第七話 謎
俺はアルマと一緒に帰るため、広間に向かった。
広間に入るとクルーウェルが小さく、俺が男に戻ったことを嘆いている。なんかごめん。
アルマと合流した俺は、アルマと一緒にヴェルハの神殿を出てあの洞窟へと帰った。
「お兄ちゃん」
「どうした、アルマ」
「戻れて、よかったね」
それは俺が一番思っている。一生あのままでいるのなら、首を落とされて死んだ方がマシだ。
「わたし、お兄ちゃんはその姿が一番似合ってると思う。私がただ「お兄ちゃん」に慣れているだけなのかもしれないけれど」
「そうか。そうだとしても、俺は嬉しいよ」
あの金袋のことはアルマに言っていない。まあ、言わなくてもあいつは気づくだろうし、いざというときの為に置いておきたいしな。
「アルマ、腹は減っていないか?」
「大丈夫だよ。私は問題ない。広間で置いてあったお菓子をつまんでたから」
「そうか… アルマ、おやすみ」
ヴェルハは俺達「原初の魔族」を「人間の上位互換」だとかほざいているが、俺はそんなことないと思っている。腹は空くし、睡眠だってとらないと廃人と化してしまう。それとも、ただこれは俺だけに起こっている事象なのか? ごちゃごちゃ考えてないで、さっさと寝よう。
目を閉じるとひとつ、景色が見えてきた。ぼんやりとしていて、はっきりとした輪郭はつかめない。どんな景色か形容するのならば、紅い。紅い中にひとつ、ふたつとなにかが見えるが、俺の目には映らない。
――なんだこれは?
声を出そうとしたが、喉が掻き切られたように、声は出ない。うめき声すらも、出ないし、聞こえない。ただ、熱いものが俺の顔に触れている。液体、だろうか。その正体は不明だ。
なんだか懐かしいものが見えるような、気がする。だが、それが何なのかは理解ができなかった。したくなかったのだろうか。それなら、俺は何を見たんだ?
「お兄ちゃん、大丈夫!?」
アルマの大声で目が覚めた。俺はさっき、寝ていたのか。身体を起こすとなんだか胸がもやもやとする。ひとつ咳をすると手は真っ赤な鮮血で染まった。アルマの表情は、さっきより「心配」の色が濃くなっていく。
「大丈夫だ」
「だけどお兄ちゃん、血が出てるよ!」
「大丈夫、問題ない。それよりアルマ、腹が減っただろう? 食料でも調達しにいくぞ」
「うん、わかった。お兄ちゃん、無理をしないでね」
アルマと話し合った結果、今日はいつもの森ではなく、少し遠くのなだらかな丘に行くことになった。昨日アルマは、その丘への行き道に綺麗な花畑があると聞いたらしい。
金袋は念の為ズボンに引っ付けておくことにした。盗まれたらせっかくくれたヴェルハの金が無駄になってしまうからな。
俺たちはアルマの案内のままに進んでいった。
あとがき
アルマに花畑の存在を教えたのは、クルーウェルとヴェルハに回復魔法をかけた少女、ワパでした。
流石同い年と言ったところでしょうか。やっぱり仲がいい。




