクを付けるわ」

「その間に洗い物を済ませるよ」


 言って席を立つ。

 それを引き留めるように音が鳴る。携帯の着信音が一つ、部屋に響いた。


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