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第九章 最後の封印
神は完全に暴走し始める。
黒い影が街を飲み込み、人々が次々と黒蝕病に侵された。
ステリアは地下牢へと降りる。
だがもはや封印は不可能だった。
神は完全に目覚めようとしていた。
「……ならば……私はこの身ごと封じよう」
彼女は古代の禁忌の儀式を唱える。
“自らを神と共に封印する”──二度と解けない永久の鎖。
「そなたは何故そこまでする?」
神が初めて人語で問うた。
それにステリアが答えた。
「神様……貴方もただの被害者なんでしょう? 憎しみに囚われて苦しんでいるだけ……なら、私が貴方の痛みも背負いましょう」
神は静かに震えた。