3/11
第三章 ヒロインの登場
そんなある日、王都に一人の少女が現れる。
クララ=リュミエール。
平民出身ながら聖なる力を持つとされ、人々に“光の巫女”と崇められる少女。
彼女は誰に対しても優しく、笑顔を向ける。
孤児達に歌を歌い、病人に水を届け、教会で祈りを捧げる。
人々は彼女を“真の救世主”と讃えた。
そして当然のようにステリアは“対照”として、悪役にされる。
「クララ様が寄付をすればステリア様はそれを潰す」
「彼女はクララ様の邪魔をするために生まれてきたのよ」
ステリアは何も言わなかった。
なぜならクララの光が疫病の神を刺激するからだ。
神は“光”に反応し、暴れ出す。
ステリアの身体が熱に震え、血を吐く夜が増えていた。