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追放されたが、それでも収縮拡張スキルで英雄へと駆け上がる  作者: うっちー(羽智 遊紀)


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レリアーノは高評価を受ける

「だりゃぁぁぁ」


 レリアーノが気合の入った声と共に突き出した剣がオークの心臓に突き刺さる。だが、オークは絶命せずに最後の力を振り絞って反撃を試みる。突き刺さっている剣を掴み取ると、ニヤリと笑みを浮かべながえら上段から剣を振り下ろして相打ちにしようとする。


 レリアーノはオークに剣を握られた瞬間、剣から手を放すと飛び退り、腰に差していた短剣を抜くとオークの首筋を一閃した。断末魔と血しぶきを上げながら倒れたオークが数度痙攣して動かなくなる。


 その様子を確認し、刺さったままになっている剣を素早く引き抜くと、血糊を振り払いながら周りを警戒する。戦闘はすでに終了しているようで、周囲には10体ほどのオークが倒れていた。


「おー。オークも単独で倒せるのか。ランクで言えばDは固いな」

「なあ、何度聞いても分からないんだが、なんでレリアーノは追放されたんだ?」

「それよりも戦闘が出来なかったってのは本当か? 俺はそっちの方が気になるぞ」

「まあ、前のパーティーに見る目がなかっただけだろう」

「そうだな。こんな優秀な人材を使いこなせていないからな。そもそものレベルが低いんだろうよ」


「いや。俺もパーティーを追放されてから、今のスキルに目覚めただけだから。それまでは貧弱な支援魔法しか使えなかったんだよ。だから仕方ないというか――」


 ユリアーヌ達から絶賛され、レリアーノは恥ずかしそうに答えていた。今までの評価とは正反対な言葉に、思わず否定する言葉が溢れそうになる。その言葉を遮るようにルクアが会話に参加してきた。


「褒められたのなら素直に喜びなさい! レリアーノの悪い癖よ。それにオークの解体がまだ終わってないわよ。早くしなさい! 血の匂いに誘われて他の魔物が近付いてくるでしょうが! レリアーノだけじゃないわよ!」


 ルクアが仁王立ちでレリアーノを叱責する。討伐したオークを解体するように指示を出し、慌てて従っているレリアーノを冷かしているユリアーヌ達にもルクアは怒りの表情を向ける。


「あなた達もよ! なにをのんびりとしているのよ。早く動きなさい!」


「「「 了解! 」」」


 慌ててオークを集めだす者。それを受け取って解体を始めるレリアーノ。周囲を警戒するユリアーヌ。サポートするように動くアルネやクリストフ。それを仁王立ちのままで監視を続けるルクア。連携の取れた動きを見て、笑いをこらえるようにしながら眺めているマリウス。


「ほっほっほ。連携の取り方が優秀じゃ。これでユリアーヌ達のパーティーにレリアーノとルクアの2人が入れば完璧だと思うんじゃがのう。そうすればレリアーノも屋敷に残って、儂と魔術特訓が出来るのにのー。どうじゃ残ってくれんか?」


「だからユリアーヌ達の所には入らないと言っているでしょ! 私とレリアーノとで一流まで上り詰めるの。途中で仲間を増やすことはあっても、最初から高ランク冒険者の仲間に入れてもらうつもりはないわ」


 マリウスの言葉にルクアが笑いながら答える。今は最高のパフォーマンスを出しているのは分かるが、それはユリアーヌ達の高ランク冒険者がサポートしてくれるからであり、自分達の力だけで凄さを証明するには弱いとルクアは感じていた。


「まあ、なにかあれば相談するがええ。ギルドで儂宛てに手紙を出せば援助はしてやれるからの。それにしても若いのー」


 ルクアの言葉を聞いたマリウスは苦笑を浮かべながら理解を示す。そしてなにかあった際は自分の名前を出して手紙を出すように言った。そして懐から家紋の入ったメダルを手渡す。


「なにかあればこれを使えばええ。タイミングはルクアに一任する。無駄に振りかざさんと分かっておるからのー」


「使わないに越したことはないけどね。ありがたく預かっておくわ。使った時はすぐに動いてよね。危険なことはしないから安心してちょうだい。まずは2人でどこまで出来るか用心しながら依頼を受けるから」


 ルクアとマリウスの2人が話している間も、レリアーノは解体を次々と進めており魔石をスムーズに取り出すと、部位ごとに切り分けていく。何度見てもレリアーノの手際はよく、必要な部分は最大限に確保し、不要な部分は当然ながら最小になっていた。


「これをギルドに持っていけば高額で買い取ってもらえるだろう。旅の資金にすればいいぞ」


「ああ。ありがたく頂くよ。その代わりに今日の食事は豪華にするからな。楽しみにしておいてくれ」


 今回の討伐で得た素材などは全てレリアーノへ渡すことが決まっていた。ユリアーヌ達へはマリウスが報酬を支払っており、最初は全ての素材を受け取ることに難色を示していたが、マリウスから遠慮するものではないと言われると、英雄となって返すとレリアーノは鼻息高く伝えるのだった。


◇□◇□◇□


「なあ、思ったよりも魔物の数が多くないか?」


「確かにそれは思うな。まさかスタンピードが起こるのか?」


 その後もレリアーノ達は順調に魔物を討伐していたが、順調すぎることにユリアーヌ達は疑問に思っていた。斥候役のクリストフはすでに先行して周囲の探索に向かっており、一同は休憩場所まで戻って来ていた。


「なあ。こんな事ってよくあるのか?」


「ふーむ。儂が現役のころに数回あったのー。その時は魔物が溢れんばかりに沸いていたの。今回のもそうかもしれん。ユリアーヌ」


 レリアーノの問い掛けに、マリウスが渋い顔で答える。そしてユリアーヌを呼び寄せると、なにかを相談を始めた。そこにルクアも合流し、今後の対応が決まる。機動力のあるマリウスが街に戻り領主であるゲートハルトに応援を要請する。


 ユリアーヌ達とレリアーノは休憩所を拠点とし、魔物の討伐を続けて魔物の数を少しでも減らす。ただ、対応が出来ないレベルで魔物が現れ始めた際には早急に撤退する事が決まった。


「よいか。引き際を見間違わんようにの。特にレリアーノは逃げ時を忘れんようにな。引くことも逃げることも冒険者には大事じゃぞ」


 一番若いレリアーノにマリウスは何度も念を押して伝えると、魔力をまとい飛翔魔法で街に戻るのであった。

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