3巻 4章 3話
クラウン達はしばらくフェニックスシティの街づくりに励んだ。プロテア砦の作物は豊かに実り、茂みでバッタを見かける様になった。
プリミティブ・ステーションにギルドのみなで迎えに向かった。
「しばらく行ってなかったね。ギルドに報酬取りに行こうよ!」クラウンは言った。
みなでギルドに向かい、ポッドに入った。
ピストルプルーフの討伐完了、滅びた街の清掃の報酬と、フェニックスシティに出店の特別報酬をみな受け取った。
スノーと虎徹は警察からの協力要請の報酬も受け取った。
みなレベルが3つ上がった。全身が3回連続で金色に光った。
クラウン レベル37
ブラスト レベル42
スノー レベル31
ハニ レベル49
虎徹 レベル19
ヴァル レベル44
になった。
クラウンとヴァルはポッドから出ると、カウンターでギルドの犯罪専門家を呼び出した。
応答があり、モニターに犯罪専門家が映った。
クラウンは嬉しさが声に混ざりながら、お礼を言った。「全員に特別報酬ありがとうございます!」
「貴方達のレポート読みました。良い取り組みであり、当然の報酬です。さらにこの土地の動物は安全に、植物は豊かになり、環境汚染レベルも改善されるでしょう。これからも励んで下さい。そこにブラスト氏いますか?」
クラウンとヴァルは返事をして、肩を抱き合って喜んだ。ハニとハイタッチした。
「あ、オレです。」ブラストがモニター前に立った。
「レポート読みました。一定期間のテストも合格したので、ミニトマトスペースキットの販売の許可と権利が送信されました。私もフェニックスシティのオープン日に行くので、一つ取り置きお願いできますか?」
「マジで!?っしゃー!ありがとうございます!一つ取っときます。」ブラストもハイタッチした。
「えーっと、スノー氏、虎徹氏もよろしいですか?」
「ウッス。」「はい。」2人もモニター前に立った。
「レポート読みました。船の航行記録や犯罪歴など参照して解った事は、使用された銃が海の向かいの国から来たテロリストのものである可能性があるという事です。警察にも調査報告しました。そちらに伺う時に、進捗具合に合わせて応援のギルドを呼んで同行します。無理しないで下さいね。こちらからは以上です。皆さん、それではまたー。」
ギルドの犯罪専門家との話は終わった。
みなでグータッチをしてギルドを出た。
⭐️
ステーションで待ち合わせの時間になった。
ゲートで待っていると、チョコとゴーストがしっぽをブンブン振り始めた。
「元気だったかーい?」サングラスを取り、その手を振りながらラファエルがやってきた。
「ラファエルさん!」クラウン達は再会を喜び、ヴァルは改めて挨拶した。
「ササ〜!ようこそ!さっそく行きましょ〜。」
ラファエルが車に乗ると犬達は満足するまで撫でてもらった。ラファエルはバッグからカメラを取り出し、風景の写真を撮った。
⭐️
プロテア砦に到着した。
オースティンが出迎えた。握手し、キャベツエリアのB棟のコードキーをラファエルに渡した。
「ラファエルさん、今夜はみんなで一緒に夕飯を食べましょう。みんなもね。ギャレットの所にラファエルさんを連れて来てね。」
みな笑顔でうなずいた。
「荷物を置いてくる。さあ〜取材っ取材!」ラファエルは楽しそうに早足でB棟に向かった。
⭐️
10分後、ラファエルはカメラを持って戻って来て、運転席の窓に手をかけた。「敷地内だし、後ろの砲台に乗って写真撮らせてもらっていい?プロテア砦の1周ツアーよろしくっ。」
ハニはOKした。
「僕も後ろ乗りたい。」クラウンはチョコを抱えて降りた。「オレも!」ブラストも続いた。
3人は後ろではしゃいでる。
「クールなペイント!」ラファエルがカメラを構えた。砲台の横でクラウンとブラスト、チョコはポーズをきめた。
スノーと虎徹は後ろをチラッと見て、マダラデビルの漁村を思い出してクスクスした。
車はゆっくり発進する。
「僕たち、ここ全部見た事なかったねー。」クラウンは座って、プロテア砦を改めてじっくりみた。
「ここデカいもんね。オレ、この前オースティンさん家に行ったよ。」ブラストはクラウンの横に座った。
「えっ、いつのまにー。」
「工具借りた時。部屋に入ったら壁にトランペットが3つも飾ってあった。カッケー。」
ゼブの管理棟の前を通ると、ゼブは木の板を担いで歩いていた。クラウンとブラストは手を振った。ゼブはぎこちなく手を振った。中央の広場の前のウッドデッキを数十人で修復している。
ハニはゆっくり進み、クラウン達が合図すると止まって、プロテア砦をぐるりと1周した。「フェニックスシティに向かうから戻ってー。」ハニは窓から顔を出し声をかけた。
3人は車に戻った。
⭐️
クラウンはブラストに話しかけた。「そういえばさー、僕、エイムスさんの前の家にギター飾ってあったの見たよ。」
「へー、トランペットにギター。2人とも楽器好きなんだー。」ブラストは微笑んだ。
「それならもう1人いるよ〜。僕はギャレットさんの部屋でめちゃめちゃカッコイイ、ウッドベース見たよ。」ヴァルは話に加わった。
「へー!」クラウンとブラストは声が揃った。
⭐️
フェニックスシティに到着した。
「フォトジェニックー!これは撮りがいがあるな。」ラファエルは感動している。「しばらく自由に撮ってくるから、君達もしっかり頑張って!」ラファエルはそそくさと行ってしまった。
クラウン達はその日も夕方まで街づくりに励んだ。ラファエルは時々姿を見せては、またカメラ片手に歩き回った。
「夕日のエモいの撮れた〜。後でチェックしよう。」ラファエルは満足気に戻って来た。
⭐️
日が暮れた、プロテア砦。
トマトエリアA棟、ギャレットの裏庭。
ラファエルにポレポレ、モナコ、ハンターとギルドが夕食会に集まった。テーブルを2列にセッティングした。
モナコがキッチンから木のプレートに何品も盛り付けた料理を出してきた。
「まだ箱がないのでプレートですけど、オベントゥーの試作品です。今日、ジャーナリストのご友人が来るって聞いたから、意見聞きたいなと思ってますっ。もちろん皆さんにも。まずは食べてみて、後ほど感想聞きに行きまっす。召し上がれー。」
みな何から食べようか迷い、思い思いにおかずを食べた人から笑顔になっていった。
「全部美味しい〜。」ギャレットは少しずつ食べては何周かして味わった。
「この野菜のフリッターもっと食べたい!」オースティンは大口を開けて好きなおかずからばくばく食べた。
ラファエルは写真を撮った。ポテトとキノコクリームのクレープを食べてはうなずく。を繰り返している。
ハニはデザートのさつまいもを食べ終わると、モナコとディスプレイでログをチェックしながら話し合った。その後も自然に還る素材の中からお弁当箱はどれにするか盛り上がっている。
みな試作品のお弁当に大満足し、自然と笑顔になった。
⭐️
ラファエルは今日撮った写真をログにして、ディスプレイを拡大し自動再生した。ハンター達に取材も兼ねて、写真を見ながら思い思いに、おしゃべりした。
誰かがいつのまにかお酒を持って来て、ラファエルはほろ酔いだ。「収穫祭の前に、良い特集ができそうだ。来て本当に良かった。君達のおかげだよ。そうだ、昼間、この子達がハンターのどなたかが楽器やってるって噂してましたけど、、。」
!!
一瞬ハンター達の動きが止まった。
・・・。
「やっぱサプライズは無理だったかー。」ブレイズが笑いまじりに言った。
「今日、ステージみられちゃったんだよなー。」ゼブは残念そうに酒を飲む。
「俺たちバンドやってて、もうすぐライブやります。」オースティンがラファエルに言った。
ギルドのみなは顔がぱっと明るくなった。
ブラストはモナコに聞いた。「モナコさん知ってた?」
「私はギャレットさんの楽器を見た時にお話しを伺いました。」
「バンドやってるのカッコイイっすね。シシッ、楽器は何やってるんですか?」スノーがエイムスに聞いた。
エイムスがメンバー紹介した。
「俺はギター、ギャレットはベース、ゼブはドラム、オースティンがトランペット、ブレイズがサックスだ。歌は曲によってやったり、歌えるヤツがテキトーに。」
「ステキ!ライブ楽しみー!」ハニとモナコは手を叩いて喜んだ。
「それで救護室にいた時に、時折音が聞こえていたのか。」虎徹は療養中、不思議に思っていた。
ポレポレが酒を注ぎながら言った。「ここの農園、ミュージシャンの働き手も多いんだよ。みんなに声かけてまわってるのが、ゼブ。管理エリアA棟に住んでるから、隣のB棟の納屋をライブハウスに改築してんだよ。楽器の練習もみんなそこでしてる。その横のC棟のでっかい宿舎の子達も、何組か出るよ。」
虎徹は療養中、何処かから音楽が聴こえて不思議に思っていたので納得した。
食事会が終わり、ポレポレ、クラウン、スノーが片付けにギャレットのキッチンに入った。
モナコの調理後は綺麗に片付いており、プレートとフォーク、グラスを洗うだけだった。ポレポレが酔い覚ましに水をゴクゴク飲んだ。「オベトゥーの箱はリサイクルするんだろ?片付けも楽でいいね。もし風で飛んで行っても土に還る所も気に入ったよ。」
犬達もお弁当を完食して口の周りを舐めている。
⭐️
その夜、ラファエルはクラウン達が宿泊している部屋に遊びに来た。
ラファエルはリビングに座り、みなもラファエルを囲むように座った。
ラファエルがディスプレイを出して、ギルドのログをいくつか立ち上げた。
「あ!支援サブスク入ってくれてるー。ありがとうございます。」クラウンはラファエルがギルドの支援サブスクリプションに加入していたのが嬉しくてお礼を言った。
「アザス!」「アーザス。シシッ。」ブラストとスノーもペコっと会釈した。
「約束したろ?君たちの役に立つ情報をもってきたよ。これ、この人物の名前を調べたよ。」ラファエルはスキンヘッドの男の後頭部を指した。
「マジっすか?!」ブラストは前のめりになった。
「ピエール・ラポポート。我が惑星、ケンタウリCに有名な実業家で同じ名前の人物がいる。しかもスタンリー一家と親しい間柄だ。名前が可愛いから記憶に残ってたんだよ。」
みな真剣な顔で聞いている。
ラファエルが実業家ピエール・ラポポートの写真と次のログを出し、代理人の薄毛の男の頭を指した。「けど、ピエール・ラポポートに似てるのはこっちの男なんだよ。殴られてるこっちね。」
「本当だ。代理人と薄毛の特徴まで似てるー。入れ替わり?」クラウンはログを見比べ、チョコにもディスプレイを見せた。
「実際どーだろーな。金持ちならヒューマノイド移植、整形手術する事は可能だから、可能性だけで言うと可能だな。けど今の時代、入れ替りは不便すぎるしなー。相手が生きてないと成立しないだろーし。」
「代理人はサングラスと手袋してたよね。」ハニはつぶやいた。
「そう。憶測だけど、その線で考えると、スキンヘッドの男はスタンリー一家の長男、ピエシエ・スタンリーの可能性が高い。ホテルの前に大使館があったろ?どこの星のだと思う?」
「ケンタウリC!」クラウンとスノーとハニは声が揃った。
「当たり!今回のオークションは外からの惑星が参加するには、大使館で参加コードを受け取る必要がある。外資系の貴婦人も大使館のリストに名前があって、もう一つはピエールだった。2組とも向かいのホテルを利用してる。」
「さすがジャーナリスト〜。」ヴァルはご機嫌に言った。
「それから海の向かいの国のテロリストって警察の報告書にあったろ?その軍事会社があるのもケンタウリC、スタンリー一家だ。他所の星まで来て呆れるよ。」
「マダラデビルのやられた感じが銃弾多めで、ケンタウリCで見た時と撃ち方が似てるな。」スノーは思い出して言った。
ラファエルはもう一枚写真をディスプレイに出した。「ちなみに、ケンタウリCのガス会社の元CEOでアドバイザーだった男がコーンヘッドで、頭の形がそっくりだ。」
「本当だー。」クラウンはチョコにも見せた。
「その者も生きておるのか?」虎徹は聞いた。
「いや、何年も前に原因不明で急死してる。その当時の噂で、スタンリー一家とトラブルになって毒殺されたって話があった。紅茶を飲んだ後、突然気を失って亡くなっている。」
「アーオ!色んな人のパーツを奪ってるの?良くない趣味だよ〜。」ヴァルは足踏みした。
「もしそうなら大罪ね。」ハニは眉を下げた。
「ここのログで、収穫祭までにちゃんと用意しとけよ!って怒鳴ってたから、これは迎え撃つ準備をしといた方がいいんじゃない?って本気で思ってる。」ラファエルはかしこまって言った。
「気をつけよー。さっきエイムスさんが言ってた。滅びた街の収穫祭のライブ中に襲撃されたって。」クラウンはチョコを抱えてソファーにゴロンとした。
「じゃライブの時は気合い入れねーとな!シシッ。」スノーは立ち上がって、腕を横に開き、体の前で何度か交差した。
「君達の主体性には感服するよ。君達があと1人まで迫ったから、あっちも動き出してる。彼らが集めた火薬を君達がエーデルワイス砦で吹き飛ばした。今、慌てて海の向かいの国で火薬集めに力を入れているらしい。憶測混じりですまないけど、情報はこんなもんかな。」
みなゆっくり息をはいたり、深くうなずいた。
飲み物で一息つく。
「その後、ケンタウリCの皆さんは、どんな感じですか?」ハニが聞いた。
ラファエルはギルドのログを閉じて、キング達の自警団のログを見せた。「密着取材もしたんだ。自警団カッコイイだろ?」ラファエルが笑う。
「うん、うふふ。ヒップホップのMVみたい。」ハニはキング達のクールな陽気さに笑顔になった。
新たに取り戻した3村に原住民が戻れた話。水質汚染レベルの改善でまた釣りができる川が増えた話。夜の団欒でわかった恐ろしい話も頭の片隅に残ったが、楽しい時間となった。
⭐️
続く。
絵:クサビ




