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追放されたが、それでも収縮拡張スキルで英雄へと駆け上がる  作者: うっちー(羽智 遊紀)


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村に到着したレリアーノたち

 おいしい食事、快適なキャンプ生活。ルクアによって野営のレベルが上がったフーベルト達とレリアーノは心身ともにリフレッシュしており、数度の戦闘も最高の状態で完勝し村に到着していた。想定以上にオオカミに襲われたのだが、定期的に休憩を入れていたレリアーノたちにとって連戦は特に問題なかった。


「思った以上にオオカミに襲われたな。休憩を多めにとって正解だな」


「ええ、そうね。ひょっとしたら村の被害が大きいかもしれないわね。牧場が無事だといいけど」


 身体の疲れは問題ないが、精神的に疲れた表情を浮かべているレリアーノが呟ぶやいていると、ルクアが神妙な表情で頷きながら答えた。しかしルクアの表情はオオカミの皮が大量に手に入った事で輝いており、疲れ切った自分とは対照的だとレリアーノは苦笑していた。


「俺たちは依頼主と話をしくる。二人はここで休憩をしていてくれ」


 フーベルトの言葉にレリアーノとルクアは頷くと、近くにあった木の下にシートを広げてお茶やお菓子を並べ始める。


「私も一緒に休憩してもいい?」


 フーベルトと一緒に依頼主の元に行ったはずのクレアが2人に近づいてきた。当たり前のようにベックが傍に控えており、小さく頭を下げていた。


「俺たちも一緒に休憩をしてもいいだろうか? それと……」


「ああ、もちろんだ。気にせずに一緒に一緒に食べようぜ」


「なに遠慮しているのよ。そんな仲じゃないでしょ」


 ベックの言葉を遮ってレリアーノとルクアが笑顔で答え、シートに座るように伝える。


「感謝する」「ありがとう!」


 レリアーノの言葉にクレアが嬉しそうに並んでいるお菓子を食べ始めた。ベックは遠慮気味に食べており、クレアの健啖家ぶりはルクアも呆れるほどであった。


「遠慮するなとは言ったけど限度はあるわ。お金取るわよ?」


「らってほいしい(美味しい)よ?」


「そりゃあ私とレリアーノが街で選んだお菓子だもの。美味しいに決まってるじゃない。ほら、そんなに頬張りながら喋らないの」


「むー」


 口いっぱにお菓子を詰め込んでいるクレアは口の周りにはお菓子が付いており、ルクアがハンカチを出して(ぬぐ)っていた。そんな様子をベックは微笑ましそうに見ており、レリアーノも姉妹のように仲が良い2人を眺めていた。


「村長との話は思ったよりも時間が掛かるんだな」


「そうね。それにしても遅いわね。2人は幸せそうに寝ているけど」


 1時間以上経ってもフーベルト達は帰ってこず、さすがに心配になったレリアーノが呟いていた。ルクアも同感だと頷いていたが、呆れたようにクレアとベックに視線を向ける。お腹一杯になったクレアはベックにもたれ掛かって幸せそうに寝息を立てており、ベックも一緒に寝ているようであった。


「ふふ。恋人同士というよりも仲の良い兄妹みたいね」


「ああ、そうだな」


 用意したお菓子もなくなっており、レリアーノとルクアは紅茶を飲んで寛いでいた。風が静かに流れている村の風景は平和そのものであり、ギルドに討伐依頼を出すようには見えなかった。そんなゆったりとした空気を満喫しているレリアーノとルクアの元に、フーベルト達が難しい表情をして戻ってきた。


「その様子だと大変な依頼になりそうね」


「ああ、そうだな。ちょっと難しい話になっている。俺たちにもお茶を頼めるか?」


 疲れ切った表情でフーベルトがルクアにお茶を希望する。準備をしながらルクアは村長との話を聞いており、難しい表情のまま答えていたフーベルトだが、幸せそうに寝ているクレアとベックを見ると少し目じりを下げた。


「いつもと変わらない光景を見ると癒されるな」


「そうなの? いつもの事なのね。どうりで寝るのが早いと思ったわ」


 紅茶を飲みながら笑みを取り戻したフーベルトにルクアも表情を緩める。そして一息ついたフーベルトは表情を改めると本題だと討伐内容を話し始めた。


「オオカミに襲われているのは間違いないらしい。だが、普段なら群れの数は2つから3つ程度だそうだ。それが今は数えきれないほどになっているらしい。そう言えば、こんな依頼が多いとベルトルトさんから最近聞いたな」


「なるほどね。私達が遭遇したゴブリンの群れもそうだったのかしら」


 フーベルトの説明を聞きながらルクアがうんうんと頷いている横で、レリアーノはユリアーヌ達を思い出していた。


「大丈夫よ。そんなやわな連中じゃないわよ。それに大賢者マリウスが居るでしょ。心配する要素なんてなにもないわ」


 考え込んでいるように見えたのか、ルクアがレリアーノに笑いかけ、心配無用だと伝える。確かに英雄と呼ばれる大賢者マリウスなら一人でゴブリンジェネラルを相手できると思い直し、フーベルトに頭を下げた。


「そうだったな。爺さんがいるもんな。フーベルトごめん。話の続きを頼む」


 頭を下げたレリアーノに気にするなと答えていたフーベルトだが、今回の依頼が1日で終わらないと申し訳なさそうにレリアーノに伝えてきた。


「すまないな。レリアーノは防具が古いままだ。取りに行ってもらいたいところだが……」


「気にするなよ。今の防具も傷んでは来てるけど、まだまだ現役で使えるからな」


 レリアーノの言葉にフーベルトは安心したように頷くと残っていた紅茶を一気に飲み干した。


「よし、クレアとベックも起こして場所を移動しよか」


 フーベルトはそう言いながら幸せそうな寝息を立てている2人を揺り起こすと、村長が用意した空き家に移動するように指示を出した。


「なーにー。まだ眠いー」


「ああ、クレアは移動したら寝ててくれていい。魔法使いは魔力の回復が大事だからな。俺達は作戦会議だ」


 ベックに背負われた状態で寝に入っているクレアを見つつ、レリアーノはルクアに尋ねる。


「そんなに魔力の回復は大変なのか?」


「ええ。普通はそうよ。レリアーノはレアスキルを持っているから理解しづらいでしょうけど、魔力の回復は疲労を取るのと同じよ。美味しいもの食べて寝るしかないの」


「そっか。俺みたいに魔力を収縮出来たら、少ない魔力でも高出力な魔法が撃てるからな」


「そうよ。レリアーノは稀有(けう)な存在なのよ。もっと自信を持って欲しいわね。師匠のマリウスが泣くわよ」


「弟子になったつもりはない!」


 自信を持つようにと、出会ってから言われ続けている台詞にレリアーノは苦笑しながらも、追放された時と比べると自信を持っている自分に気付くのだった。

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