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私の物語を奪った偽ヒロインへ――本物の結末を教えてあげる  作者: 橋守 六花


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番外編 この世界の未来へ

 カイン国の大聖堂、ステンドグラスから差し込む光が、聖なる空間に華やかさを生む。


 ルーシュ国の王女と、カイン国の王子の結婚式。


 これだけ聞けば、政略結婚だと大半が思うだろう。

 しかし、パイプオルガンの音に導かれ、入場した幸せそうな二人には、その愛の深さが見て取れた。


 リラは深海を思わせる深い青のドレスを身にまとい、次期女王としてデルフィから贈られた銀のネックレスが、胸元で静かに輝いている。

 白いベールが背中まで覆い、リラの白い肌に良く似合う。

 デルフィは紫色に金色の刺繍が施されている長いローブ、腰はベルトに剣、そして肩から深紅のマント。

 王家の紋章があしらわれたブローチは、神々しく輝いていた。


 大聖堂の中にはカイン国、ルーシュ国の王族はもちろん、騎士団長となったアイビーと能力者として貢献しているサキも、侍女として参加している。

 そしてルーシュ国の聖女御一行のスズナとモクセイ、聖騎士としてグラオスも参列し、二人の幸せを願う。


「我、デルフィは、神とこの場に集う証人の前にて誓う。

 リラを我が正しき伴侶とし、いかなる時も守り、支え、共に歩むことを。

 生涯にわたり、その身と心を捧げることを、ここに誓う」

「我、リラは、神とこの場に集う証人の前にて誓います。

 デルフィを我が伴侶とし、喜びも苦しみも分かち合い、共に歩むことを。

 その御手を離さず、生涯寄り添うことを、ここに誓います」

「神の御前において、二人は夫婦となった。

この結びつきを、何人も引き裂くことは許されない」


 静かな大聖堂に響く誓いの言葉、神官の宣言に続き指輪を交換。

 そして、デルフィからリラの手の甲にキスをする。

 二つの国がより強固な友好関係になる儀式とも言える緊張した場面。

 しかし新郎新婦は、満月の下で二人きりの誓いのキスをし、その絆はより強固なものとなっている。


 つつがなく終えた結婚式から、二人は大聖堂の外へと移動する。

 重いドアを開くと、眩しい光が差し込む。

 外には二人を祝福する国民が大勢集まっていた、反対する者は何処にもいない。


 拍手が鳴り止まない中、デルフィとリラは敷かれた赤い絨毯を歩き、国民に応えるように手を振る。

 大聖堂の中にいた参列者たちも外に出たその時。


――ハラリ、ハラリ


 突然二人の周りにピンク色の花びらが舞い落ちてくる。

 それは昨晩リラが導かれた花びらと同じ。

 最初は数枚だった花びらが次第に数を増やしていき、最後は桜吹雪となって、まるで二人を祝福しているように舞い落ちる。


「桜だ」


 たくさんの人がどこからともなく降り注ぐ花びらに驚く中、リラの後ろにいたスズナがぼそりと呟いた。


「ルーシュ城にある桜、なんでこんなところに」


 驚くリラの兄、チューリオの声に応えるように、その正体に確信を持つ声が聞こえた。


「イリスだ……」


 呟いたのはモクセイ、スズナも彼の言葉に大きく頷いた。

 この花はカイン国にはなく、何も無いところから突然降り注ぐなんてあり得ない。

 しかしイリスなら奇跡も起こせるだろうと納得できる。


『これは桜の木、私が大好きな木……そして違う国の言語では、スズナの姓と同じ読み方をするの』


 何より庭の手入れをする際に、教えてくれた思い出。


「きっと、イリスが、祝福してるっ」


 スズナが大粒の涙を流しながら確信し、モクセイも目に涙を溜めて、花びらが降り注ぐ空を見つめていた。


「イリス様……」


 イリスの祝福は、この不思議な現象について、一番説得力がある言葉だった。。


「イリス――絶対リラを幸せにするから」


 桜に誓うデルフィに、リラも彼に寄り添いながら。


「私も、デルフィを、幸せにします」


 そう誓い、明るい未来へ向かう桜に包まれた道を、歩いていくのだった。


遅くなり申し訳ありません、

これでこの話は完結となります。

続編は今の所決まっていません。


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