3巻 4章 7話
イベント広場での、収穫祭の特別料理を楽しむ雰囲気は一変した。ピエールと代理人を先頭に、松明と酒樽を持ったアードウルフの軍団が横に広がった。
アードウルフ達の後方で、ハンター達、保安官達は銃を向けている。
「置いたら止まれ!」エイムスがショットガンを構えた。
「祝いの酒を置いたら帰るって言ってるだろ!」アードウルフ達は振り返り、ハンター達を睨みつけて唸った。ガルルル。
「黙れ!この酒樽には気をつけろ!みんな離れるんだ。俺の農場を灰にした時も酒樽から発火した!忘れるものか!」エイムスが声を荒げた。
保安官達、警察達、イノセント刑事、ナオミ刑事はじりじりと群衆の前に出た。
「死に損ないが。」ピエールが小声でぼやいてから、一息吸って野太い声で言った。「証拠にここで一つ開けてやろう。そうだな、お前、飲んでみろ。」ピエールは代理人に命じた。
アードウルフがカトラリーや食器が並ぶテーブルからコップを一つ取り、仲間のアードウルフに投げた。アードウルフは酒樽の栓を抜き、酒を注ぐ。ボチャボチャと酒がこぼれ強烈な臭いを放つ。注がれた酒を見て代理人が震え始めた。
「皆さんが疑うから、味見してみろ。」ピエールが命じる。
代理人はコップに手をかけたまま動かない。
「さっさと飲め!」ピエールが声を荒げた。
「なっ、何故か持ち上がらないんです。」代理人が諦めてコップから手を離すとピエールは代理人を突き飛ばした。
群衆の中からハニは手を伸ばし、パワーを使って押さえつけていた。
「樽を持って来い!ひざまずけ!直接飲ませてやる。」ピエールは代理人を上から押さえつけた。
「なんだ?!た、樽も持ち上がりません。」アードウルフ達は黄緑色の光を手で払う仕草をして、混乱した。
「もういい!酒は好きにしろ!帰るぞ!」ピエールが振り返って歩き出すと、ゴリュリッ!物凄い音がして足首が捻り上がりひっくり返った。
「ハハハ!」みなが笑った。
ピエールは何度も慌てて起きてはひっくり返った。
「ワハハハハ!」群衆から今日一番の大爆笑が起きた。
ドカーン!ドン!ドン!
突然、爆発音が鳴り響いた。
みな身をかがめて音のする方に振り返った。一番後方にいた警察官や群衆の後ろから火柱が上がった。
悲鳴と叫び声が上がる。
保安官達が声をあげた。「皆さん、落ち着いて!イートインの建物側へ避難しましょう!」
ナオミ刑事とイノセント刑事が走りながらライトを振って誘導する。
ヒヒーン!
馬の嘶きが空から響いた。
クリスが燃え盛る馬、チャックにまたがり空を猛スピードで駆けてきた。
クリスのコール。「クラウン!馬でついて来い!」
クラウンは空を見上げて叫んだ。「ナイトメアー!」
黒馬が混乱したアードウルフ達を跳ね飛ばし現れた。ナイトメアが赤い目を見開くと、アードウルフ達は悪夢に絶叫しながらバタバタと倒れ、地面でもがいた。
クラウンはナイトメアにまたがり、クリスを追いかけた。
クリスのコール。「クラウン、酒樽を全部燃やしちまえ!」
「被害を大きくしてどーするんだよ!」クラウンのコール。
「チャックを信じろ。みんなを助けるぞ!やれ!」
「うー!ロージー!」バン!
ドカーン!
酒樽に火の玉が当たると大炎上した。
近くにいたアードウルフ達に火が燃え移る。
「うわー!」「あちちち!」
ヒヒーン!
チャックが燃え上がる火柱を吸い込んだ。
それを見たクラウンは言った。「フレイヤ!酒樽を全部燃やせ!」
「ロージー!」バン!
ドカーン!
クラウンはナイトメアでイベント広場の周りを走り、酒樽に火をつけた。
ブラストは長机の下にスライディングし、怯える子供たちの横でテーブルクロスを引いて被せた。「防火布で出来てるから身を守れるんだ。行こう。」
スノーと犬達はモナコ達、料理人達をテントから逃がし、ハニは小夜達、農家達の避難のサポートをした。
虎徹もヴァルも避難のサポートをし、それぞれアードウルフ軍団から群衆を遠ざける。
クラウンはフレイヤを放った。フレイヤはイベント広場の外へ飛んで行き、アードウルフ達を狙って酒樽ごと蹴り飛ばした。ドカ!ボカーン!
地面に転がった酒樽を抱え、栓を抜き、一気飲みした。ガブガブガブ。
「ヴァッハー!!」フレイヤは口から火を吐き、イベント広場の外にもいたアードウルフ軍団を追いかけ、火炙りにする。
フェニックスシティ内では爆発音があちこちに響き、火柱が上がる。
「いいぞー!」クリスは次々に燃え上がる炎を追いかけ、両手を広げパワーを使った。「コラプサー!」
炎が次々とクリスとチャックに向かって吸い込まれて昇って行く。
ゴウゴウゴウ。
ピカッ!一瞬、閃光が空に走り、辺りは真っ暗になった。炎は消えた。
クリスのコール。
「クラウンよくやった。終わったな。捕まえるぞ。」
ピエールは足は捻挫して立ち上がれず、肘をついて体を引きずっている。代理人はトランクを抱きしめ走りだした。
「飛翔!」虎徹は代理人のトランクケースを真っ二つに斬った。ザン!
ゴロゴロ、ボトボト。
トランクの中から目玉と手首、指が数本、辺りに飛び出し転がった。
チョコからキラキラとプリズムが出て、チョコとゴーストは目玉を追いかけ咥えた。
代理人は尻から地面に倒れ、虎徹に捕まった。ヴァルはピエールに手をかざした。「スピリット。」ピエールはめまいを起こし、頭をぐらんぐらん揺らした。
保安官達が「確保ー!プオー!」とトランペットを吹くと、ハンター達も警察官達も農家達も「うおー!」と声を上げて、アードウルフ達を次々に押さえつけ、捕まえた。
クリスが空から馬で降りてきて、クラウンの横を走った。2人は馬から降りて、イベント広場の中央へ歩いた。
馬同士は仲良くじゃれあった。群衆も広場を覗きに出てきた。
ギルドのみなと犬達は集結し、ピエールと代理人を囲んだ。
クリスは火の消えた松明の棒を拾い上げ、ピエールの頬を殴った。「起きろ!」バギ!
「ぶはっ! はわわ!」ピエールは正気に戻り、辺りをみて歯を食いしばった。
「兄弟が言っていた光る犬に気をつけろ。は、コイツらの事だったのか、、だあっ!」ピエールは地面を叩いて怒った。
「訳のわからん事を。立て!いつまで地べたで寝てんだ!」クリスが胸ぐらを掴んで引きずり起こすと、ピエールは「いだだだ!足があー!」涙を流して痛がった。
スノーがスリープスタンプを出すと、クリスが手を伸ばしてスノーを制した。「こんな奴に使う事ねえ。もったいねえ。お前は痛みを知るんだな。こんな痛み可愛いもんだろ。」クリスはピエールを地面に落とした。
ドシン。
「ぐう、覚えてろよ。どこまでも追いかけてお前達を倒してやるからな。」ピエールは悔しそうに言った。
「もう僕はピエールさん、いや、ピエシエ・スタンリーさんを倒してるよ。」クラウンがチョコを撫でて目玉を受け取った。
「あ?ガキがぬかすな!どこが倒したってんだ!ほざくな!はーん!!」
「本当の悪の倒し方はね、関わらない事だよ。」
「はは?、、な、なんだそれ。」
「もう誰もスタンリー一家とは付き合ってくれないよ。僕、メッセージ出したから。惑星同盟。賛同してくれた全ての旗を見て。」クラウンはディスプレイを出した。
保安官や警察官、ギルドのみなもディスプレイを出し、惑星同盟に加盟した旗印を映し出した。クラウン達がこれまでに訪れ協力した国々、仲間達や団体、ステーションが旗を掲げた。
「はっ、はああ、、王国、ジュピターステーション、他のステーションまで、、HOMARE、mscもか、、。」
イノセント刑事が近づいて言った。「スタンリー一家と付き合いのある企業や政治家達も、この旗印を見たら、もう協力できないんじゃないか。それと、スタンリー一家とその傘下は惑星との取引も停止、宇宙渡航も禁止された。18時45分、逮捕する。」
ナオミ刑事と警察ロボが来て、捕獲ボックスの扉を開いた。
「どけ!放せ!」抵抗するピエシエ・スタンリーをイノセント刑事が詰め込み、ナオミ刑事が扉を閉めた。
警察ロボも次々とやってきて、代理人にアードウルフ達も収監した。みなの協力で犯罪者達を捕まえた。
⭐️
続く。
絵:クサビ




