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悪役?ライバル?に転生〜器用貧乏型が知識と努力で運命を切り開く〜  作者: ヒバリ


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23 伯爵様からの依頼

         第一章

      伯爵様からの依頼

sideアルス


 アルスは伯爵様の依頼を完遂するため村を出て街道に沿って男爵様の街まで来ていた。

 冒険者時代とは違って乗合馬車ではなく単騎で駆けていたが途中で馬車の護衛をしながら移動していたので冒険者時代のような感覚を思い出して少し楽しい。


 男爵様の所に来たのはここに寄られるさる方の護衛に加わるからだが、詳しい話はここで聞くようにも言われていた。

 馬を門の前で降り、伯爵様からの手紙を門番に見せて馬を預けて客室に案内してもらう。

 そこで軽く身支度を整えさせてもらうと使用人から男爵様への目通りができるようになったと伝えてもらい案内してもらう。


 「失礼致します。アルス・シュヴァリエ・ゼノンです。」


 数回ノックした後に自分から声をかけて入っていく。

 使用人は自分がやることなのにとアワアワしていたが気にするなと微笑みかけズカズカと中へ入る。


 「おう、久しぶりだなアルス。」


 入って目の前の机で書類仕事に追われながらも声をかけてくる貴族が男爵だ。

 こいつは俺が騎士になる前から仲が良かった貴族で俺が仲間入りしてからも何かと良くしてくれている。


 「ああ、例の件でこちらまで来たんだが…。ゼファール様は相変わらず忙しそうだな。」


 「はぁ!?こんなふうに忙しい原因はお前にもあるんだぞ!?もっとちゃんと報告書を上げろ!なんだこれは!?」


 男爵の手に握られている書類には、いっぱい取れた。半分以上使った。等と報告書というにはあまりにもな内容が書かれていた。


 「はっはっはっ!お前だからだよ!他の方だったらそんな適当にしないさ。」


 「いや!俺でもちゃんとしろ!このバカ!」


 「まぁまぁ落ち着け。その分倒した魔物の種類や数に関しての報告は詳しいだろ?それに、俺の息子がもし継ぐってなったら領内で1番詳細な報告書が上がるさ。」


 「あぁ…お前はいつもいつも…。お前が何時も褒めちぎってる自慢の息子様のおかげで最近は大分マシな報告書になってきてるな。

 もうお前爵位息子に継がせろよ…。」


 「いやー、それはなぁ…。息子のエルには自由にさせてやりたいからな。

 あいつはうちを継ぐつもりだろうがその前に世界を旅したいと思ってるだろうしな。」


 会話をしながらゼファールは書類を纏めると応接室に行こうとアルスを誘って部屋を出る。


 「あら、お父様?この時間に部屋にいらっしゃらないのは珍しいですわね。いかがなされたので?」


 応接室に行くまでの道にあったテラスのような席でティータイムを楽しんでいる少女がゼファールを父と呼び話かけて来た。


 「シャレム、こいつがよく話していたアルスだ。今日こっちにきてくれたから応接室で少し話でもとな。アルス、この子は俺の娘のシャレムだ。」


 「初めまして、シャレム・エトアですわ。」


 綺麗なカテーシーを決めた状態でシャレムは挨拶をする。


 「お初にお目にかかります。ゼノン騎士領を拝領しておりますアルス・シュヴァリエ・ゼノンにございます。以後お見知り置きを。」


 それに対してアルスもしっかりと胸に右手を当て頭を軽く下げる。


 「そのように畏まらないで下さいませ。黒雷のアルス様は我々にとって英雄のようなお方なのですから。」


 アルスは冒険者時代の活躍だけでなく、騎士になってからの魔物討伐などで活躍しておりそのおかげで助かっている事は周知の事実であった。


 「そうだぞ。シャレムはまだ爵位も継いでいない娘だしな。」


 「わかったよ。だが、友人の娘に対する最低限の礼儀は通させてもらうぞ。」


 「ええ、それは勿論!応接室に向かわれるのでしたら私も付いていってよろしいでしょうか?」


 「うむ、まぁ大丈夫だろう。お前なら他言することも無いだろうしな。」


 ゼファールはアルスと娘のシャレムを連れて応接室へと入った。

 ゼファールがソファに座るとその横にシャレムが座り、対面にアルスが座る。


 大きな窓から暖かい光が眩しすぎないくらいに入ってきている。

 壁にはクロスが引かれており木が剥き出しの我が家と違ってまた違う良さがあるなと思っていると使用人がティーポットとティーカップを持ってくる。

 作法としてゼファールが先に口をつけ、その後に口をつける。


 「さて、まずは面倒臭い話を先に終わらせておくとしようか。」


 「あぁ、仕事の話はさっさと終わらせよう。俺は何のために呼ばれたんだ?最近だと危ない魔物は粗方居なくなったと思うが。」


 「そうだな。アルスのおかげで我が領内だけでなく伯爵領内の南側は安全と言えるだろう。それに北側だって問題になってない。」


 「なら、何が理由なんだ?報告書に挙げた通り俺の領地にある魔境の森から不自然な魔物の増加があってできるだけ領地に居たいのも分かってるだろう?」


 少し眉を顰めながらゼファールへと問いかける。

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