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追放されたが、それでも収縮拡張スキルで英雄へと駆け上がる  作者: うっちー(羽智 遊紀)


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レリアーノは魔物と対峙する

「あと少しで魔物と接敵。前衛は抜剣。後衛は詠唱開始。レリアーノは前衛に入れ。俺は今回は指揮に回って、危なそうなら対処する。ここで俺の手助けを受けたら失格だと思えよ。だが、無理はするな」


「無茶苦茶だなリーダーは」「本当に」「レリアーノ。気にせずに訓練通りにすればいい」「出てくるのはゴブリンだ」


 詠唱を始めている魔術師以外の冒険者たちがレリアーノに声を掛ける。それに頷きながら、剣を抜いて構えたレリアーノにルクアも声を掛ける。


「訓練の成果を見せつけてやりなさい!」


「分かっている!」


 大きく頷きながら深呼吸して剣を握り直すレリアーノ。肩に力が入っているのを感じ、意識して肩を動かしながら敵が出てきても対処できるようにリラックスさせる。永遠の時間を感じていたが実際は10秒も経っておらず、草むらから数体のゴブリンが飛び出してきたのを見て心拍が上がるレリアーノ。


「4体! 一対一で対応。アーレイは2匹を受け持ってくれ」


「了解」


 前衛の剣士であるアーレイが短く答え、出てきた一匹に牽制の意味を込めた一撃を放つ。攻撃を受けた一匹が防御したのを見て、その死角となる場所から飛び出すように、もう一匹のゴブリンが槍を繰り出してきた。その攻撃を躱しながら槍を掴むと全力で引っ張る。


「ほら。武器を奪われるぞ!」


 アーレイの言葉が理解できるわけではないのだが、馬鹿にされたのは理解できたのか、槍を持ったゴブリンが威嚇の鳴き声を上げる。そして隣にいたゴブリンが大きく横に移動すると剣を振るってきた。


 そんなゴブリンの連携を嘲笑うかのようにアーレイは軽く剣を横なぎに払う。はたから見ると素振りをしたような剣筋だが、剣を持っていたゴブリンの身体が徐々に傾き上下に切断された。


「おっと。力を入れすぎたな。血が飛び散るじゃないか」


 軽く笑みを浮かべながら槍を持っているゴブリンを見るアーレイ。だが瞳は笑っておらず、肉食獣のように、射貫くように鋭くゴブリンを見ていた。


「ぎゃぎゃぎゃ!」


 目の前にいるのが死神だと思ったのか、何とか逃げようとするゴブリンだが槍を手放すことを躊躇したのか、槍を持っている手に力を入れて引っ張り返そうとする。


「それは悪手だったな」


 まるで槍を引っ張られていることを意にも課さないようにアーレイは呟くと、槍を持っている側の手首を軽く返す。それだけでゴブリンは槍を持ち続けることが出来なかったようで手放してしまった。


 慌てて踵を返して逃げ出したゴブリンに、アーレイは奪った槍を構えると投擲をした。風が切る音が聞こえてきたゴブリンは自分の腹から槍が突き出していることを認識する前に息絶えるのであった。


◇□◇□◇□


 一方。レリアーノはゴブリン相手に苦戦をしていた。ユリアーヌ相手に繰り返した模擬戦で、かなりの手ごたえを感じていたはずなのに思ったように体が動かない。


「くそっ!」


 大きく上段から打ち下ろした剣はゴブリンに軽くかわされてしまう。村に居た時はゴブリン相手に引けを取らなかったと思い込んでいたレリアーノだが、実際は背後からの奇襲や数人で囲んで倒しており、思い出補正がかかって自分一人で倒した気になっていたのだった。


「落ち着きなさい! いつもの動きじゃないわよ。強化魔法が掛かっているんだから、動きはいつもよりも軽やかなはずでしょ。しっかりと相手を見なさい」


 焦りがさらなる焦りを生み、徐々に分が悪くなりユリアーヌの視線も気になりだし、収拾がつかなくなっていたレリアーノにルクアの叱責が届く。周りの音に気づいておらず、レリアーノ以外は戦闘が終了しており、後は自分だけだと気づくと大きく飛び退って間合いを取って大きく息を吸う。


 対するゴブリンも仲間が全滅している事に気付いたが、人間たちの実力も感じていた為に逃げの態勢に入ろうとしていた。周囲に威嚇の声を上げながらも襲い掛かろうとはせず、目の前にいるレリアーノが一番弱いと判断して剣を投げつけると、その横を通り逃げようとした。


「誰が逃がすかよ!」


 飛んできた剣を軽く弾いて逸らすと、横をすり抜けようとしたゴブリンの首筋に剣を最小限の動きで振り下ろす。向かってくるゴブリンの勢いと、レリアーノの剣の勢いが重なりゴブリンの頸動脈を断ち切った。


 血を吹き出しながら倒れるゴブリンに止めの一撃を入れたレリアーノが、周囲を見渡して他に魔物が居ないか注意を払う。これは前のパーティーで雑用係をしていた際に、戦えないなら周りを警戒しろと言われ続けていた習慣であった。


「よし。戦闘後も周囲を警戒するのは合格だ。ルクアの言葉で持ち直したのも合格材料だな。後は数をこなして慣れていけばいい。そこはルクアに任せていいんだよな?」


「当然よ! 私がリーダーなのよ。メンバーの調子を把握するなんて当たり前よ。それとレリアーノ! 後で反省会をするわよ。そんな戦い方では連戦は出来ないわ。前衛としての動き方を思い出させるからね!」


 ユリアーヌの採点にレリアーノが荒い息をしながら頷いてたが、ルクアから厳しめの声が掛かる。確かに今のままでは一戦すると体力が尽きそうな状況であり、役に立っているとは言えなかった。


「ほっほっほ。厳しいリーダーじゃな。まあ、そうせんとこれから先は生き残れんじゃろうな。じゃが、まずは休憩をしようかの。その前にゴブリンの討伐証明の魔石を採取じゃ。懐かしいのー。ゴブリンの魔石を見るのは何十年ぶりじゃろうか」


 ルクアの言葉に項垂れているレリアーノを見ながら、マリウスが楽しそうに笑う。そして足元に倒れているゴブリンに向かって詠唱すると、ゴブリンの身体から魔石が浮き上がってきた。


「そんな魔石の取り方をするのは爺ちゃんだけだからな!」


 普通は解体して魔石を取り出すのだが、マリウスは身体が汚れるのを嫌って魔力を操作して魔石だけを取り出した。魔石には魔力が含まれており、マリウスほどの高ランクの魔術師なら、自分の魔力と反応させて取り出すことが出来るのであった。

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