45 ヤヨイは相変わらずなようです
フランとセリルがヤマトと戯れている。
フラン達が嬉しそうなのはもちろんだけど、ヤマトも優しい表情で、あやすというより、一緒に楽しんで遊んでいる。
モンスターだらけのこの街に驚くことしかなくて、頭がついていかない……
「こんな人の良さそうな奴だなんて思わなかった……」
つい口に出てしまった。
戦うことになるとばかり思ってたから、力が抜けて変な気持ちだ……
「ロジカ、聴きたいことがあるんじゃないの?」
ノリスに言われてハッとなった、そうだよ、ボーッとしてる場合じゃない、ヤヨイのいる場所を聴かないと。
「すいません、ヤマト……さん」
「あっ、そうだ俺に話があるんでしたね」
ヤマトはフラン達との遊びを切り上げて、姿勢を正して俺に振り向いた。
やり辛いな、もっと荒々しい感じの奴の方がガツッと聴けるんだけど……
「そうなんです……えーっと俺達はヤヨイを探しにここに来たっていうか……」
「ヤヨイ様を探しに? って事はあなたがロジカさん?」
俺のことを知ってる……ってことはヤヨイがいる……?
「ねぇロジカ、やっぱりヤヨイはここにいるんだよ!」
「あっ……やっぱりあなたがロジカさんか……」
ヤマトはニヤリと笑い身を乗り出して俺に話しかけてきた。
「ヤヨイ様はおてんばじゃなかったですか? すぐどこか行こうとしちゃっていつもうちの国ではいつも大変だったんですけど」
困り顔で話してはいるが、どこか嬉しそうだ。
ヒノマルでの生活も俺らと住んでる時と同じように何かあるとすぐに飛んで行っちゃうような感じだったんだろうな。
「昔からあんな感じなんですね、お姫様だって聞いたから昔はもっとおしとやかなのかと思った……」
「全然……すぐ城を抜け出しては、侍女に怒られてたみたいですよ」
「ははは、想像ができるな……」
なんだか、ヤマトとは仲良くなれそうだ。
「そういえばヤヨイはどこに?」
ヤマトは腕を組んで、溜息をついた。
「またなんです……家に閉じこもってるような人じゃないんで、身体が動くようになったらこの街を見に出ていってしまいました、まだ、安静にしてた方がいいと思うんだけどなぁ……」
ヤヨイは元気になったんだ。
そして、この街にいる!
「ヤヨイは外にいるんですね?」
元気な姿が早く見たい……!
俺が家を出て行こうとした時、ヤマトがドアの前に立ちふさがった。
「待ってください」
俺を外に出そうとしないつもりだ……
「ヤヨイに会いたいんだ、行かせてくれ」
「ヤヨイおねぇちゃんに会ったらいけないの?」
ヤマトは手を広げて改めて俺らを進ませないという姿勢を見せてきた。
「あなた達と一緒だとヤヨイ様はまた戦いにでることになるんですよね?」
「……戦わせたい訳じゃないけど、ヤヨイは自分で勝手に行ってしまうから」
ヤマトはヤヨイを戦わせたくないんだ……
「こんな姿になってまで、俺はあの人を守りたいと誓ってここまできたんだ……」
守る……?
ヤマトはヤヨイのことを……そのためにモンスターになったのか、でもどうやってモンスターになんてなったんだ……
「ヤマトさん、あなたはヤヨイを戦わせたくないって言ってるけど、ヤヨイはどうしたいのか聴いたことあるの?」
ノリスがヤマトに話しかけた。
ヤマトは眉間にしわを寄せて少し悩んでからノリスに話を答える。
「ヤヨイ様は元々争いを好むような人ではない、平和な世界になれば戦いに自ら行こうとなんてしないはずです」
まぁ、わからなくは無いか……向こう見ずで何にでも突っ込んで行くけど、好戦的なわけじゃないだろうし。
嫌な沈黙が続いた……
しばらくして外から入口のドアが叩かれた。
「ヤマト! 連れてきた女の子が出て行ってしまったぞ!」
「えっ!?」
出て行ったって街の外に?
ヤマトは急いで家のドアを開けると、この街に入ってきた時にあったリザードマンのリックさんと他にも数人のモンスターが立っていた。
その中のひとりのカボチャの帽子を被った魔女の様な見た目のモンスターが話しかけてきた。
「すまないねヤマトくん、うちの孫のわがままで外に行きたいなんて言うから……」
ヤヨイはこの魔女の孫を外に連れてくために、一緒に出かけたってことか……
さすがヤヨイ……安定のトラブルメーカーっぷりだ、どこに行っても何かしら起こすんだな……
大変なことってよりもなんだか懐かしくなってしまった。
「ヤヨイおねぇちゃん、その子を連れて外に行っちゃったんだ」
「大丈夫? 外には結構強いモンスターもいたけど」
ヤマトの毛に電流が走りだした。
ヤマトは感情が高ぶると帯電してしまうようだ。
「探しに行ってきます」
そういうと、ヤマトはすぐに家を飛び出していった。
探すっていってもどこにいったか分かってるのか?
「すいません、その……お孫さんはどこに行きたいっていってたんですか?」
「ん、あんたらはヤマトくんのお友達かい?」
魔女が俺らに訪ねてきた。
「ヤマトというか、女の子の方の知り合いなんですけどね」
家の入口にいる村人がざわついた。
「あららぁ、その女子の取り合いだ……」
「若いのぉ……」
「人間がライバルかぁ、ヤマトくん大変じゃ」
街の人々は井戸端会議のように楽しそうに話しだした。
「お孫さんとヤヨイはどこに向かったんですか? 探しに行かないと」
「うちの孫が、森のもっと奥にすむ、おばばに会いに行くといってたもんじゃから恐らくそこへ」
ヤマトのあのいいぶりだと、ヤヨイに武器も持たせて無いだろうから、何かあると大変だぞ、俺達も急いでヤヨイを探しに行かないと……




