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桜月

〈桜心〉


桜が咲くと


妖精さんが来るんだって


妖精さんは


うれしさも


さみしさも


かなしさも


たのしさも


みんな連れてきてくれるんだって


だから桜を見ると色んな気持ちになるんだね



〈夢見月〉


君がしたいって言ったこと何でもした


君が行きたいところにたくさん行った


仕事も休んだ


溜めてた有給使えてよかったよ


君が好きなキャンドルが短くなったね


ベッドの横に置いて


いい匂いって笑顔になるんだ


今夜は月が綺麗だね


その灯火が消えない限りは



〈ただいま〉


君が泣いていた


ドアを開けるなり


僕の顔を見て泣いた


僕は君の背をなでた


僕はうれしかった


君が無事に帰ってきてくれたこと


君にまた会えたこと


君は僕を笑顔にする天才だね


僕が君の服の色を少し濃くしちゃったのは


内緒だよ



〈組紐〉


もっと僕が器用だったら


糸をきれいに


結んだりほどいたりできるのにな


切れたり曖昧に繋いだりすることなく


色々な色の糸を


きれいに編んでゆくことができるのに



〈桜石〉


きらきら


朝日に反射する一欠片の宝石


桜の木の枝にも


蜘蛛の巣にも


宝石がたくさんついている


みんなの姿を写している


大きなランドセルを背負う子


自転車で風を切っていく人


中には目の中に宝石を溜め込んでいる子もいる


今にもきらきらと


こぼれてしまいそう


みんな姿を写した宝石


光を含んで今も光ってる



〈想香〉


君が置いていった


ぬいぐるみ


僕の部屋に居心地悪そうに座っている


君の真似をしてみる


もふもふ触っていると


君の匂いがした


いつかこの匂いも消えていってしまうんだろうな


でも一生捨てられない



〈桜吹雪〉


君が消えた


君を探す手がかりなんてない


一緒に住んでいたのにな


僕は何一つ君のことを知らない


君は桜が好きだった


それだけ


もっとちゃんと聞いておけばよかった


君は僕に色々聞いてたね


僕は自分のことを話すのが苦手


ちょっと嫌だったけど


君が正解だったね


微笑むと涙が伝う



〈マーキング〉


僕に染み付いた君の匂い


大嫌いな君の匂い


落としたくてしょうがない君の匂い


君の匂いが落ちる頃には


君がやってくるだろう


君を見たら僕は


おかえりと言って微笑むのだろう


囚われた僕は君のもの



〈碧空〉


君はずっと求めていた


誰よりも高い景色を


人よりも何倍も澄んだ瞳


君はいつも空を見つめていた


高く美しいその景色を


僕はずっと君に憧れていた


清く気高く空に手を伸ばし続けている君に


碧いあおい君に


君は今日も目が合わないや



心水(しんすい)


親の言う通りにしなさい


言われ続けた言葉


わたしは親に言われたことしかできない


ご飯を食べることも


友達と遊びに行くことも


限界になるとわたしは君に話しかける


ぼくがかわってあげるよ


君はいつもわたしを助けてくれる


でも会えない


だからここで伝えさせて


君のおかげで今まで生きることができたよ


ありがとう



〈貝寄せの風〉


風がすき


君が来てくれるから


お墓の前に立つと必ず花が揺れる


今日も君に会いに来たよ


君は儚い人だった


月下美人のように


神様はその美しさに見とれてしまったみたい


明日も会いに来るからね



〈黄昏時〉


一目惚れした


いつもの駅にすごく綺麗な人がいた


毎日来るが初めて会った


あなたは泣きながら改札を見つめる


声をかけると微笑むばかり


ハンカチを渡す


いつもの電車は音が大きく感じた


渡したハンカチは同じ場所にあった


君は薄くなっていた


きのこみたい


伸ばした手は空を掻く


手に水滴がついた


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