第九話 肉
今日は一段と早く目が覚めた。いつもより早いせいで、周りは少し薄暗い。
「アルマ、行ってくるよ」
アルマにそうとだけ伝えたが、たぶん寝ていて聞き取れていないだろう…
まあそんなことより、少しだけ肉をあぶって食べてから出かけよう。腹が減ったら大変だからな。
火をつけて肉をあぶっていると、アルマがよろよろと起き上がった。
「お兄ちゃん… おはよう」
「アルマ、おはよう。肉をいまあぶっているんだが、食べるか?」
「ううん、別にいいかな。とりあえず眠たいから二度寝する…」
「そうか。ちゃんと飯は食べろよ」
「うん…」
アルマは再び横になって眠りだした。まあ昨日は遠くまで出かけたしな。
肉が焼けた。香ばしい香りが鼻を抜けてゆく。
「いただきます」
昨日より鮮度は落ちているかもしれないが、けっこう美味しい。夢中でかぶりついた。
「ごちそうさま」
美味しかった。そともかなり明るくなってきたな。とりあえず火を消して、出発しよう。
寝ているときは外しているネクタイを締めて… 歩いたら間に合わないだろうか。けっこうあれは遠かったもんなあ…
「翼で飛んでみるか」
生まれて初めて使うが大丈夫だろうか… と思いつつ翼を広げる。背中に力を入れてジャンプしてみると、ふわりと浮き上がった。が、すぐに墜落した。
「風魔法で身体を持ち上げたらいけそうだ」
手を振って風を起こすと、今回は墜落せずに浮き上がることができた。これなら大丈夫だな。
俺は風をかっきって昨日行った花畑へ向かった。
「空中は魔物がいないからスイスイ行けるな… 歩くよりも効率がいいな!」
花畑が見える。真緑の森の中にぽつんと真っ青な花畑があるから、わかりやすいな。
ちょうどいい目印があった。この石像のところで座って待っていよう。
石像の下に座ろうとしたとき、ひとりの姿があった。
昨日と同じ、真っ白な人影がひとつ。彼だ。
「エターナル君!」
「アルト!」
俺たちはお互いを向いて走り出した。声が近くなる。やがて、息遣いまで聞こえる距離まで近づいた。
「エターナル君、会いたかった。何をしようか」
「アルト、妹さんは?」
「アルマ? あいつなら家で寝ているよ」
家と言っても、そこらへんにあった洞窟に不法滞在しているだけなんだけど。
「そうか… 今俺、同居人を探しているんだ。もし家がないのなら、俺の家に住んでくれればと思っていたんだ」
なんだって!? エターナル君と、俺が… 同居!?
「家と言っても、自然の洞窟を勝手に使っているだけなんだ。エターナル君がいいって言うなら、是非住みたいよ」
「そうか! それなら嬉しいよ!」
とりあえず俺たちはアルマを叩き起こしてから、エターナル君の家を見にいくことにした。
「エターナル君は待っていていいんだぞ…? こんな辺境まで…」
「大丈夫だよ。俺は、アルトがどんな所に住んでいるのか気になるんだ」
「そうか… ただの全面岩の洞窟なんだけどなあ…」
ちなみに翼で並んで飛ぼうとしていたんだが、エターナル君が俺を抱いて飛ぶと言って聞かなかったから俺は今、エターナル君の胸に抱かれながら風を切っている。
数分飛んだころ、灰色の洞窟が見えてきた。洞窟の奥には、たくさんの魔物(肉)が置いてある。
片づけておけばよかった…!
俺はそう、強く思った。
あとがき
エターナル君の胸に抱かれながら… と書いてありましたが、俗にいう、お姫様抱っこであります。




