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4 王様に褒美を貰いました

オーガゴブリンを倒した後、俺とヤヨイは街を管轄する王国の城に招待されることになった。


あのモンスターを倒したことはそんなにすごいことだったのか……?


城に招かれることなんて滅多にない、というか街で生活をしていたらまずそんなことはない。

街が管轄されているとはいっても縁のない言ってしまえば異世界のようなものだ。


馬車乗せられて、そうしないうちに城に着いた。

ヤヨイはずっとソワソワしている、ヤヨイも王に会うのは初めてみたいだ。


慌ただしい城の者達に連れていかれてあっという間に大きな扉の前までたどり着いた。


「この扉の奥が王の間だ、失礼のないようにな!」


「は……はい」


おごそかな雰囲気の扉が兵士によって開かれる。

ゆっくりと扉が開くと先にはより高貴な椅子に座る、40歳くらいの男がいた。


初めてみた、この人が王様か……もっと年老いた人なのかと思ってた。


「初めてだろう? 我が城に来るのは?」


気さくな笑顔で王は俺達を迎え入れた、優しい雰囲気たが、奥の見えない不思議な雰囲気を持つ人だ。


「ほら、王の前まで進むんだ」


王の雰囲気に圧倒されて固まってしまっていた……


兵士が急かすように背中を押し王に向かわせてきた。


「ちょっと、そんなに押さなくてもいいだろ!」


「王がお待ちなんだ、さっさと前にでろ!」


ヤヨイが無理やり移動させようとする兵士を拒否しようとするが、結局放り出されるように王の前まで押し出された。


「無礼な真似はやめろ、客人に失礼だ」


俺達を押した兵士を王が一喝した。


「失礼しました」

王に言われ兵士は表情を変えずに俺らに謝罪し頭を下げた。


なんだか王への忠誠がすごいな……これが城の兵士達か。


「すまなかったな……兵士達も滅多に善行で街人を呼ぶことがないので困惑してしまったようだ」


「いえ、全然気にしてませんので」


「君達に今日来てもらったのは、謝罪と褒美を渡すためだ」


「謝罪と褒美? オーガゴブリンと関係あることですか?」


「私が倒したあのモンスターか……それがどうかしたのですか?」


王は俺ら2人をじっくりと見つめ、不思議そうな顔をしたら。


「にわかには信じられんが……君達がオーガゴブリンを倒したのか……」


「あいつを倒したのは俺というか、こっちのヤヨイなんですけどね、でもそんなにすごいことだったのですか?」


「ふん、大したことないモンスターだったけど」

嬉しさをかみ殺すようにハニカミながらヤヨイは王に返事した。


「ハッハッハ、逞しいな」

王は気の強いヤヨイの態度が気に入ったようだ。


「クエストは我が国が運営する大事な興行でな、あれのおかげで観光者も訪れ、さらに治安も守られる、細かく言えばそれだけではないのだが、クエストにトラブルがあるのは我々には芳しくないことなのだよ」


「EクラスのクエストにCクラスのモンスターが出たから問題だったってことですね」


「そうだ、元々は我が国の調査団が厳正な調査を行なった後にクラス分けをしたもので、いままではこんなことはなかったのだがな……近年数件このように上位クラスのモンスターが紛れ込む事案が発生しているのだ、そして、それに巻き込まれたクエスト受注者は君達以外は全員亡くなってしまった……」


背筋が凍りついた……たしかに大概の人は自分のレベルにあったクエストを受けるからそこから数レベルも上のクラスのモンスターがでてきたら手に負えないよな。


「あんなモンスターにやられる奴がいるなんてな」


ヤヨイは理解してるんだからしてないんだかよくわからないことを言っている……


「まぁ今回はそれに対する褒美をと思ってな、君達を呼んだと言う訳だ」


「褒美ってなんだ? 私はいい刀がほしい!」


「ヤヨイ、落ち着け!」


まったく、こいつは……

兵士達もヤヨイの動向に気が気でないようで喋るたびに身を乗り出している。


1人の兵士が俺達の前に立った。

「褒美を渡す、こちらへ来い」


「どう使うかは君達次第だ、好きに使ってくれ」

王は笑っていた、なんだか裏がありそうな笑顔だ……ちょっと不安だな……


兵士の案内のまま王の間を出た。


また馬車に乗り、もとの街の方へと進んでいく。


「褒美は街に置いてあったんですか?」

てっきり王から直接受け取る者だと思ってた。


「行けばわかる」


兵士は言葉少なめに返事した。

そんな態度されるとますます不安になるな……


馬車は街に着く前の何もない荒地に止まった。


兵士が馬車を降り、俺に合図した。

「ここだ」


ここだ? 俺は褒美を貰えるんじゃないのか……?


「ここって、どういうことだ?」

ヤヨイの言う通りだ、どういうことだ?


「この土地が王からの褒美だ、好きに使うがいい」


「えっ? ここってどこからどこまでですか?」


「目に見える全てだと王は言っていた、寛大な王に感謝するんだな」


「これが……褒美……?」


「どう運用するかはお前達の自由だ、王の御厚意を無駄ないようにな!」


兵士は用が済むとあっという間に去っていった。


予想してなかった……

ちょっとした粗品くらいかと思ったら、整備もされてないただの荒地を貰うことになるなんて……


こんなところでどう過ごしていけばいいんだ……

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