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後ろのメリーさん  作者: 10.bi
着信アリ
11/34

1.11

 家を出てすぐに、早苗の疑問は解消される。


 早苗とメリーが外へ出たとき、早苗に近づく影があった。

 それは女性だ。早苗よりも二つばかり年上の女性は、近づくなり久しく会わなかったことを指摘する。そして女性の口は開閉を繰り返す。光沢を見せる口から語られるのは、噂話であった。

 長らく部屋を空けていた理由についての憶測が語られる。それだけで一向にメリーの存在を指摘しないと云うことは、つまりメリーの存在に気付いていないということだろう。早苗は気付き、息を吐く。


 他人に見られないならば顔を合わせることはない。

 それはつまり、メリーの言う通りに死は起こり得ないことだ。

 

 僅かな安堵は、同時にまた悩みを生む。

 他人を巻き込むことがない。それは早苗にとって良いことばかりではなかった。


「ねえ、早苗。早く行きましょう?」

「…………」


 早苗は他人の前でメリーに構うことが出来ない。構ったとすれば異人変人と扱われるだろうことは、簡単に理解できた。だからこそ、面倒と思う。

 また、状況を打破するのが難しいことを同時に理解していた。打破と云うのは、メリーの言うようにこの場を離れることではない。メリーから離れること。平穏の獲得だ。

 メリーは早苗以外の他人に手を出すことが出来ない。そして、メリーに手出しできるのは早苗のみ。これは、解決できるのが早苗のみと云うことを示している。誰かに頼り、例えば押し付けることは出来ない。

 

 どうして面倒なことになってしまうのだろうか。早苗が嘆息を漏らすと、女性が何かと首を傾げた。息を吐き、嘆息まで漏らした。何か合ったのかと気遣いを見せる女性に対し、早苗は首を振るう。

 

「疲れているのでしょう」

 他人ごとにそう言う。

 或いは憑かれているのか。

 在り来たりな文句だが、しかし現実に口に出来る状況になることはまずないだろう。しかし早苗は珍しい一例となっている。そのことを喜ぶわけでもなく、早苗は顔を顰める。

 

「このひとは嫌い。だからね、行きましょう?」

 返事の代わりに小さく首を引き、早苗は別れを告げる。


「先輩、お休みなさい」

 有無を言わせずにただ別れを告げると、ようやく二人はコンビニに向けて歩き出す。

 

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