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追放されたが、それでも収縮拡張スキルで英雄へと駆け上がる  作者: うっちー(羽智 遊紀)


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レリアーノは称賛を受ける

「え? 本当なのか? もう二日も経っているのか? あの後はどうなったんだよ?」


「ふぉふぉふぉ。これこれ。そんなにがっつくもんじゃない。さっきまでルクアの容姿を堪能しておったじゃろうが。もっとゆっくりと事を構えんと大物になれんぞ」


 レリアーノからの問い掛けにマリウスが笑いながら答える。マリウスの言葉に思わず赤面したレリアーノが周囲を見渡すと、ユリアーヌやモニカはニヤニヤと笑っており、ルクアもいたずらっ子のような笑みを浮かべて近づいてきた。


「どう? もうちょっと、じっくり見たい? いいわよ」


「もういい! もういいから。ルクアも元の姿に戻ってくれよ」


「ふふ。それは出来ない相談ね。この後にレリアーノとデートする予定だもの」


「ふぁぁ!?」


 ルクアの言葉に一瞬で全身が真っ赤になったレリアーノだったが、ルクアが含み笑いをしているのを見ると、近付いているルクアの肩を押しのけて勢いよく立ち上がった。


「からかうのはそこまでにしてくれ! さあ、爺さん。あっちでゆっくりと後始末の話を聞かせてくれよ」


「しかたないのう。ルクアも一緒に来るか?」


「いいわ。レリアーノに嫌われちゃったもの。ここでユリアーヌとモニカとでお喋りでもしているわ。膝枕までしてあげたのに、なんて可哀相な私」


 泣き真似までしているルクアを放置するようにレリアーノはマリウスを引っ張って応接室に向かう。目覚めて気付いたのだが、ここはレリアーノ達が滞在していたゲールハルトの館であり、ユリアーヌの実家でもあった。


 レリアーノが休んでいたのは館の離れであったようで、応接室に向かう前に訓練場を横切ったが、そこには数多くの者が集まっていた。装備を確認している者や資材を運び込む者。何やら命令をしている指揮官など、緊張感がレリアーノにも伝わってきた。


「領兵っていたんだな」


「当たり前じゃ。仮にも領地持ちの貴族じゃぞ。普段は領内に散って魔物や盗賊を討伐しておる。今回は領都近くでの騒動じゃからのう。冒険者にも依頼をして対応をしておるのじゃ」


 森に向かう前はゲールハルトや娘のルイーゼ、レリアーノが馬車の中で出会い、屋敷で働くことになったシャルや母親のレーナが居るくらいであったが、今は領兵が至る所におり、後始末に奔走しているようであった。


「マリウス様」


「ん? おお、ベルトルトではないか。久しいのう」


「はっ! 緊急事態により召集されました。まだまだ老いぼれの力が必要なようでして」


 レリアーノとマリウスが会話をしながら館にある応接室に向かっていると、一人の老人、ベルトルトが話しかけてきた。マリウスも気楽な感じで答えていたが、レリアーノはベルトルトから漂ってくる強者感にしり込みをしていた。


 マリウスと会話をしていたベルトルトが、隣にいるレリアーノに視線を向ける。大賢者マリウスと親し気に話していた様子を見て、最初は只者ではないと思い軽く威圧を掛けてみた。


「(ん? 怯えているのか?)マリウス様。こちらの少年は?」


「おお、そうじゃな。ベルトルトが到着したのは今しがたじゃたんじゃな。では紹介しよう。こやつがレリアーノじゃ」


 まさか軽い威圧で萎縮するとは思わなかったベルトルトはマリウスに、少年が何者かを確認する。そして返ってきたのは、ゴブリンジェネラル率いるゴブリンを殲滅した少年との事であった。


「ほう。この少年が未来の英雄ですか。まだまだ未熟にしか見えませんな。そんな少年がどうやって、ゴブリンジェネラル達を殲滅したのか是非とも見せて欲しいですな」


「やっぱりお主もそう思うか? 儂もその瞬間を見ておらなんでな。レリアーノが寝ていた間の説明をしてやって、その後にライトニングレインを見せてもらおうと思っておるのじゃよ。ベルトルトも一緒に来るがいい。英雄の力を見せてもらおうかの」


「それは是非とも見たいですな」


 マリウスとベルトルトの会話を聞きながら、レリアーノは頬が熱くなるのを感じていた。大賢者マリウスと、彼が認めている武人との会話が自分の事であり、英雄とまで言われているのである。


「お、俺はそんな大したことは……」


「まだ言っておるのか! お主は自己評価が低すぎる。本当に何とかせんといかんのう」


「ひょっとして今まで褒められたことが少ないのでは? マリウス様。彼が行った内容がどれほどの影響を与えているのか教えてやればいいのではないでしょうか?」


 レリアーノの言葉にマリウスが眉をしかめる。以前、馬車に乗った際に聞いた前のパーティーで評価されていなかったとの話を思い出し、その時の評価がレリアーノを縛っている事を改めて感じるのだった。


 そこでマリウスは、レリアーノがゴブリンジェネラル率いるゴブリン達を討伐していなかったらど、どうなっていたかを事細かに説明を始める。


「よいか。レリアーノ。お主達がゴブリンジェネラルを倒さず全滅しておったとしよう。儂らの援軍はゴブリンジェネラルたちを探すところから始めんと駄目じゃった。そしてお主達が生きていると信じて探索隊も結成したじゃろう。それでさらに日数が無駄になる。その間にゴブリンジェネラルたちは儂らの気配を感じて逃げておったじゃろうな。そしてどこかを拠点として定め、大繁殖しゴブリンジェネラルはゴブリンキングに進化したじゃろう。これがどういう事か分かるか?」


「『そんな大げさな』と思っているだろう。レリアーノ」


 マリウスの説明を聞いたレリアーノを見て、ベルトルトが鋭く指摘する。驚いた顔になっているレリアーノにベルトルトは苦笑を浮かべた。


「その顔は思いがけない武勲を立てた新兵にそっくりだ。信じられないのなら、さっそくお主が見せた実力を私達に示せばいい。大賢者マリウス様と王国騎士団長を務めた儂の言葉なら信じられるであろう」


 ベルトルトの言葉にレリアーノは息をのむ。王国騎士団長と言えば王を守る最後の剣であり、その実力は勇者や大賢者と呼ばれる英雄と匹敵する知名度であった。

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