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追放されたが、それでも収縮拡張スキルで英雄へと駆け上がる  作者: うっちー(羽智 遊紀)


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レリアーノは欠点を指摘される

「じゃあ、ここでライトニングレインを撃てばいいのか?」


「そうじゃの。ゴブリンジェネラル達を倒した時のようにやってみせてくれ」


 町の外に出てきた三人。少し広めの草原で足を止めたレリアーノが確認すると、マリウスとベルトルトが軽く頷いて魔法を発動させるように促した。


「ちょっと魔力を収縮するのに時間が掛かるけど気にしないでくれよ。じゃあ、いくぞ」


 レリアーノが発動体を手に持ちながら目をつぶり大きく深呼吸すると意識を集中させていく。体に流れる魔力を右手に集め、そして一点にまとまるように収縮するイメージをしていく。そして発動体になるワイバーンの魔石から魔力を右手に移動させようとして、後頭部に激痛を感じたレリアーノが思わず振り返る。


「痛ぃ! なにするんだよ、爺さん。邪魔するなよ。せっかく収縮した魔力が散ったじゃないか――な、なんだよ」


「馬鹿者! 2日も寝込んだ原因が分かったわい。あれほど身体の魔力を収縮させるのは最後にせいと言っておったであろうが! よく死ななかったもんじゃ」


 右手に集まっていた魔力が拡散され身体を駆け巡った、勢いよく魔力が巡回し立ち眩みを起こしたレリアーノが叩かれた場所をさすりながらマリウスに抗議をしたが、その真剣な表情は全ての反論を許さないと物語っていた。


 そんな真剣な表情を浮かべているマリウスに思わず息をのんで、後ずさりするレリアーノ。そしてベルトルトもマリウスから説明を聞いてあきれた表情を浮かべた。


「体の魔力をすべて右手に集めておったじゃろう。お主が未熟じゃからよかった。もしもスキルの扱いが熟練したレベルになっていたならば、そして全ての魔力を右手に集めておったなら、身体中の魔力が枯渇する事になって死んでおったぞ!」


「え? う、嘘だろう?」


 マリウスの剣幕に気圧されながらも、信じられないとの表情を浮かべて確認してくるレリアーノにマリウスはため息を吐きながら答える。


「なにが嘘なものか。魔力は、この世界で暮らす上で必要とする最低量があるのじゃ。どんな魔法使いであっても、魔物であっても、大賢者と呼ばれる儂であっても、最低限の魔力は残しておる。今までも同じ事をしていたのに、気付いてやれなかったのは儂の落ち度じゃな」


 レリアーノの表情を見て、なにも分かっていないと理解したマリウスが再びため息を吐く。徐々に事の重大さが分かってきたレリアーノに、横で話を聞いていたベルトルトもマリウスに苦笑を浮かべながら話しかけた。


「それにしても才能と今の実力がかけ離れているご仁ですな。この年ならある程度の経験を積んでいてもよさそうなものですが」


「そうじゃろう? 儂も最初にあった時に思ったわい。じゃからこそ素晴らしい原石を見つけたと喜んで鍛えようと思ったんじゃがのう。ここまで基礎が出来ておらんとは……。よいか、レリアーノ。このままでは魔物に殺される前に、自分のスキルに殺されてしまうぞ。お主達は冒険者として生計を立てると言っておったが、とてもじゃないが旅に出るのは許可出来んのう」


「え?」


 マリウスの言葉にレリアーノが打ちひしがれる。スキルを使いこなし、これから冒険者として名を馳せようと意気揚々な未来図を描いていたのが、思いっきりダメ出しされたのである。前のパーティーで役立たずだと、パーティーメンバーからこき下ろされていた事が脳裏をよぎり、沈んだ表情になるレリアーノにベルトルトが声を掛けた。


「お主。レリアーノと言ったな。俺の元でしばらく働かんか?」


「え? ベルトルトさんの元で働くのか……のですか?」


 突然の申し出に戸惑って敬語を忘れそうになったレリアーノが言い直しながら、不思議そうな顔になっているのを見て、マリウスが補足をしてくれた。


「それはいいかもしれんのう。ベルトルトは王国騎士団を退団してからは、ギルドで要職についておる。儂が直接鍛えたいのじゃが、レベルに合わせた教育をするならベルトルトの方がええじゃろうな。儂じゃと加減や常識を教えるのを忘れがちじゃからのー」


「マリウス様は何事も困ったくらいに全力ですからな」


 マリウスの言葉に含み笑いを浮かべながら答えているベルトルトの提案をレリアーノは考える。今まさに、伝説の大賢者からダメ出しをされたばかりである。自分に足りないものが多いと改めて感じていたが、ルクアに相談せずに結論は出せないとも思っていた。


「ちょっと待って欲しい……です。パートナーのルクアと相談が必要なので。俺一人で決めていい話じゃないから」


「そうするがいい。パートナーとの話し合いは大事だからな」


「まあ、ルクアも文句は言わんじゃろう。レリアーノの成長に繋がるからのー」


 その後、マリウスに助言をもらいながら魔力の調整をしたライトニングレインを披露するレリアーノ。勢いよく放たれる雷の雨を見ながら、マリウスとベルトルトは驚愕の表情を浮かべた。


「なんと。ここまでの威力とは。こんな攻撃を受けたら普通のゴブリンなぞ瞬殺じゃろうな」


「そうですね。むしろ生き残ったと報告のあったゴブリンリーダーとゴブリンジェネラルは凄い個体だったということですな」


「そうじゃの。儂やベルトルトなら討伐は出来ようが……。まだ未熟なユリアーヌなら厳しかったであろうな。本当に運が良かったのー。神に感謝じゃ」


 放たれたライトニングレインの跡を眺めながらマリウスが呆然と呟いていると、ベルトルトも同意したように応えた。それほどレリアーノが放ったライトニングレインは高威力であり、短時間で詠唱された魔法だとすると破格の威力であった。


「ふふっ。良いでしょう。剣士をしながら魔法を放てる冒険者を育てられるとは名誉なことです。両方とも一定レベルになるまでは鍛え上げますよ。1年は預かっても大丈夫でしょうな?」


「そこはリーダーのルクアと相談してくれ。レリアーノの事を思って言えば問題ないじゃろう。なんせ保護者だそうじゃからの。そうであろう? ルクア」


「そうね。私を抜きに色々と話を進めているみたいじゃない。でも、最終確認をしてくれるみたいだから許してあげるわ」


 マリウスとベルトルトが会話していると、背後から気配を感じた。それがルクアと分かったマリウスが振り返りながら確認すると、笑みを浮かべたルクアが立っているのだった。

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