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2 クエストを受けに行きました

「ロジカ……本当に一緒に行かないのか?」


「うん……行っていいよ」


「元気だしてロジカ、まだ調子が悪いだけかもしれないんだから」


「そうだといいんだけど……」


「ロジカがちゃんとサーチできるようになったとき、俺らがフォローできるように、先にクエストやっとくからな!」


「ちょっとパルマ、そんな言い方ロジカがかわいそうだよ!」


パルマとノリスは俺のことを2人なりに気遣いながらもノリノリでモンスターをテイムするためのクエストを受けに行った。


俺はと言うと、ノリスに対してサーチウィンドウが表示されたなんて言えずに、まだスキルが使えないことにしていた。そのせいでクエストには行けない流れになってしまった……


パルマとノリスは街の集会所に行きクエストを受けに行っている。

2人の背中を見送りながら俺は1人、街の中で取り残されてやるせない気持ちでいた。


俺はテイマーになれた訳じゃないのか……?


スカウトウィンドウが出てきても、ノリスに向けてだし、何かバグってる……


「おい、あっち行けよ!」


キャンッ!


野良犬が子供達に棒で叩かれていじめられている。

かわいそうに、身を縮めて震えてる。


「ほらほら、もっと鳴けよ!」


野良犬はキューキューと悲しそうな声を出している。


「こら! かわいそうだろ!」


「うわ、動物マニアのロジカだ! 逃げろっ!」


子供達は慌てていなくなった。

動物マニアか……子供でも知ってるくらい俺の動物好きは有名なのに……


「もう大丈夫だぞ、怖かったな」


いじめられてた犬を撫でようと手を伸ばす。


「ヴー!!」


野良犬は俺を威嚇して噛み付こうとしてきた……

そして犬は子供達からの危険がなくなったとわかると、何事もなかったかのように去っていった。


クソッ! 昔からこうだ、俺は動物が大好きなのに動物にはなぜか嫌われてしまう。


それでも俺はテイマーになってモンスター牧場を作りたかったのに……



◆◇◆



最悪な気分のまま、なんの気もなく歩いていた。

気づいたら集会所まで来てしまった。


パルマとノリスは今頃クエストを受けている頃かな……


もう一匹くらいテイムしてるのかもしれない。


やっぱり俺はテイマーになれなかったのかな。あこがれだったけど、犬にすら嫌われる俺には元々無理な夢だったのかもしれないな……


それにしても今日はいつにも増して集会所が騒がしいな。


この街の集会所の掲示板にはちょっとしたお使いからモンスターの討伐まで、様々な依頼クエストが掲示されている、その依頼内容に合わせてランク分けされていて、FからはじまりAクラスまで達成難度が設定されている。


クエストは初めはFとEクラスしか受けることができないが、どんどん達成していくと、上のクラスを受けさせてもらえるようになる。


クラスに応じて報酬が貰えて、Cクラスあたりをこなせていければその報酬だけで食っていけるらしい。


「Eクラスだ! 今すぐ受けさせてくれ!」


女のバカでかい声が聞こえてきた。


騒がしいと思ったらうるさいのはこの女か……


「だから、何度も言ってますがあなた一人でEクラスは危険です!」


「Eクラスまでは誰でも受けれるんだろ? なんで私は受けさせてもらえない!?」


「誰でもと言っても無理そうなら止めます、危険ですから」


女はクエストの受付と言い合ってるらしい……

この女と受付のやりとりを見て周りもざわついている。


袴を着た、長い黒髪の女だ、年齢は俺と同じくらいか。

刀を持っているから剣士見習いってところだろう。


ずいぶん熱心にクエストを受けたがってるな。


《スカウトサーチを使用します》


頭の中で声が聞こえて、サーチウィンドウが剣士の女に対して表示された。


まただ、サーチウィンドウが人に対して開いた……


《テイム可能です、テイムしますか?》


頭の中の声が続けて聞こえてきた。

テイム可能? この女がテイムできるってことか?

モンスターならわかるけど、人間をテイムってどうなるんだ……? しかも女だし……


「こちらの方はお知り合いですか?」


しまった……サーチウィンドウに気を取られていたら女の近くまで行ってしまった。


剣士の女は俺をチラッと見る。


当然お互い面識はない……

女は受付に再度詰め寄る。


「なんだ、こいつと知り合いならクエストを受けれるのか?」


おいおい、この女なんか言い出したぞ……

俺を連れてクエストに行くつもりか?


「えーっと……まぁ一緒なら絶対ダメとは言わないですけど……」


「よし! こいつとは知り合いだ! クエストを受ける!」


ええぇ!? 本気なのか?


この女に対してのサーチウィンドウが青色に点滅している、人をテイムするっていうのは正直ちょっと気になる。




どうしよう……


「あなたは本当に知り合いなんですか? それならクエストを許可しますけど」


受付が疑いながら俺に訪ねてくる。


「知り合いです、クエストを受けます」


周りから「おぉ〜」と謎の歓声が上がった。


好奇心が勝ってしまった……

よく見たら剣士の女も俺が行くと言うと思わなかったのか驚いてるし……


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