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薄明の色

高校二年生になったばかりの宮西久都(ひさと)は偏差値52の県立牛ノ宮高校に通う高校生。

特段頭がいいわけでもなければ、特段スポーツができるわけでもない。


いわゆる『平均』である。


「母さん7時には起こしてくれって言っただろ!!」

「もう高2なんだから自分で起きなさいよ!!!」

こんな押し問答をしている暇なんてない。早く学校に行かなければ新学期早々遅刻をすることになる!!

片道自転車で15分ほどの距離しかない道を立ちこぎで急ぐ。田んぼや川、神社など田舎らしさ全開の道ではあるがもはや見慣れてしまった。

「おいあと30秒で遅刻だぞ!!」

昇降口前で立っている先生の怒号にも慣れたものだ。あんなにイライラしてたらすぐ禿げるんだろう。


新しいクラスは2ーCだった。去年から仲の良い友達もいるし部活の友達もいる。今年一年は安泰だろう。

「よっ、久都は今日の部活いくか?」

「今日はいくよ、今日から一年生も来るんだろ?せっかくだし後輩とも仲良くならないとな」

話しかけてきたのは英斗だ。英斗こと多和田英斗は去年も同じクラスで僕と同じ弓道部に所属している。

高校生から弓道を始めた僕に一番よく付き合ってくれて一番教えてくれていた。噂では中学生のころに弓道の関東大会にも出たらしいが本当のことはどうなのかさっぱりだ。


今日一日は初日だからかオリエンテーションで終わってしまい、気づいたら一日の最後の授業が終わっていた。今日は部活に行こう。英斗に行くって言っちゃったしな。

この高校には弓道場があるが敷地の端っこにほそぼそと建っているだけだ。部員は二年生と三年生を合わせて40人ほど。一年生がどれくらい入ってくるかによっては大所帯となる。


「やっほー冬香」「おっ久しぶりに来たね久都ー!さぼりすぎじゃない??w」

「後輩が入るんだしこれからはちゃんとくるさ……ところで一年生は?」

「いやーそれがさぁ今年は一年生の男子がほとんど入ってくれないのよーおかげで今年の一年生は女子15人男子4人だってさーー」

「極端すぎるだろ。そーいや英斗は来てないのか?」

「英斗?あいつなら速攻で家帰ってるの見たよ?」

てっきり来るものだと思ってたのに…

「そーだ久都!この一年生三人のお世話よろしくね~これからその三人にちゃんと弓道のこと教えてあげてね~~じゃ!私も帰るから!あとはよろしく~!!」

どうやら一年生をグループ分けして教えていくらしい。グループ分けをした当の本人は分けるだけ分けてかえっていった訳だが。


「えーっと。これから君たちに教えていきます。二年生の宮西久都です。呼び方は自由でいいから君たちの自己紹介をしてもらえる?」

「はい!私から!!えっと松本美江です!中学の時はバスケやってて、弓道はやったことないけどお兄ちゃんがここの高校で昔弓道やってました!よろしくお願いします!!」

やや茶色みがかった髪が特徴的なその子はそういってハイタッチを要求してきた。

「ハイタッチ…?」

「ハイタッチですよ?知り合いになった証拠です!」

「な、なるほど?じゃあ次はそこの男子いこうか!」

「遠藤陸です。どこか運動部には入れっていわれたので弓道部に入りました。よろしくお願いします…」

少し声が小さめでおとなしいタイプ。正直僕的には関わりやすいのでとても助かる。関わりやすい人間が集まっているのもきっと冬香がすこしは配慮してくれたのだろう。

「えっと、山形陽奈子です!弓道は経験ないけど一生懸命がんばります!!」

比較的大人しそうではあるが元気さも垣間見えていて黒のポニーテールがよく似合っている。

こういうタイプの子が一番袴が似合う。これが僕の持論だ。異論は認めない。


「ではこれから弓道について教えていきます。」



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