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トレモロ 3  作者: 安之丞


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11/23

3巻 2章 1話

⭐️1章のあらすじ⭐️


ヴァルの故郷、プロキシマケンタウリdにやって来たクラウン達。蝗害対策の協力の為、サバンナでのクエストに挑む。テロリストに狙われた美食家モナコ・グランプリを助けた事で、この地域を牛耳る5人兄弟、スタンリー一家の存在を知る。みなで夜遊びにネオサンドシティを訪れた時、警察がカーチェイスしている現場に居合わせ応援要請に向かった。窃盗団とのカーチェイスバトルの中、砂漠の元保護地区の蟻地獄の巣に落ちたクラウン達は隣国の守神カルラに襲われ、難民を守りながら無事に逃げ切った。しかしカルラは出口で待ち伏せていた。そしてクラウンに問答で迫った。クラウンはカルラに蝗害を対峙してもらう代わりに悪党を倒す約束をする。クラウンは警察と協力して、スタンリー一家の三男メンサ・スタンリーを捕まえたのだった、、、。




土砂降りの雨の中、エーデルワイス砦でナオミ刑事やイノセント刑事と合流した。犬達は大物を捕まえたと感謝された。警察は犯人達を連行した。警察ロボが現場を片付けたり証拠品を押収する中、ギルドのみなは大型ヘリで乗り物を回収し、保護した動物達を手当てする為、キャピタル動植物園に向かった。


⭐️


ブラストの呼び込んだ大雨は翌日には豪雨となり、そのまま梅雨の始まりとなった。大地のすべてを洗い流していく。


⭐️


キャピタル動植物園。


「ウルド博士達、明日フィールドワークを引き上げるって。梅雨の間は研究の仕事ができないから、植物の採取にしばらくケンタウリcに行くって。」ブラストはウルド博士と会えなくて残念そうに言った。


クラウンはチョコと横になっている。「そっかー。秋の産卵期前にはまた帰ってくるんでしょ?はあー、床に寝れるってサイコー。」クラウンはしばらくキャピタル動植物園に滞在できることになって、嬉しそうにレモンキャンディーを食べた。


クラウンに新着メッセージが届いた。

「え?ラファエルさんが書いた僕達の記事が賞を取ったって!」


「マジで!スゲー。コールしてみようよ。」ブラストがディスプレイを出した。クラウンは横に座り、チョコは2人の間にぐいぐい入ってきた。


挿絵(By みてみん)


「ラファエルさん、おめでとー!」クラウンとブラストは声を揃えてお祝いした。


「あはっ、ありがとうー!君達の船にも雑誌と本を送ったよ。読んでくれよ。んん?ずいぶん日に焼けたな。ははっ。元気にやってるかい?」


「昨日、スタンリー一家の三男を捕まえたよ。知ってる?有名なんでしょ?」クラウンはアメを左から右のほっぺに移した。


「なんだって?!スタンリー一家を!後で情報を送ってあげるよ。君達の役に立つって約束したからね。今、ヒマならざっくり話そうか?聞きたい?」


「聞きたい!」2人と一匹は前のめりになった。


「スタンリー一家はケンタウリc出身なんだ。両親は有力者として有名だった。子供が生まれたニュースが最初に出た時、3つ子と報道され賑わった。けど、1週間後に5つ子だったと発表したんだ。4男5男は生まれた時に危険な状態だった為と説明していたけど、クローン偽装の嫌疑がかかると、一家はケンタウリdに移り住んだんだ。5つ子が成人する前に両親は亡くなったけど影響力が衰えるどころか、凶悪になっていった。バレバレの影武者を使っても捕まえられないのが今の現状だ。」


「バレバレの影武者?」クラウンは聞いた。


「顔認証や遺伝子鑑定もすり抜けるらしいが、実際の所、裏でどうやってるかは疑問だね。」


「ふーん。」クラウンとブラストはうなずいた。


「三男は長男の影武者になった時、普段通りアクセサリージャラジャラで変装すらしてこなかった。警察に暴けないと思ってやってんだろう。」


「あ、アクセサリーいっぱいつけてたー。」ブラストは過去のニュースを思い出した。


挿絵(By みてみん)


「長男はほとんど表に立たない。あぶり出してやれっ。」ラファエルはいたずらっぽく言った。


「ははっ。ラファエルさんも元気そうだね!仕事は忙しい?」ブラストは聞いた。


「おかげで順調。そうだ、秋の収穫祭がそっちであるから取材に行くつもりだ。君達がまだそっちにいたら、その時は会おう。」ラファエルは手を振った。


「うん!」クラウンとブラストは嬉しそうに手を振った。


⭐️


毎日、豪雨が続いている。

5日後。


イノセント刑事から呼び出しがあった。

警察署にみなで向かうと、ギルドの犯罪専門家と政府関係者も呼ばれていた。みな挨拶した。


犬達は感謝状を貰い、表彰してもらった。ご褒美のいかつい骨つき肉に夢中だ。


挿絵(By みてみん)


ナオミ刑事がディスプレイを出し、ミーティングが始まった。グループごとに座った。


「逮捕直後の証言です。輸送役をしていた数人は、朝のニュースが流れて、急遽荷物を運ぶように呼び出されたそうです。リムジンでメンサ・スタンリーが宝物庫を開けに来たと供述しました。しかし、メンサ本人は捕らわれ、宝物庫に隠れて助けを待っていたと供述しています。金品は盗まれた自身の物だと主張しています。ギルドのログを参照下さい。」ナオミ刑事はいくつかのモニターを出した。


モニターには虎徹とヴァルがバイクで偵察に向かった時のログが流れる。「この時、リムジンを山道に誘導した際、メンサがギルドを殺せと命令したそうです。」


ヴァルが撃たれると政府関係者達は「おう。」と声を出した。


「虎徹が避けれるの、すごいんだけど〜。」ヴァルは笑った。


「ヴァル殿は撃たれてもまるで動揺していなかったな。バイクから落ちなくて良かった。」虎徹も改めて見て肝が冷えた様子だ。


「動物の保護してても密猟者に撃たれる事があるんだよ。」ヴァルにとっては珍しい事ではない様子だ。


ギルドの犯罪専門家はヴァルにたずねた。「ヴァル、レベルアップしてパワーの操作性はどうですか?」


「僕のパワーって小型の昆虫には効かないけど、動物や機械は操作しやすくなりました。だけど相手がエイリアンの場合、相手が油断してる時なら、簡単な命令はできるけど、対峙するとなると数秒、目眩しを起こさせるくらいです。」ヴァルは自身のパワーについて答えた。


「そうですか。さらなるレベルアップを期待しています。」犯罪専門家は微笑み、続けて虎徹にたずねた。


「今回、虎徹が討伐数トップですね。要塞の中はどうでしたか?」


「あの規模の砦の割に、見張りが少ないと思いました。盗品を運び出している最中、手薄になったのでしょうか?」


「その様です。逃げたトラックに関してはナオミ刑事が全て押さえましたよ。」犯罪専門家はナオミ刑事を見た。


ナオミ刑事は自信に満ちた顔をしたが、険しい顔で言った。

「そして逮捕の翌日、弁護士達が到着すると全員証言を変えました。メンサを金品目的に拐ったと。これで押収品はメンサの物と主張し釈放を訴えるでしょう。」


政府関係者達は不機嫌な顔で次々に話し出した。

「以前も証言があったにも関わらず、兄弟でアリバイ工作し、釈放となったよな?」


「貿易商の肩書きすらも怪しいもんだ。密猟団や略奪団から盗品を仕入れて、売り捌いている。」


「今回は運び出す前に捕まったものだから、裏取引し、証言を変えさせ、被害者ヅラで盗品をも回収するつもりなんだろう。」


みな苦い顔で場は静かになった。


イノセント刑事が話し出した。「続けます。エーデルワイス砦はもともとコーヒー農園だったが、危険地帯となり閉鎖後、悪党が不法占拠していた。政府が公式に農園を再開したいそうだ。政府からのクエストで働き手のスカウトをギルドに頼みたい。」ギルドのみなはうなずいた。


ハニが手を挙げた。

イノセント刑事はどうぞのジェスチャーをした。


「あの、梅雨入りして、研究チームがいなくなっちゃったんですね。地雷除去は雨の中でもできるので、運転手の募集をして再開してもいいですか?もう心当たりはあるんですけど。」


政府関係者達は地雷除去再開と聞いて、激しくうなずいた。


「心当たりって誰?」ナオミ刑事がハニに聞いた。


「元観光バス会社の社長で今は難民キャンプにいます。かなり運転スキルが高いです。働き手のスカウトも、そこでするのはどうかな?と思って。」


みなから賛同の拍手が起きた。


政府関係者が手を挙げた。

イノセント刑事はどうぞのジェスチャーをした。


「多大なご協力に感謝します。しかし、スタンリー一家にちょっかいを出すと後々厄介ですよ。そもそも短足のペットロボの判断で、また誤認逮捕したと世間に笑われるでしょう。今回もいつまで拘留していられるか。スタンリー一家には下手に近づかない方がよろしいのではありませんか?」


「スタンリー一家を野放しにはできませんよ。捕まえられない言い訳はどうでもいいんです。政府が弱腰で安全な暮らしが守れますか?」イノセント刑事は語気を強めて言った。


「野放しにはしていませんよ。5人いる兄弟を見分ける事ができますか?もう誤認逮捕はごめんですよ。あからさまな影武者なのに認証をパスできるから困っているんです。いっそこのペットロボットが、最新の認証システムをインストールしてれば良かったんですけどね。」


ギルドの犯罪専門家が手を挙げた。

「なめてもらっちゃ困る。そう仰るなら、スペック向上には相当な技術提供料がかかりますよ。さらに高解像度・高リフレッシュレート対応。レイトレーシング、触感、処理速度の向上など。私たちの目ではわからない判別が可能になりますが、ここの設備だとインストールに、、、23日かかります。」


警察、政府関係者達はざわついた。


ブラストは小さく手を挙げながら言った。

「オレ、有線ケーブル持ってるんで15分位でインストールできますよ。」


「ありがとう。是非使わせてもらいたい。ちなみに、ブラストのバーニングデスロードの技術提供料についても話をしましょう。」犯罪専門家は政府関係者を真っ直ぐ見た。


政府関係者達は提供料の支払いに応じた。


ブラストの顔がパッと明るくなった。クラウンは小さく拍手した。そしてチョコのアップグレードにも喜んだ。


⭐️


続く。

絵:クサビ

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