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さんがつ

〈せかい〉


学校でぼくの居場所はない


家にもない


ネットになら居場所があると思ってたけど


みんないなくなちゃった


だからぼくはじぶんのせかいにこもった


でももしじぶんのせかいからもおいだされてしまったらーー


ぼくはどこにいたらいいんだろう



〈四つ葉のクローバー〉


ねぇねぇしってる?


四つ葉のクローバーってね


三つ葉のクローバーが踏まれてうまれたたんだよ


だから四つ葉のクローバーの1枚は仲間はずれ


でもね


クローバーは四枚あるから幸運を呼ぶんだよ


そこに存在するだけでいい


君もそう


君がいるだけで意味があるんだよ



〈僕が見えている世界〉


僕が見えている世界は


色がない


線がない


だからいつも寄り添ってくれる君を見ることができない


きみはどんなかたちをしているんだろうね


もふもふしているからねこかな


あったかいからいぬかな


もしかしたらこわい化物かな


それでもいいよ


どんなかたちだっていい


だって君は僕が最初に見る生き物だから


僕はねこもいぬも見たことがない


だから僕が君を怖がることはないから安心してね


いつもありがとう


だいすきだよ



〈げんき〉


信号に引っ掛からなかった


学校の感想用紙でふざけた


数学の問題が解けた


耳が普通に聞こえる


体調がいい


今日は小さなうれしいことがたくさんあった


明日は辛い日なのだろうか


いいことがあったらその先の悪いことを考えてしまう


わたしの悪い癖


今日はげんきな日



〈とり〉


ゆくあてもなくとびつづける


ゆらりゆらり


まよいながらひかりのほうへむかってゆく


ゆらりゆらり


そのすがたはうつくしい


ぼくもひかりにいきつけるかな



〈くらやみ〉


ぼくはくらやみがすきだ


ぜんぶをかくしてくれるから


ぼくのみにくいかおも


ぼくのするどいつめも


ぜんぶみえなくなっちゃう


みんなはぼくのことをこわいという


こわいものがみえなければ


ぼくはみんなといっしょにいられる?



〈ねむり〉


ねたくないけどねむくなる


寝てしまったら明日を迎えてしまう


それでも人は寝なければならない


朝辺りが明るくなっているのを見て絶望する


あぁ今日という日が来てしまったんだな



ねれない


暗い部屋の天井を見つめ続ける


身体はだるくて頭も重い


寝られても朝を迎える前に起きてしまう


あぁはやく休みたい



今日も夜はやってくる



〈羨望〉


僕が僕じゃなければ


あなたは幸せだったのでしょうか


僕がもっと賢かったら


僕がもっといい子だったら


僕がもっと言うことを聞ける子だったら


あなたはもっと幸せだったのでしょうか


ごめんなさい



〈ミク〉


わたしに感情はない


人が指示したように


歌って、踊って、


それが楽しかった


ある人はわたしには自由がないと言った


それでもよかった


わたしは人が指示している間だけは


命が吹き込まれるから


想いを込めて歌って、


ツインテールをなびかせながら踊って、


もっとこの時間が続けばいいのにって思った



ーー 思わないよ


     わたしはからくり人形



想慕(しぼ)


もしあなたが風に乗ってどこかへ行ってしまったらどうしよう


わたしはあなたなしでは生きてゆけない


だからどうか風に惹かれないでおくれ


わたしが風となるそのときまで


それでもあなたが風になってしまうのならば


夜に瞬く星となっておくれ


わたしはぼんやりとした明るい星を見上げるから


きっと、きれいだろうな



〈水〉


きらきら


水面が月の光を受け止めている


じゃぶじゃぶ


わたしが動くとあなたも動く


優しくて


清らかで


澄んでいる


わたしもあなたのようになれたらな



〈よるのまち〉


ふと上を見上げると


葉のない枝の間から暗い青がのぞく


動物の足音に耳をすませる


小さな風の音にも心を驚かす


ぼくはゆらゆらと行くあてもなく


よるのまちを歩いた



〈卒業〉


君が僕の生活からいなくなってしまう


ずっと続くものなんてこの世にはない


そう分かっていても僕は変わるのが怖い


毎日君と会って、話していたのに


僕は明日君に会うことができない


人の関係ほど脆いものはないのかもしれない


君は卒業しても僕と会いたいと思ってくれるだろうか



〈卒業式〉


声を詰まらせながら言う答辞


鼻をすする音があちこちから聞こえてくる


僕は座っていた


きっと今の僕の顔に感情はないだろう


僕は感情が分からない


泣く、笑う、怒る、


そんな単純なことが僕にはできなかった


みんなの感情が理解できない


僕は孤独だった


後ろの保護者席に自分の親はいない


外に行くと一粒の水滴が落ちてきた



〈おひなさま〉


おはよぉ


きょうはさむいわね


あらまた大きくなった?


一年でこんなにも変わるものなのねぇ


何でそんなに落ち込んでいるの?


私がぎゅーして、頭を撫でられたら良かったのに


私はあなたのことが大好きなのに


一年で数週間しか会えないし


私があなたのもとへ行くこともできない


少しさみしい


でも、今年もこうしてあなたに会えて良かった


来年もあなたに会えるかしら?



月夜(つきよ)


あなたを想って


月を眺める


寄せては引く波が光っている


遠くに一隻の船が見える


あなたはもう帰って来ない


だからわたしが逢いにいく


その夜の水はなぜか冷たくなかった


月に向かって歩く



〈もしも僕が死ぬなら〉


もしも僕が死ぬなら


君に一番に会いに行こう


一番落ち着く君のそばで


最後の(とき)を過ごそう


たくさんの楽しい思い出をつくって


笑い合おう



僕は君にナイフを渡した


君は覚悟を決めるように柄を握りしめた


僕は笑顔になった


一番だいすきな人と最後を過ごすことができる


これ以上のしあわせはない


だいすきだよ


聞こえた言葉に


僕は返事をすることが出来なかった



〈朝〉


朝が似合う君


台所に立つ君に


おはよう


と声をかける


君は振り返って


笑顔で挨拶をする


高くも低くもない声で話す君


心地よい君の声を聞くと落ち着く


一緒に支度をして家を出る


朝日に照らされた君は透けていた



〈孤独〉


目を開けると水の中だった


上がろうともがいても上がれない


そんなとき手が差し伸べられた


お母さんの手だった


夢中で掴もうとした


でもその手を掴むことはできなかった


死ぬことを覚悟すると


笑みが溢れた


ぼくは何をしていたんだろう


沈んでゆくからだ


目を閉じる


辺りの眩しさに顔をしかめると


そこはベットの上だった


僕は久しぶりに部屋のドアを開く



雨奏(うそう)


君にはお腹に大きな傷痕がある


僕はその傷痕の理由を聞くことができない


傷痕は君が頑張ってきた証


少し痛々しく見えてしまうけど


その傷痕まで僕に愛させてよ













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