第十三話 決心
エターナル君の魔力量じゃ足りない…!? そんなことがあり得るのか!?
「とりあえずエターナル君は休んでいて! 俺の魔力でどうにかするから!」
「うん… ごめん、アルト」
なんでアルマの魔力保有量がそんなに多いんだ? そう思い何があったのか思い出していたが、たぶんヴェルハが能力強化をしたときに魔力総量が爆発的に増えたのだろう、という結論に至った。
「アルマ、起きろ」
魔力をアルマに注ぎながら耳元でささやく。数回繰り返したとき、アルマは鬼のような形相でバッと起き上がった。
「はあ、お兄ちゃんか…」
「大丈夫か、アルマ」
「大丈夫。魔力を分け与えてくれたから、元気だよ」
原初の魔族は魔力が切れるとぶっ倒れるらしい。ヴェルハがそう言っていたような気がする。
門を抜けると、そこには大きな庭が広がっていた。青々とした芝生は綺麗に整えられており、家の入口の扉まで真っ白な石で道ができている。ヴェルハの野郎、なんでこんなに家に差があるんだ。エターナル君家はこんなに綺麗だっていうのに、俺たちのあのボロ屋はなんであんなにもボロいんだ!
「…まあいろいろあったけど、そろそろ家に入ろう!」
「そうだな」
家に入ってなお、エターナル君の家は「豪華」ただその一言に尽きる出来栄えだった。
晩ごはんを終えて、アルマが自室を決めて自室に入っていったのを見送って、俺はもやもやした気持ちを抱えながら、その日は眠りについた。
真っ暗闇に、ひとつ。一枚の姿見ほどの大きさの鏡が置いてある。引かれるように俺は鏡へ歩いて行った。
『あなたは、後悔をしないひと?』
鏡から声が聞こえた。聞きなじみがあるようで、ない声。不自然な、声。
――お前は、誰だ?
『もっと近づいて、自分の目で確かめてみれば?』
俺は近づいて、鏡をまっすぐと眺めた。
――! …昔の、俺?
忌々しき姿、昔の遺産が、そこにはいた。
『あなたは、後悔をしないひと?』
――後悔、なんかどこかに捨ててきた。お前と違ってな
『もし、自分の選択のせいで、誰かが命を落としてしまったとしても?』
――…質問の意図は何だ! ぺらぺらと話すその喉を掻き切ってやろうか!
『やっぱり、わたしはわたしだった。また、話そう。わたし』
――うるさい、うるさいうるさい!! お前なんか、見たくない!
俺の話なんかには聞く耳も持たず、昔の俺は鏡から消えていって、鏡にはいつもの俺が映った。
――あ、ああ…
不意に鏡に触れた。鏡の奥の俺が、俺に手を伸ばしてくる。手を絡めて、俺に近づいてくる。
「来るな!!」
カーテンの隙間から、日が差しているのが見える。さっきのは、夢?
ひどく気持ち悪い夢だったが、ひとつだけ気になることがあった。
「…自分の選択のせいで、誰かが命を落とすって、何かの暗示か何かだったのか?」
もし、それが本当に起こる出来事だったのならば、俺はこのままではいけない。
ひとつ、俺は決心した。
あとがき
おねえさんとおにいさん




