冬
三題噺もどき―ごひゃくななじゅう。
窓を叩く雨音が響く。
今日はあいにくの天気だった。
昨日は割かし晴れていたのに、天気というのは気分屋にもほどがある。それに伴って気温もいつも以上に下がっているのか、体感ものすごく寒い。
「……」
部屋にいるにはいるが、暖房も何も入れていないので冷えている。
それなりに厚着をしているんだけど、寒い。厚手のパーカーにふわふわのひざ掛けを添えて。これで、靴下でも履けば変わると思うけど、アレは窮屈に感じてしまうので家の中では極力履きたくない。かと言って、裸足で冷たい廊下を歩くのも嫌なので。そろそろ温かいルームシューズを買いに行きたいところだ。
「……」
雨さえ降っていなければ、今日行ってもよかったのだけど。
この天気だとどうにもいろんなことが億劫に感じてしまうので、動けない。
最悪頭痛までしてくることがあるので、気は抜けない。今日はそこまでは行っていないが、月のものまでかぶっているので体調も気力も芳しくない。
「……」
しかし最近はそうでなくても頭痛がするんだよなぁ。
急に冷え込んだせいだと勝手に思い込んでいるんだけど。
どうにも、左のこめかみのあたりが集中的にズキズキと痛むのだ。
「……」
これが厄介なことにかなり痛むもので、頭痛薬でも飲んでいようかと思ったが。
なぜか、薬を飲むと唇が腫れるようになってしまったので、飲めなくなった。……あの唇の腫れは、アレルギー反応かなんからしいと調べてわかったが、それなら痛み止めは飲めないと言うことなんだろうか。結構頭痛とか酷いと吐き気までするから飲みたいんだけど……。まぁ、よほどのことがない限り飲まないし、今後は飲めないので別の対処を考えるしかないんだろう。ありがたいことに仕事を辞めてから、月のモノの時の腹痛が軽くなってきているので、飲む頻度は少なくなるだろう。
「……」
それなりに量が入った市販のを買ってしまったが、使用期限が過ぎれば捨ててしまおう。
それまではお守り的なかんじで、持ち歩くようにしておこう。飲めやしないが。
「……」
まぁ、そんな痛みのことは置いておいて。
とりあえず今は、この寒さをどうにかしたい。
部屋でちょっとした作業をしようと思って、パソコンに向かっていたのだが、あまりにも寒い。指先が冷えてきて、動きが鈍いのが分かる。キーボードが叩きづらくて仕方ない。
「……」
こう、寒くなってくると、冬のこの寒さは不愉快でしかなく、夏の暑さが恋しくなるが。夏は夏で暑さが不愉快極まりなくって……今年はちょうどいい気候というのに恵まれなかった気がする。気づけば秋は終わり、冬が来ていた。そういえば今年は紅葉も見てない。
「……」
いそいそと冬支度をしてみれば、急に暑くなったりもしたからなぁ。なんというか、体がおかしくなるのも当たり前という感じがする。……まって、ホントに手が言うことを聞かない。指先の冷えがかなりひどい……これキーボードが悪いと言うことはないよな。
「……」
この家カイロとかまだ用意されてないから、手を温めようがない。というかカイロを家で使ということがまずないので、あっても使わない気がする。
今年はまだ炬燵もだしていないので、手の温めようが……。
「……」
あぁ、そうだ。何か暖かい飲み物でも入れるとしよう。
マグカップで暖を取ると言う方法があるじゃないか。
休憩がてら何か淹れてこよう。
「……」
机から離れ、冷えたろうかを進み、階段を下りていく。極力足が触れないように、気持ちつま先立ちで歩いていく。……ちょっと今日は寒すぎるので後で靴下も履こう。
そのままキッチンへと向かい、電気ケトルに水をいれてお湯を沸かす。
「……」
ついでに何か食べたいと思い、お菓子が入ったカゴの中を探ってみる。この中には母や妹や父がもらってきたお菓子が入っているんだが……なにもないなぁ。
あ、このラムネは私がもらってきたやつのはずだから、これでいいか。
「……」
手に取ったそれの封を切り、口に放り込む。ラムネなんて久しぶりに食べたけど、案外美味しいものだな。あんまり溶けやすいのは好きじゃない。ラムネと一口で言っても色々あるからな。あの動物のイラストがついてるレトロっぽいやつはちょっと苦手だ。
「……」
口の中でラムネを転がしていると、お湯が沸いた。
そこらへんにあったカフェオレスティックを一本取り、マグカップに粉を入れる。
その上からお湯を注ぎ、氷を二つだけ。猫舌なので、すぐには飲めない。
それでも、暖は取れるので、両手で持ちながら自室に戻る。
「……」
冷えすぎた掌には少し暑すぎて、途中で持ち直したが。
これで少しはマシになるといいけど。
なんとなく、いい感じに気分も戻ってきたし。
「……」
これから、この寒さがいつまで続くのか。
ま、慣れてしまえば平気なのかもな。
寒いのはほんとに苦手だけど、夏になればこれも恋しく思うのかな。
お題:ラムネ・夏・不愉快