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5 王に派遣された女の子

王の御厚意というもので俺とヤヨイは城から街の間あたりにある、広い荒地を貰った。


こんな所でいきなり放置されてどうすればいいんだ……


ヤヨイは辺りを見渡しているが、ここには何もない、広い荒野が続くばかりでどちらが街かも最早わからない。

「なあロジカ、私達は罰を受けてるのか?」


そう思う気持ちも無理もない……島流しみたいなものだ……

これでよく褒美だなんて言えるな……


ここに来てまずはどうするべきか……


闇雲にでも進んで、街か城を目指すか、それともいつか来る助けを待つか、もしくは王の言った通りここで何かをするか……


今を解決するために何かできるのもはないか?


「ヤヨイ何か役立ちそうなものは持ってないか?」


「食べ物とかか? 今は何もないぞ」


そう言いながらヤヨイは来ている袴の隙間をあさりだした。

バサバサと服をはだけさせて、肌がチラチラと見えてしまっている。

俺一応男なんだけどな……ヤヨイは羞恥心とかないのかな……?


「何を見てる?」


「えっ? いや、別に見てた訳じゃ……」


視線に気付いていたみたいだ……

今まで意識はしてなかったけど、ヤヨイは色白で肌も綺麗だし、目もおおきくて普通にしていれば十分かわいい部類だろうな……


普通にしてればそれだけでモテそうなくらいなのにもったいないな……


「使えそうなものはないな、さっきのモンスターを倒した時に手に入れた石があるくらいだ」


探していた袴を整えることもせずに俺に手にちょうど収まる程度の大きさの丸い石を見せてきた。


「オーガゴブリンがドロップしてたのか、気が付かなかった」


琥珀色をした綺麗な石だ、魔力でも込められてそうではあるが、今は使い道がなさそうだ……


俺も役に立ちそうなものは持ってない……


「何も使えそうなものは無しか……困ったな……」


「よし、街まで歩いていくか」


「歩くって言ってもどっちが街かも、わからないしなぁ」


「ここに居続けたところで何も変わらない、進んでいけばどこかに辿り着くだろ」


「そんな、闇雲に進んでも……」


俺の制止を聞かずにヤヨイは歩き始めようとした。


「ん、なんだあれは?」


歩きだしたヤヨイが進行方向の奥に何かを見つけた。


「人影……じゃないか……?」

まだハッキリとは見えないけど、1つの人影がこちらに向かっているように見える。


「まさかモンスターか?」


ヤヨイは刀を構えた。


「いやそんな感じはしないけど……」


人影がどんどんこちらへ近づいてくる。


「女の子だ……」


「こんな荒地を一人で歩いて何をしてるんだ?」


青髪のショートヘアーで気の弱そうな子だ。

女の子は伏し目がちにうつむきながら、俺らの表情を伺うようにチラッと一瞬こちらに目を向けてきた。


「あの……」


かすれるような小さい声で女の子は話しかけてきた。


「こんな場所を一人で歩いてどうしたんだ? か弱い人が来れるような所じゃないよな」


ヤヨイが強気で問いかけた。得体の知れないこの子をヤヨイなりに警戒しているのかもしれない。


「わ、私は王様に命令されて……ここに……」


おどおどしながら返事をしてる、ヤヨイのこと怖がってるみたいだ。


「王はなんて言ってたんだ!? まさかここで私達を倒してこいなんていってないだろうな?」


「ま、まさか! 私そんな力もないですし、あっても狙ったりしません!」


「そんな弱い娘がこんな荒地に一人で歩いてるなんておかしいだろ!」


「ひぃぃぃ……この人怖いです……」


女の子はヤヨイと離れて縮こまってしまった。

涙ぐんで怯えてる、よっぽど怖かったのか……


「ヤヨイ、それくらいにしとけよ、かわいそうだよ」


《テイム可能です、テイムしますか?》


こんなタイミングでまた頭の中の声が聞こえてきた。


ヤヨイの時と同じだ、この女の子もテイムできるのか?


そもそもヤヨイをテイムできたのかって言うのもよくわからないけど……


ヤヨイをテイムしてからスライムすら苦戦してたヤヨイがオーガゴブリンを倒せるほどの力を手に入れた、無自覚みたいだけど、俺がテイムした影響なんじゃないかと思う……


この女の子はとりあえず敵には見えないか……


「君は俺達に協力してくれるってことでいいのかな?」


「も、もちろんです、微力ですが、あなた方の力になるように王様から言い伝えられています」


まだ怯えてるけど、話はしてくれそうだ……


「よかったら、名前とジョブとかを教えてもらってもいいかな?」


「ナイナ……っていいます。ジョブはファーマーを授かったばかりです……」


ファーマー、食物や家畜を育てる生活基盤を支えるジョブ……

このジョブを持つ者を送ってきたってことは、王は俺達をここに住まわせたいってことか。


「テイムする」


とりあえず、この子はテイムしておこう。


宣言した直後ナイナは自分の身体に何かを見渡し始めた。


「えっ? なんで……? すごい、力が溢れてきてる……」


突然湧き出た力に驚きを隠せずにいた。


やっぱりだ、俺がテイムした者は能力が上昇するみたいだ。


《テイマーのレベルが上がりました》


ナイナをテイムしたことで俺のレベルが上がったのか。


《拠点を設置できます、ここに設置しますか?》

→ 《ここに設置する》

《他の場所にする》


なんか変な選択肢が出てきた。

拠点……ってなんだ……? とりあえずこの場所でいいか。


→ 《ここに設置する》


を選択した。


俺の目の前の地面一帯から虹色の光が立ち上った。


「わっなんだ、敵!?」


「きゃー、助けてっ!」


ヤヨイとナイナはそれぞれ見たことのない現象に身を守った。


「大丈夫、これは敵じゃない」


光は徐々に収まって、光の奥から形が見えてきた。


家……か?


「すごい……なんだこれ……豪邸じゃないか……」


光が収まって現れたのは大きな家だった。ヤヨイが言うようにかなりでかい、豪邸だ。


「これが拠点……?」

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