報告が終わり評価されるレリアーノ
「……。なるほどな。よく分かった。今回の依頼についてはレリアーノとルクアの評価を正しく検討するから安心してくれ。それで魔石は取得できたのだろう?」
「もちろんよ。ベルトルトからの依頼は魔石の納品でしょ。守護者ゴーレムの魔石が1個でよかったわよね?」
レリアーノから話を聞いたベルトルトが魔石を渡すように伝えると、ルクアが無限収納から守護者ゴーレムの魔石を取り出して確認する。
当たり前の事を聞いてくるルクアに、ベルトルトが首を傾げながら答える。
「ん? 1個で問題ないぞ。あえてそのような確認をしてくるのには、なにか意味があるのか?」
「いえ、念のために確認しただけよ。依頼内容と違っていたら、私たちの評価が下がるでしょ?」
魔石を手渡しながら茶目っ気たっぷりに笑うルクアに、ベルトルトは苦笑しながら答える。
「報告を聞いた上で、評価を検討すると言っているのだから心配無用だ。魔石は依頼を遂行した証拠として提出してもらうぞ。魔石はギルドの運用で必要なものであり、依頼には納品も入っているのだから、報酬は魔石の買取と依頼を完遂した金額が合算される。その金額でレリアーノの装備を整えるといい。武器は問題ないが、防具が随分とくたびれているぞ」
「もちろん分かっているわ。レリアーノの防具もゴブリンジェネラルやゴーレムたちとの戦闘で傷んでいるからね。今の防具もかなりの逸品だけど、長く使えば痛みもでるわ。だから、もらった報酬で修理じゃなくて買い替えをする予定よ」
「そうだな。ぜひともレリアーノの頑張りに応えてやって欲しい。魔石の買取価格は普段より高めにするように指示をしている」
「へえ、いつもより高額になっているんだ」
ベルトルトの回答にルクアの目がきらりと光る。
「今の言葉に嘘は無いわよね?」
「報酬の話で嘘など付かんよ」
ベルトルトの言葉に満足げに頷いたルクアが、無限収納から2個の魔石を取り出すとテーブルの上に置いた。
「だったら、ここに守護者ゴーレムの魔石がさらに2個あるわ。これも買い取ってもらえるかしら? もちろん、魔石の買取価格は色を付けた金額にしてくれるんでしょ?」
「ふっ……。なるほどな。守護者ゴーレムを3体討伐したと聞いたときに魔石の数も確認すべきだったな。いいだろう。同じ金額で買い取るようにしよう。レリアーノもそれで問題ないか?」
手渡された魔石を手のひらで転がしつつ、苦笑しているベルトルトがレリアーノに視線を向けて確認する。
「俺はそれでいいよ。値段の交渉なんて俺には分からないから。ルクアに任せといていいよな?」
「もう! レリアーノにはもっと勉強して欲しいから、ベルトルトとの交渉の場にいてもらっているのよ。いい? 本来ならもっと金額の交渉をして、お互いに落としどころを探って、見付けて、お互いに納得するのよ。これから交渉術をしっかりと覚えていきなさい。もし、私がいないところで報酬の話になったらどうするの? 少しでも慣れておかないと、格安で仕事をさせられるわよ」
「まあ、その辺りの講義は後で2人になってからやってくれ」
そう言いながらベルトルトは手元にあったベルを鳴らすと、やってきた事務員の女性に報奨金を準備するように伝える。
金額を聞いた女性が目を見開いてベルトルトに確認してきたが、ベルトルトが頷いて了承すると、報奨金の準備するために部屋から出て行った。
「お、思ったよりも高額になるんだな」
「当然よ。あのクラスの魔石なら妥当な金額だわ。まあ、販売するならだけどね。まさか買い取り金額でここまで提示してくれるとは思わなかったわ。さすがはギルドマスターね」
ベルトルトが告げた金額にレリアーノが驚いていたが、さすがのルクアもベルトルトの決断に感心しているようであった。
「ふふっ。言っただろう? 色を付けると。それにマリウス様から預かった期待の新人だ。少しくらいは贔屓にしても問題ない。それだけの権限が私にはあるからな」
ルクアに押されっぱなしなベルトルトだったが、一矢報いたと思ったのかルクアに向かってニヤリと笑みを向けるのだった。
◇□◇□◇□
「ふっふっふ。大勝利じゃない。まさか思っていた2倍の金額で売れるなんてね。これでレリアーノの防具を一新できるわ。ベルトルトも話が分かるギルドマスターで良かったわ」
「俺は肝が冷えたよ。ベルトルトさん相手に引き下がらないんだからな。さすがはルクアだと思うけど、俺は同じことは出来ないぞ。さっきは勉強しろと言ってたけどさ」
ギルドから出たレリアーノとルクアだった。
大きく伸びをしながらニヤニヤとギルドを見上げているルクアに、レリアーノが呆れた表情を浮かべながらため息を吐いていた。
「なによ。いっぱい稼げたからいいじゃない。これでレリアーノの装備を整えられるわ。ベルトルトにお勧めの防具屋も聞いているからね。さすがは英雄が居る街よね。武器屋と防具屋が分かれているんだから」
「ああ、そうだな。せっかく買った防具も思ったよりも早く傷んだからな。修繕する前に駄目になるなんて思わなかったよ」
「それだけレリアーノが激戦をくぐり抜けてきたってことでしょ。全て経験になっているんだから胸を張りなさい。そのためにベルトルトからお金を巻き上げたんだからね!」
レリアーノはルクアの商人としての力量に感心しながらも、自分には出来ないと思っており、今後の交渉もルクアに任せることに決めていた。
「まあ、防具を買い替えるなら金額が多いに越したことはないけどさ。それにしても新しい防具は軽さを重視するか、防御力を優先させるか悩むよな」
「そこは防具屋に行ってから決めましょうか? レリアーノに戦闘スタイルをそろそろ決めていい頃かもね」
ルクアの言葉に、レリアーノは自分の戦闘スタイルをどうするのか考えながら防具屋に向かうのだった。




