おにぎりとはらぺこドラゴン
あたたかい春の日、女の子はお母さんとお父さんにつれられて、山へピクニックに出かけました。
お母さんといっしょににぎったおにぎりをもって、わくわくしながら歩いていました。
ですが、あまりにも楽しみすぎた女の子は、お母さんに『あぶないから走っちゃだめ』と言われていたのに、走りだしてしまいました。気がついたら、お母さんもお父さんもいなくて、女の子はひとりぼっちになってしまいました。
ひとりになった女の子は、なきだしてしまいました。いっぱいいっぱいなきました。そうしたら、目の前に大きなドラゴンがあらわれました。
「そんなにないて、どうしたの?」
「あのね、まいごになっちゃったの。お母さんもお父さんも、いなくなっちゃったの」
そう言ってなく女の子の頭を、ドラゴンは大きな手でやさしくぽんぽんとなでました。それからドラゴンは、女の子がなきやむまでとなりにいてくれました。そのうち、ドラゴンのおなかから『ぐぅ』という大きな音が鳴りました。
「ドラゴンさん、おなかがすいているの?」
ドラゴンは、はずかしそうに「うん」と言いました。女の子は、もっていたかばんからおにぎりを出して、ドラゴンにわたしました。
「わぁ、おいしそう。これはなに?」
「これはね、おにぎりだよ。お母さんといっしょににぎったの」
「ぼくが食べてもいいの?」
「いいよ!」
女の子がにぎったおにぎりは、大きなドラゴンにとってはとても小さなものでした。ドラゴンは、それをひとくちでぱくりと食べました。
「とってもおいしいね」
「でも、ドラゴンさんにはちっちゃいね」
女の子もおなかがすいてきたので、ふたりでいっしょにおにぎりを食べました。お母さんにおこられちゃうかなぁと思いながら、食べました。大きなドラゴンといっしょに食べると、おにぎりはすぐになくなってしまいました。
「おにぎりをたくさん、ありがとう。きみの親をさがしてあげる」
そう言うと、ドラゴンは羽を大きく広げました。そして女の子をだきあげると、空へとびたちました。
女の子の親は、すぐに見つかりました。お母さんに、『走っちゃだめだって言ったのに』とおこられてしまいました。おにぎりを食べたことは、おこられませんでした。
女の子は、ドラゴンに「ありがとう」と言ってかえりました。それからしばらくして、女の子はまた同じ山へピクニックに行きました。こんどは、とっても大きなおにぎりをたくさん持って行きました。
後編のようなもの→ 《https://ncode.syosetu.com/n5089gq/》