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後ろのメリーさん  作者: 10.bi
着信アリ
17/34

1.17

「布団はどうしようか?」

 布団を部屋に敷きながら、早苗は尋ねた。

 部屋に布団は一つしかないし、代わりになる物はなかった。もしも相手が客人ならば布団を譲っただろう。これから同居人となるメリーにはどうした物かと思い、早苗は尋ねた。

 

「そうね、私は左を向いて寝るから、左が良いと思う」

「何の話をしている」

「布団のどこに身体を置くかと云う話。違った?」

「……いや、それで良いか」


 返事を待たずして布団に倒れ込むメリーに、早苗は頷いた。

 どちらかが布団の外で寝るよりは、これが良い。

 メリーは掛け布団を被り、膨らみを作る。行動は子供のようだ。人形と云うより妹ととれる行動に、早苗は苦笑する。

 

「アイマスクを付けたままは寝づらいだろう。私が付けるよ」

 メリーの寝相の良し悪しは分からない。それよりは信用できる寝相に早苗が提案すると、メリーは嬉しそうに了承した。アイマスクの付け心地に慣れない物があったのだろう、すぐに黒色を投げ捨てる。顔を隠しているのを良いことに、アイマスクを外していた。

 床に落ちたそれで目を多い、早苗は布団に入る。そして布団に入った途端、メリーはねえ、と声を掛けた。

 

「夜を語り明かしましょうか」

「それは、恋バナでもするつもりかい?」

「いいえ。お互いのこと、よく知っておきたいでしょう?」

 お見合いね、と早苗は頷く。

 確かにメリーの言う通り、メリーについて知っておきたいことはまだある。

 人形であったこと。都市伝説であること。目を合わせると死ぬこと。

 メリーに聞かされたこと、分かったことは、まだ彼女の一部分にも満たないだろう。着信に名前を映した件について聞いていない。どうして番号を知ったかもまた、聞いていない。早苗には尋ねたいことがある。

 しかし――。

 

「ねえ、早苗」

 呼びかけに答える声はない。

「もしかして寝ている?」


 すっかりと疲れていた早苗は、睡眠に落ちていた。

 メリーは不満に頬を膨らませる。

 ぶうと膨らませた頬をそのままに、そして考える。

 いつまでこうしているのだろうか。


「……殺すことは出来ないのに、ねえ?」

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