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59 拠点が消える……

フランとセリルがうずくまるように倒れている。


ナイナが2人に駆け寄って首元に手を当てた。


「魔力を使い果たしただけで、息はしてます」


そう言いながら顔をそっと撫でた。



こんな小さい2人でもこうしないとこの状況はどうしようもないと判断したんだ。


最期の浄化魔法はすごい威力だった。


守りに入ったモンスターさえいなければ王も倒せていたはず。



そして、命の危機を身を呈して守ったモンスターを気にするそぶりもなく王は何事もなかったかのようにこちらに向かってくる。


王自体に筋力や魔力などの個人能力的な強さは感じない、なのに異常なまでの余裕、ただただ不気味だ……



「いい拠点だ」


そう言いながら拠点に近づいていく。

それに、反応し拠点の砲台が王に向いた。



初めて王の言葉を聞いた。

……ここで初めて発する言葉がそれか?


「あなたを守ってくれたモンスターに何も感じないのか?」


強さ的にはそれぞれが城を持って魔王を名乗っても遜色ないような強さのモンスター達だったはずだ。


そんな力を持った奴らがこの男を守るためだけに死んだんだぞ、なのに何も感じてないのか。


「俺が呼んだモンスターが俺の為に動くのは当然だ」


曲がりなりにも一国の王だぞ、その王の発言じゃないだろ……


「命をなんだと思ってるんだ……」



こんな奴が……こんな奴に俺は土地をもらって喜んでたり、クエストを受けて一喜一憂していたのか……



「やめようロジカ、この人と私達の考え方は全く違うみたい話していても分かり合えないよ」


落ち着いた話ぶりとは逆にノリスの顔は王に対する不快感で抑えきれないようだった。


サモナーとテイマーってモンスターを扱うことでは同じようだけど、サモナーは好きにモンスターを呼び出して命令して終わりで、テイマーはモンスターと心を通わせて共に戦っていく。


すべてのサモナーが王と同じではないんだろうけど、この王と俺達テイマーのジョブは対極だ。


警戒は最大まで高まっていたが、そんなことを機にする様子もなく、王は拠点に触れた。




大きな爆発音と共に一発の砲撃が発射した。



しまった、まだ撃つつもりはなかったのに……!


王の身体は宙に舞い、腹に大きな風穴が空いた。



「王様!」


砲撃を受け、倒れる王にナイナが近づく。




「フフ……フフフフ…………」


腹に大きな穴が空き今にも生き絶えそうな王が笑いだした。



「ロジカ、もう一発撃った方がいい、トドメをさしてしまえ!」


ゴクーが叫ぶ、この王にトドメを?


ほっといてももう数秒で力尽きそうな人にトドメなんて……


「チッ!」


戸惑う俺を見てゴクーが自ら王に攻撃をしに行こうとする。



「この拠点を生贄にささげる……」



王が掠れる声で呟いた。


拠点を生贄……?


今、一瞬拠点全体が歪んだような……



ゴクーが王に攻撃をしようとしたとき、拠点の砲台が自分に向いたことを察知し咄嗟に飛び跳ねた。



ゴクーが跳ねた場所に拠点が、砲撃をする。


「ゴクー!? ロジカ! なんでゴクーを狙うんだよ!」


なんで砲撃がゴクーを狙うんだ……? パルマが俺を攻め立ててくる。


「違う! 俺は何も命令してない……」


拠点を生贄にした。

王の言ったことが関係あるのか?



突如拠点が大きく歪み出した。


「何これ?」


「私達の拠点が……」


消えてく……


大きな拠点が消えて無くなってしまった。



「ウソだろ……」


みんなとの思い出の場所が……



拠点のあった場所は何もない空き地の地面に大きな魔法陣が浮かび上がった。



「こんな簡単に達成できてしまうとはな」


王が立ち上がり、魔法陣の中に入っていった。

砲撃された傷もなくなっている。



「何でケガが治ってるの? もしかして魔法?」


「召喚士は回復魔法は使えないはずだけど……」



ノリスとパルマが話す横でゴクーが王に飛び込んでいった。



「呑気に話してる場合じゃないだろ、建物を生贄にする召喚なんて聞いたことないぞ、何かまずいことが起こる」


頭の毛をむしり、強めに息を吹きかけると、舞い散る毛は炎の塊となり王に向かっていった。



「もう無駄だ」


王の言葉と共に炎はかき消された。



「ようやくこの時が来たよ」


魔法時から虹色の光が上がり、王もその光の中に包まれている。


「最初から俺の拠点を生贄にすることが目的だったのか……?」



俺の問いかけに王は初めて笑顔を見せた。


「君は特殊なテイマーのジョブを持っていると知ったからな」


モンスターの住む村にいたおばばも俺を見て特殊なジョブを持っているとわかったみたいだ、見る人が見たら特殊なジョブというのはわかる……


王はどこかで俺が特殊なテイマーだということを知って自分の管轄下で拠点を作らせた……


「君が特殊なテイマーというのと同じように、俺も特殊なジョブなんだよ」


魔法陣から岩のようなものが現れだした。



岩じゃない、これは魔導石だ。


魔導石の塊がどんどん魔法陣から立ち上ってくる。


巨大な人型?



5階建ての建物はあるんじゃないかというほどの巨大な人型の魔導石の塊が現れた。



なんだこれ……?

王はこんなものを召喚したかったのか。


召喚した巨大な人型の魔導石の塊は動き始めた。


「これはモンスターではないから普通のサモナーでは召喚できない」


確かにこんなモンスター見た事も聞いたこともない。


「こいつは動くダンジョン、魔導獣という名で呼ばれてはいるが分類はダンジョンだ」


ダンジョン?


このうごく巨大な魔導石の塊はダンジョンなのか?



「俺はダンジョンを召喚できる、特殊なサモナーだ」


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