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追放されたが、それでも収縮拡張スキルで英雄へと駆け上がる  作者: うっちー(羽智 遊紀)


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レリアーノはスタンピードを経験する

「どうだった? どんな感じだ?」


 緊張を含んだ表情でユリアーヌが斥候のクリストフに確認する。すでに拠点の道具は片付けられており、柵を作るなどして防衛を主体とする簡易な砦のようになっていた。急いで戻ってきたクリストフは息を整えると、マリウス以外の全員が揃っている事を確認して報告をする。


「ゴブリンが大量に集まっていた。それに指示するような特殊個体だと思われる3体ほどが確認できた。ゴブリン以外も4足歩行の魔物が複数いるのも確認できている。特に街に向かう様子はなかったが、このままだと森に拠点を築くことになるだろう」


 クリストフの報告にユリアーヌが眉をしかめる。スタンピードを起こさないようにと冒険者として登録し、パーティーを組んで定期的に魔物を討伐していたのである。まさかゴブリンの集団がやってきて、スタンピードを引き起こそうとしているとは想定すら出来なかった。


「俺たちが魔物を間引きし過ぎたのか? だからゴブリンが安心して拠点を築こうとしているのか?」


「いや。そんな事はないだろう。結局はゴブリンがやってきた以上は、生存争いは起こる。どちらが勝つにせよ、魔物は爆発的に増えたと思った方がいい。結局は数が多い方が勝つんだ。それを魔物が知ったら、どんどん増えていく。どちらにせよ時間の問題だったんだよ」


 ユリアーヌの言葉にアーレイが答える。それは慰めでもなんでもなく、ユリアーヌが今まで取ってきた行動には問題ないと言いたかった。自領の被害を減らすためにと、冒険者となってまで活動しているユリアーヌに心から賛同して仲間になったのである。アーレイの言葉を聞いても悔しそうにしているユリアーヌにルクアが背中を思いっきり叩く。


「痛ってー。なにすんだよ!」


「なにを後悔してますみたいな顔をしているのよ! そんな反省はまだ早いでしょうが。まずはこの状態をどうするのか考えなさいよ。あなたがこの場の責任者なのよ!」


「そうだな。そうだったな。すまん! 今までの行動なんて後で考えるべきだな。まずは目の前にある危機をどう乗り切るかだ。今のところは街に向かう様子はなくても、今後どう動くか分からねえ。もう少し情報を集める」


 ルクアの激励にユリアーヌは気持ちを入れ替える。起こったことは仕方がない。いま行動をどうするかを考える。ユリアーヌは両手で頬を叩くと気合を入れ直した。そして心配そうにこちらを見ているレリアーノに笑いかける。


「悪かったな。高ランク冒険者が格好悪いところを見せちまった。だが、安心しろ。俺がやる気になったからには大丈夫だ」


「おいおい」「俺達だろ?」「なに一人で格好つけてるんだ」「撃退してから決め台詞言おうぜ」


 ユリアーヌの言葉に仲間たちが、からかう様に声を掛けて笑いあう。そしてお互いに頷いてなにかを確認すると、ユリアーヌが代表するように真剣な目でレリアーノを見つめた。


「この場を仕切っているリーダーからの言葉だ。レリアーノはルクアを連れて街に戻れ」


「「 はっ? 」」


 突然のユリアーヌの指示にレリアーノとルクアが目を開く。


「なに言ってるんだよ! 俺も戦力になるぞ! そのために訓練をしていたんだ」


「スタンピードなんて高ランク冒険者の仕事なんだよ。低ランクのお前たちなんて場違いだ帰れ!」


 ユリアーヌの言葉の意味を理解すると憤りの表情を浮かべて抗議する。そんなレリアーノに厳しい顔をしたユリアーヌは譲らないとばかりに街の方向を指さすと再び帰るように伝えた。


「ちょっと。気持ちは分かるけど――な、なに! この音!?」


 自分達の安全を保障する為に嫌われてもいいので、追い返そうとしているユリアーヌにルクアが声を掛けようとした。しかし森全体を揺るがすような突然の叫び声に、エルフの聴覚で大きな音などないと油断していたルクアは思わず耳を押さえてしゃがみこんでしまう。


「な、なに事なの?」


 ルクアの言葉に斥候役のクリストフが素早く木に登り周囲を確認する。その眼に入ってきたのは拠点を囲むように集まりつつあるゴブリンの大群であった。


「おい! 囲まれつつあるぞ!」


「な!?」


 クリストフの報告にユリアーヌがが思わず叫ぶ。実はゴブリン達の中に犬型の魔物がいる事で、レリアーノ達がいる場所を嗅覚で突き止めたようであった。そして自分たちに敵対する可能性が高い人間を見逃すわけもなく身を潜めて集まり、逃げるタイミングを完全に逸しているのを見て鬨の声を上げたのであった。


「くそっ! こうなったら仕方がない。全員戦闘態勢! レリアーノは俺達に身体強化を掛けてくれ。ルクア。お前の行動は全て任せる。自分の思うように動いてくれ。クリストフはそのまま木の上で状況を報告。飛び道具で攻撃されそうなら逃げていい。全員生き延びる! やるぞぉぉぉぉ!」


「「「 おお! 」」」


 ユリアーヌが抜剣しながら雄たけびを上げる。それに仲間たちやレリアーノとルクアも呼応する。そしてレリアーノが身体強化を拡張収縮魔法スキルを使って全員に付与したタイミングを計ったかのように、ゴブリン達が拠点の中に次々と侵入してきた。

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