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追放されたが、それでも収縮拡張スキルで英雄へと駆け上がる  作者: うっちー(羽智 遊紀)


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街に着いたレリアーノ

「じゃあ、いつもの姿に戻るけど、未練はないかしら?」


 エルフ姿のルクアが片目をつぶってレリアーノに確認してきたが、聞かれたレリアーノは赤い顔をしつつ、馬車から海の様子を眺め無視する事に決めたようであった。


「ふふっ。いつでも言いなさい。レリアーノにだったら元の姿に戻ってあげるからね」


 くすくすと笑いながらルクアが詠唱を始めると、徐々に姿が変わっていき、普段見慣れている子供サイズになった。


「何回か見たけど、ルクアのそれって本当に不思議だよな。大きさから変わるんだもんな」


「でしょ。この魔法はハイエルフの秘伝なのよ。普通のエルフは私みたいに2重に掛けないからね。見た目を少し変えるくらいかしら」


「ハイエルフだとバレると大変なのか?」


 身長まで変わる魔法の不思議さを感じながらレリアーノが眺めていると、ルクアが楽しそうに笑みを浮かべながら教えてくれた。


「そうね。私がハイエルフだとバレると国家間で取り合いの争いが起こるかもね。ベルトルトですら私が普通のエルフだと思っているわ。ハイエルフだと知っているのはレリアーノとマリウスの爺さんくらいじゃない? シャルやルイーゼたちも知らないわよ」


「はっはっは……争いなんて冗談だよな? それにマリウスの爺さんしかルクアがハイエルフだって知らないのかよ」


 最初は笑っていたレリアーノだったが、ルクアの表情に本気さを感じると、思っていたよりも重要な情報を握っていることに顔をひきつらせる。 


「冗談だったら良かっただけんどねー。過去の歴史でも国が滅んだ事があると物語になるくらいだから、私がエルフだとバレてもいいけどハイエルフとだけは絶対に話さないでね。最悪、レリアーノも連れ去れるからね」


「ハイエルフって物語に出てくる神秘的なイメージだったのに……。急に陰謀にまみれた話なんて聞きたくなかったぞ」


 ハイエルフの存在はルクアがレリアーノに話した通り、伝説の中での存在であり、その希少価値から所有することで世界を牛耳れるとまで言われていた。


「ハイエルフを捕まえたからって世界を牛耳れたら楽だよねー。私がいた村には100人はいたから100回は世界征服が出来るわね」


「確かにそんな話を聞くと、ルクアがハイエルフだとバレたらやばそうだな。分かったよ。気を付けるし、何かあれば俺が守ってやる」


 ルクアの話を聞きながら、レリアーノが真面目な表情で決意を新たにする。


 そんなレリアーノの表情にルクアは目をしばたかせていたが、目元を緩めて小さく微笑みながらレリアーノの手を取った。


「レリアーノったら男らしいじゃない。分かったわ。美しいお姫さまを守るのは騎士の役目だものね。レリアーノならしっかりと守ってくれると信じているわ」


「ま、任せろ! どんな相手だろうとルクアを守ってやるからな」


 レリアーノは顔を真っ赤にしながら、ルクアの手を取ると真剣な表情で誓いを立てるのだった。


◇□◇□◇□


「レリアーノ、ルクア。着いたぞ。降りてくれ」


 街に着いたと馬車の外から声を掛けられた二人はゆっくりと馬車から降りると、目の前にある建物を見上げる。


「ここが冒険者ギルドか」


「ああ、そうだ。これからレリアーノが在籍する場所でもあるな」


 見上げているレリアーノに、ベルトルトが話しかけてきた。


 これから働くことになる建物がレリアーノを迎えてくれているように見え、これから新しい冒険者人生が始めると気合を入れているレリアーノに、隣に立っていたルクアが話しかける。


「さあ、レリアーノの大いなる第一歩よ! どんな依頼を受けようか?」


「そうだな、新しいスタートだな! まずは俺たちが受けられる依頼を確認しないとな! リーダーはルクアだけど、受ける依頼は2人で決めさせてくれよ」


「おっと、まずはレリアーノの手続きを終わらせよう。依頼を受けるのはそれからだ」


 テンション高くレリアーノとルクアが話していると、ベルトルトが待ったを掛けてくる。


 レリアーノの強制脱退とランクを落とした件の書類は手続き上は完了していたが、レリアーノのギルドカードの更新が出来ていないとの事であった。


「では、さっそく中に入ろうか」


「分かったよ。まずはカードの更新をしないとだな」


 ベルトルトの言葉にレリアーノは勢いよく頷いて扉を開けて中に入ると、一斉に視線を感じ、思わず後ずさりそうになる。


「ほら、行くわよ。レリアーノ」


「あ、ああ」


 視線を気にすることなく、中に入っていくルクアの後姿は実に頼りがいがあり、情けなく思いながらも付いて行くレリアーノ。


 そんな二人に視線が集中しており、好意的な視線が多いことにレリアーノは戸惑っていたが、ベルトルトから今回の事情は、この町のギルドにも伝えているとのことであった。


「変に絡まれるのは嫌だろう?」


「それは助かるよ。絡まれてもどうすればいいか分からないからな。でも喧嘩は規則違反になるだろう?」


 レリアーノの問い掛けに、ベルトルトは変に絡まれると、喧嘩にならなくても嫌がらせを受けることや、情報共有がされないことがあると注意する。


「規則違反にならない程度に邪魔は出来るからな。このギルドは私の目が光っているから、そういった事は少ないが、全員がいい奴ではない。他の街からも冒険者たちは来るからな。もし、なにかあれば私を呼び出しなさい」


「へー。ベルトルトさんに、そこまで言わせるなんて期待のルーキーはやっぱり違うねー」


 何かあれば報告するようにとベルトルトがレリアーノに伝えていると、近くのテーブルで酒を飲んで宴会をしていた冒険者の一人が立ち上がるとレリアーノたちの元にやって来た。

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