2.3
「それで、本当は何をしているのかしら?」
「本当は? いや、言った通りのことをしているよ」
「親のすねかじりと学生、ばいとを?」
「そうして一括りにするとおかしく感じるね」
一括りにするとどうだろう。不思議なことに、親のすねかじりが存外まともな物に見えてくる。
苦笑交じりに言うが、メリーの表情は変わらない。
何をしているのか。その答えの正否を確かめようとするメリーにとってしてみれば、仲間外れはどうでも良い問題だ。そしてメリーが仲間外れを指摘したとなれば、それはアルバイトとなっただろう。それだけは何か分からない。少女の話とは無縁な言葉を知る由もない。
「学生なら、いつ学校に?」
「気が向いたときさ」
ただ今日は気が向かなかったようだ、と肩を竦めた。
メリーははて、と首を傾げた。アルバイトと同様にまた、学校と云う物を知らないのかもしれない。同じ名前を持っているだけで意味する物が違うのか。例えば端と箸とか、そうした違いがある物と思い、早苗は学校の話をやめてしまう。
今日はいかなくても良い。そう決めてしまえるようになることを、メリーは知らなかった。
三つのうち、残った分かる物はすねかじりだけとなる。残る二つにクエスチョンマークを付けたいま、何か分かる物が一つあることは、確かにおかしく感じる。一括りにするのにおかしな物とは、こう云うことか。メリーは首を傾げるが、そう云うことではないだろう。
「それで、ええとね」
メリーは尋ねることを考える。
「ええと、どのようにすねをかじっているのかしら?」
「学校に行ってないというのに、毎月振り込んで貰っている」
わけの分からない質問と思い、早苗は頭を掻いた。
責められているわけではない。だと云うのに歯がゆく、どこか申し訳ない。
「この話は止めだ。終わりにしよう」
ぶんぶんと腕を振るい、早苗の追及を免れた。
「どうした、急に物を尋ねて」
昨夜尋ねていたのは早苗であった。形勢逆転した理由は何か。
「私が尋ねるのは、メリーが全くの未知だからだよ。メリーに尋ねる理由はないだろう?」
「いいえ。しっかりとした理由がある」
「それは何?」
「私はこの通り、全くの無知だから」
飯を食べるのにこんなにも時間が掛かってしまう。そう言い、ようやく茶碗を空にして言った。トン、とテーブルの上に茶碗が置かれた。
「アイマスクを付けるわ」
「その間に洗い物を済ませるよ」
言って席を立つ。
それを引き留めるように音が鳴る。携帯の着信音が一つ、部屋に響いた。




