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第六章 真実の断片
オーギャストは王家の古文書を調べ始める。
そして発見した。
“黒蝕病封印の儀式”と。
“生贄の聖女”の記録を。
ヴァルトハイム家は三百年もの間、代々の令嬢が神を封印してきた。
その代償として彼女達は“悪役”として民に憎まれ、孤独のうちに命を落としてきた。
「……ステリアは英雄だったのか?」
彼は王に真実を訴えるが、王は冷笑する。
「そんな話信じられるか。ヴァルトハイムは昔から傲慢で邪悪だった。今さら同情する必要はない」
王はステリアを“国を蝕む毒”と決めつけ、追放を命じた。