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トレモロ 3  作者: 安之丞


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3巻 4章 8話



フェニックスシティは、クリスとチャックのパワーのおかげで、大炎上したにもかかわらず建物は無事だった。


保安官達、警察官達で事件後の後処理をしている。ハンター達とギルド達、農家達、収穫祭の参加者達はイベント会場や周辺の掃除をしている。


ブレイズがほうきで掃きながら言った。「ついに捕まえたな。同じやり口で芸がねーんだよ。」


エイムスは散らかった酒樽の破片を拾い上げる。「な。毎度、時間経つと自然発火する様に酒樽に細工して、またこれで街を安く買い叩くつもりだったんだろ。まったく。」


ゼブはリサイクル砂を撒く。「酒樽が燃え出したら混乱に紛れて逃げて、燃える街を見物するつもりだったんだろーけど、今回ばかりはあいつらが格好の見せ物になったな。」


「ふははは。思い出して笑っちゃった。あれやったのハニちゃんでしょ。」オースティンは思い出し笑いしながら、ギャレットと長机を並べ直す。「飛び回る火の馬、すごいの見たよね。僕、まだ興奮してる。」ギャレットは頬がピンクに染まっている。


ゼブが手を止めてみなに歩み寄った。「なんといっても、ついにうちの砦から優勝品種が出たんだ。やったな、ギャレット!」5人はハイタッチした。


「おめでとう!」「ありがとう!」


ラファエルがカメラを構えて声をかけた。「みんな、ログ撮るよ。こっち向いてー。」


ハンターの5人は笑顔で肩を組んだ。


「OK!」ラファエルはログを撮った。


⭐️


厨房でモナコはいい気分で料理を温め直している。料理に毒がないか警察官達が検査している。納戸に捕らえていたアードウルフも連行された。


ラファエルがカメラを構えて声をかけた。「みんな、ログ撮るよ。こっち向いてー。」


モナコや審査員達、料理人達、警察官達は笑顔で振り返った。


「OK!」ラファエルはログを撮った。


⭐️


収穫祭の料理も出来上がり、みな腹ペコで並んだ。具沢山スープにマリネ、炒め物、サラダ、蒸しパン、どれも絶品だ。おかわりの行列がまたでき、そして野菜販売所も大盛況となった。


イベント広場の長机でギルド達、ハンター達、ラファエル、モナコ、ポレポレ、イノセント刑事、ナオミ刑事は、エーデルワイス砦のみなと賑やかに食事をした。


飲んで、食べて、騒いで、歌って、踊って、イベント広場に活気が溢れた。


⭐️


イベント広場の段々のベンチで、お腹いっぱいになったクラウン、ブラスト、ヴァルはうとうとぼーっとした。クラウンが「Can I Call You Tonight? 」を口ずさむと2人も歌った。ハニがやって来て、クラウンとブラストの間に割り込み、一緒に座って歌った。


⭐️


翌朝。


ぐっすり寝たクラウンはチョコと一緒に起きて、テントから出た。スノーから、朝ごはんをイートインで食べようとメッセージが来ていた。


「今起きた。そっち行くねー。」クラウンは返信した。


「まだ虎徹も起きて来ないから、起こして来てくれ。」スノーからすぐ返信が来た。


クラウンは振り返って、虎徹のテントまで歩き軽くノックした。ポンポン。「虎徹さん、起きてる?」


返事がない。

ゴソゴソゴソ。

動いてる気配はする。


「虎徹さん、起きてー。開けるよ。」


「あっ、待たれよ。」虎徹の慌てた声が聞こえると、中から開いた。


小夜が恥ずかしそうに出て来て「ササ。」と言って、さっとシャツを羽織ってテントから出て行った。


「あ、ごめん。」クラウンはとっさに謝った。


虎徹もすぐ服を着て出て来た。クラウンはニヤニヤした。虎徹はクラウンの頭にポン、と手を乗せ、何も言わずに歩き出した。


⭐️


イートインでギルドのみなとクリス、犯罪専門家が朝食を食べている。


「おい、クラウン。レベル上がると精霊の恩恵がアンロックされるらしいぞ。シシッ!」スノーが興奮気味に言った。


「え?クリスさんみたいなすごいパワー使える様になるの?」クラウンは朝食が用意された席についた。


犯罪専門家が食べながらうなずいた。


「いつ?レベルいくつで?」クラウンはクリスと犯罪専門家を見た。


犯罪専門家が飲み込んで言った。「それはレベルに限った事ではありません。それぞれのタイミングで訪れます。」


「うーん。いつだったかなー、レベル300?400?の時だっけなー。」クリスははっきり思い出せない様子だ。


「けど、いつかは使える様になるんだ。早く使える様になるコツとかあるのかな?」クラウンはクリスに聞いた。


「続けるって事が一番難しい。地味だけどな。ハハ。」クリスは残ったパンを全部口に放り込んだ。


「私達はこれで帰ります。これからも皆さん、無理はせず励んで下さい。続ける事で大切な、休暇を取る事もお忘れなく。見守っていますよ。」犯罪専門家は紅茶を飲み干すとクリスと帰って行った。


⭐️


みな朝食を終え、テントを片付けに戻った。エーデルワイス砦のみながプロテア砦に見学に向かうので、ギルドのみなも一緒にプロテア砦へ戻った。


山エリアC棟でギルドのみなは休暇について話している。


「クラウン殿、拙者、刀を研ぎにアースに一度向かおうと思う。」


「え?自分で研いでなかった?」クラウンは冷蔵庫から飲み物を取った。


「それが上手く研げずにいる。やはり鍛冶屋に頼みたい。済ませたらすぐ戻るつもりが前提の相談だ。カルラ様の爪はギルドではアップグレードできず、やはり、アースの刀鍛冶でないと頼めん。」


「じゃオレ、虎徹送るついでにブッチのとこでサイプレス号のアップグレードして来ていいか?」スノーはプロテインシェーカーを振りながら言った。


「もちろんだよ。」クラウンは虎徹とスノーに返事をした。


「ブラストは?」クラウンはソファーにいるブラストを見た。ブラストは犬たちと戯れている。


「オレはまだここで、やりたい事、続ける。ヴァルも続けるよね?」


「続けるにきまってる〜!」ヴァルは音楽をかけてハンドサインを出した。


「あ!けど、スノー、虎徹、僕の儗体を同行させて。いい?フル稼働ってわけにはいかないけど。ブラスト、買い物のお遣いを条件にゾーン貸してもらえない?」


「全然いいよ、もちつもたれつ!」ブラストはヴァルにハンドサインを出した。


「じゃ行く準備してくれ。」スノーは声をかけた。


スノー、虎徹、ヴァルは立ち上がって準備し始めた。


「買い物いいなー。私も行こっかな。」ハニは独り言を言って、キッチンの天井を見て欲しい物を指折り数えた。「武器ー、ギアー、ストラップ、軍用車のアクセー、、」


「ハニ、ダメだよ。」クラウンは言った。


ハニはきょとんとした顔でクラウンを見た。


「みんなも用が終わったら、早く帰ってきてね。」クラウンは大きな声で言った。ハニの腕をつかんで、優しく引き寄せ耳元で話した。


「あのさ、僕といるの楽しいって言ってくれたよね?まだ保護したい動物がいっぱいいるから、一緒にいようよ。ハニは動物を傷つけずに捕まえられて最高の人だよ。買い物はヴァルに頼むか、ネットで買うから。」クラウンは真剣な顔でハニに言った。


「あいつら何ごにょごにょ言ってんだ?」スノーは腰に手を当てた。


「ハニー?来ないのー?」ヴァルが呼んだ。


ハニは小走りでヴァルの元に駆け寄り、もじもじしながら言った。「えっと、私も残るから、ヴァル、後で買い物リスト送るね。」

なぜがいつもより気持ち小声のハニは、照れくさそうに振り返って、クラウンの元に駆け寄った。


犬達は鼻を合わせて別れの挨拶をした。


挿絵(By みてみん)


⭐️



⭐️


エピローグ


⭐️


2年後。


惑星グリーゼ357d、水の都カピラリイ。

赤い壁のお菓子屋、甘い香りが立ち込める店内。


「お兄ちゃーん。これからクラウンさんが彼女を連れてくるって。お兄ちゃん、聞こえた?」ルイーズが1階のお菓子屋から呼びかけた。


「えええーー。クラウンさんに彼女ができたって?!」ルイージは螺旋階段から顔を出した。


「うん。さっき、連絡があって彼女にパンケーキを作るの教えて欲しいって。」


「本当なんですね!クラウンさんの良さをわかってくれる人が見つかって良かった。」ルイージはサングラスを手で当て直した。


「クラウンさんも、もう17歳。ガールフレンドがいても不思議じゃないわ。」


「そうだね。お祝いに新作のキャンディーボトルをプレゼントしよう。」


「彼女もキャンディーが好きだといいな。」ルイーズは楽しみに店の外を眺めた。


⭐️


クラウン達はしばらく同じクエストを受けたり、それぞれのクエストをやったり、サポートし合った。

そして数ヶ月の休暇をとっては、また一緒にクエストを受けた。

クラウン達はいつも最善のなりゆきに身をまかせた。


⭐️


エピローグ 完



⭐️⭐️


ジョーです。

トレモロ3を読んで下さり、ありがとうございます。心から厚く御礼申し上げます。4巻は2年後の世界、虎徹編です。楽しんで読んで頂けたら幸いです。



安之丞あんのじょう


絵:クサビ

あとがき


これまで色んな犯罪にクラウンは仲間達と立ち向かっていきました。1巻のクラウンは13歳、2巻は14歳、3巻は15歳と年を重ねてきました。ひとつの旅が終わりを迎えました。物語が終わり、時が流れます。そしてエピローグに続きます。2年後のクラウン17歳。4巻はそこからスタートします。


3巻では新たなキャラクター混血のエルフ、小夜が登場します。家族というものの形、声を上げても届かないものたち、仲間との絆、そして少しだけ恋の芽生えも描きました。本作に登場する“悪”は、必ずしも分かりやすい形では現れません。静かに他人の人生を狂わせていきます。善意を装いながら誰かの心を縛るものがあります。それが宗教や占いといった「見えない力」であったとき、人は意外なほど簡単に、人生の舵を他人に渡してしまうことがあります。小夜は自身の家族の悲劇を胸にギルドと共に戦い、自尊心を取り戻します。辛い経験をしても生きていく本物の力です。


そして毎回、素敵な挿絵を書いて下さる、クサビ先生、ありがとうございました!実際にあるものと存在しないものがあります。その塩梅、センスが最高です。SFだけど、、この感じ!なぜかわかる!こんな気持ちを皆様とも共有できたら嬉しいです。


トレモロ3巻が完成しました。この様な場所があり、読んで下さった方、絵をみて下さった方、改めて感謝。



安之丞

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