第二話 能力
ヴェルハがアルマに話すのを横目に、俺は昔、なにをしていたのか思い出していた。
俺は昔(といっても数年前なんだが)、女だった。
といっても、俺の能力は「女/男体化」。一回しか使えないとかいう大事なことをヴェルハが言い忘れたせいで、試し打ちをしたっきりで、もう使えなくなってしまった。
というかヴェルハ、そんな能力持ちな俺とアルマを「姉妹」とかいう設定にするとか、本当にどうかしてる!
「アルト」
なんかヴェルハが話しかけてきた。ろくなことではなさそうだけど…?
「なんだ?」
「能力の更新をしたいとは思わないか? 今の俺様ならば、お前の能力をまた使えるようにできる」
うん、いらない。もうアルマからは「お兄ちゃん」で通ってるし、能力の更新とか言って何か… 変なことをしてきそうで嫌だ。ヴェルハの神殿で作り上げられている間に見たあいつは、どこか妙なやつばかりを作っていて… とても不気味だったんだよなあ…
ある時はロリっ子、またある時はショタっ子。そしてまた見たときは爆乳メイド… あいつが作っていた奴らは、あいつの趣味が反映されていたようでとても…
「いらない」
「ええ!? また能力が使えるようになるんだぞ?」
「正直言って、昔よりも今のほうが身軽で動きやすいし、何をされるかわかったもんじゃない。これ以上お前の悪趣味に付きあってられない」
「そんなあ… そうだアルマ」
アルマに狙いを定めてきた。こいつ、まじで…
「内容によってはヴェルハ、お前を殺すぞ」
「いつのまにこんなシスコンになったんだアルト」
「兄として当然のことをするまでだ」
「まあ、アルマ。もっと強くなりたいか?」
アルマのほうへ目線を向けると、アルマはヴェルハに近づいていく。そして一言言った。
「うん、お兄ちゃんを守れるようになりたい! お兄ちゃんに任せっきりじゃいられない」
「そうかそうか。アルト、アルマはこう言っているが」
「アルマがそういうなら別にいい。俺も同行する」
「本当に能力はいいのか? アルト」
しつこい。俺の女体化が見たいだけじゃないかこいつ?
「いらない」
「それなら身体強化をしてあげよう。それなら問題ないだろう?」
「…わかった」
「アルト、アルマ。ついてこい。俺様がより強くしてやる」
うさんくせえ… まあこいつは、実力だけはある。俺たちは彼を信じてついていった。
あとがき
アルトの語りには含まれていなかった、ヴェルハが制作した原初の魔族の一部を大公開ですわ!!
・白髪のちょっと強気に見えるけれど優しい美少女
・黒髪ロングの色気漂う青年
・品格漂うメスガキ
・ぽわぽわしてる暖色系かわいい系少女
・地雷配色の少女
・布の量がえげつないフリルの化身みたいな男
・ダウナーな和服のお兄さん
・神々しいきょぬーのお姉さん