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第四章 封印の痛み
ある夜、ステリアは地下牢で意識を失った。
「……また暴れ始めたのか」
老いた神官が彼女の身体を支える。
「封印が弱まっている。彼女の寿命はあと一年もないだろう」
「それでも彼女は誰にも助けを求めない」
「それがヴァルトハイム家の宿命だ」
ステリアは目を覚ますと、すぐに立ち上がった。
「封印を……強化します」
震える声で古代の呪文を唱える。
血が口端から零れ落ち、床に赤い花が咲く。
その姿を老いた神官以外は、誰も見ていない。
誰も知ろうともしない。