一話 すべての始まり
これからよろしくお願いします。
「はぁ」
聖也はため息をついた。元々二浪していたため、たださえ毎日が憂鬱で家にいるだけでも辛かったのにまた全ての大学に落ちたのだ。もちろん家に
帰る気持ちにはなれなかったのだ。
「これからどうすっかなぁ」
どのみち家に帰っても自分の居場所なんて無い。
二浪している時点で親には既に見放されている
元々聖也の通っていた高校は一様進学校で友達は皆まぁそこそこの大学に入学したのだが自分だけは何故か大学全落ちして、あろうことか二浪して今年で三浪目である。
まぁ親から見放されても仕方ないのだがそれでもなんだかんだいって一様毎日勉強していたしそこまで遊んでいなかったはずなんだがこの有り様。
とてもじゃないないけど見るに耐えない。
「せめて一校でも受かってくれれば大人しくそこにいくのに一つも受からないなんて....」
飯田橋駅の前にある横断歩道にきた。この周辺は一流大学の宝庫であり至るところに一流大学の学生が歩いている。
「ここらの大学に入学出来たらなぁ....ん?
おい...嘘だろ」
交差点を渡ろうとしている女子学生にトラックが突っ込んできたのだ
あまりの状況に理解するのに時間がかかったが
何故か体は自然と動き始めていた。
「くそ、間に合え!」
既に二浪している自分に呆れていたが意外と
行動力はあったみたいだ。
トラックが彼女にぶつかる前にぎりぎり前に
前に突飛ばして彼女を助けることが出来た。
しかし自分は助からないみたいだ。
次の瞬間全身に強い衝撃を感じる。「ぐしゃ」
という生々しい音が響いた。
まぁ人生最後に人の役に立てたからいいか
短い人生だったけど意外と後悔は無いみたいだ。
聖也の意識は暗闇に沈んで行くのであった。
ん...なんだ明るい? あれ俺確かトラックに轢かれて死んだんじゃなかったけ。
どうなってんだ?
聖也は死んだはずの自分が目を覚ましたことに違和感を感じた。
ここはどこだ・・・・・ あれ 立ち上がれない。 というか声も出せない。
視界がぼやけて明かりしかわからない。よくみると自分の手がものすごく小さい。
これはもしかして・・・・うん やっぱりそう体が赤ちゃんになってる
所謂転生てやつか?
よく見ると籠のようなものが視界に映った。どうやら自分は籠の中で寝ていたらしい
向かいのドアから一人の女性が入ってきた。女性は自分の前まで来ると
「シドちゃんママですよー」といった
そうかこの人が俺のお母さんで今の名前はシドなのか
母さんは次に乳を与えてきた 何の違和感もなく乳を飲めることが不思議でたまらない
この肉体に精神が引きずられているのだろうか
乳を飲み終えた俺は満足したのかそのまま眠りについてしまった。
目が覚めた。鳥の鳴き声が聞こえる。もう朝になったみたいだ。
さてここはどこなのだろう?同じ世界に転生したのかそれとも異世界に転生したのか
で話は変わってくる。ここが異世界名らきっと魔法が使えるはずだ。
ラノベあるあるの魔法で俺tueeeeできたらいいなぁ
まずは主人公が最初にやることでおなじみの魔力を感じとってみよう
・・・・・・なんも感じない うーんこの世界には魔法は存在しないのかな
そうやって考えていると部屋の中に母さんが入ってきた。
「あら暖炉の火が消えているじゃない 火つけなおさなくちゃ
・・・・火を灯せ【ファイア】・・・・・」
・・・・目の前で魔法で火が付いた・・・これはやばくないかまさかのこの世界に
来ても不遇なのか
よし魔法が使えるようになるまで特訓だ 絶対魔法を使えるようになってやる
結果ダメでした いやぁダメもダメもいいところ魔法がでるどころかうんともすんとも
いかない これは諦めるしかないかなぁ
なんだかんだ言っても疲れたのかそのままずぐに眠りに落ちてしまった。
あれから三年の月日がたった もちろん魔法は一度も使えていない
というか最初に試してみて出来ないとわかったときに大分やる気をうしなってしまった
だからあれからほとんど練習をしていないのが現実なのだが
さて今日は家で本を読んでみようと思う 前世では一日にラノべ十五冊なんか読んでたりするから
けっこう読書が好きだったりする
家の書物室に入った けっこうたくさん本がある 魔法関係の本がいいなぁ
おっ<魔法に関する素敵な本>ってどんな本だよ
と言いつつも本を開いてみる
えっと<魔法を使うための第一条件>・・・魔法を使うためには血筋が大きく影響する
王族や貴族は上級魔法まで使えるが一般兵士や町人、商人は中級まで村人や農民は
下級のみ使えるようにかっている なお冒険者などの特殊職に就いている人は例外である
またごく稀にまったく魔法が使えない人がいるがその確率は十万分の一とも百万分の一とも
いわれている・・・っておいおいまさか俺は百万分の一を引き当てたのかよ 相変わらずの
不遇ぷりだな
<魔法を使うための第二条件>・・・人の体のなかには少なからず魔素というものが
存在する。魔素を体外に放出することによって魔法を使うことができる。体内に保有する魔素
は血筋に大きく左右されるがそれでも個人によってばらつきがあるため同じ階級の魔法でも威力
に差が出ることがある。
<魔法を使うための第三条件>・・・魔法を使う際にはその現象を強く想像する必要がある
しかし詠唱が開発されたため今では機械的に魔法を使うことが可能である・・・
というかんじかまぁ血筋に左右されるならしょうがないと思うよ うん
ん?最後になんかおまけみたいなものがくっついている
<魔装について>・・・魔装は精霊または神と契約することによって使うことができる
これらは自然を操作したり概念を捻じ曲げたりするものがおおく魔法を超越するものであるが
この力を手に入れるためには多大な犠牲をはらうことになるため個人でねらうことはあまりない
ただし冒険者は例外
精霊、神と呼ばれるものはダンジョン、または迷宮の中に存在する。
これらは
下級 中級 上級ダンジョンとなりそこからダンジョンが巨大化すると下級 中級 上級迷宮となり
最後に世界迷宮となる
へぇ迷宮か いつかいってみたいなぁ
こうして俺は書物室をあとにした。
あれからさらに三年たち六歳になった俺は外で遊ぶようになっていた そして外で遊ぶように
なってから大きな発見があった
ついに俺の母さんの名前が判明したのだ。
母さんのの名前はエリー
なぜ今までわからなかったのたというと、それまで
ずっと家の中ですごしていたのでずっと母さんでとおしていたのだ。
外で遊ぶようになってからご近所さんが母さんのことをエリーと呼ぶ
から母さんの名前がわかったのだ
「母さん外で遊んできていい?」
「いいけど日暮れまでには帰ってくること
あと森に近ずかないこと それを守れるならいいわよ」
「うん わかった じゃぁ行ってくる」
「行ってらっしゃい」
ふうようやく外に出られたぞ
魔法がだめなら体を鍛えるしかない。 まずは村の周りで走り込みだ。
そしてシドは走り込み、腕立て伏せ、懸垂など次々と筋トレの
メニューをこなしていく
「よし 筋トレ終わり 早く帰らなきゃ母さんに怒られちゃう」
筋トレが一通りおわるころには太陽が地平線の向こう側に沈み込み
もうすぐ夜にになるところであった。
シドは村の門が閉まる前に村に入ろうと全力で草原を走りぬける。
「よしギリギリセーフ」
門が閉まる前に何とか村にたどり着いた。
村の門番が話しかけてくる。
「おい坊主こんな遅くまで外に居ちゃ危ないだろう。さっさと家帰れ」
「ごめんなさい」
「おう、わかればいいんだ」
見た目は厳ついけどきっとやさしい人なんだろうな。
「おじさんもお勤めがんばってね」
「おじさんじゃねえ。 バンズだ」
「じゃあねバンズおじさん」
「ああ」
おじさんは駄目だけどバンズおじさんならいいのか。おっとこんな所で道草をっ食ている場合じゃない。急いで家に戻らなきゃ。
かなり速く走っているからすぐに自分の家が見えた。玄関前に着いて
そのまま家に入ろうとしたがなんと母さんが家の前で仁王立ちしていた。くそ、ラスボスのおでましだ。
「シドちゃんこんなおそくまで外で何をしていたのかしらぁ」
「えへへ・・・・・・・へ?」
「ふん!」
「ごべらっ!」
母さんから渾身のビンタが放たれた。もろに食らった俺はそののまま一回転して地面に顔をぶつけた。見た目はほっそりして大人しそうな
風貌なのに力だけはまるでゴリラである。いや女性に対して失礼だとは思うけどね。
「うぐっ、私シドちゃんが帰ってこなっかたらどうしようかと思って。そうしたら心配で心配で・・・・うわぁぁぁぁん」
さっきの一撃で母さんにあの世行にされるところでしたがね。とはいえ母さんを悲しませてしまったのは事実だ。これからは
母さんを悲しませることは控えよう。
シドは心の中でそう決意した。シドはそのまま家の中まで引きづられて朝までお説教を受けることになった。
あれからさらに三年の時が過ぎた。もちろん筋トレは毎日継続中だ。そして俺はあの日から一度も母さんから怒られていない。
前世では毎日両親から怒られていたからなんか変な感じがする。ちょっと親から怒られたい気分だ。フラストレイトである。
「母さん、僕を思いっきりぶってくれよ。なぎ倒してもいいよ」
「最近シドちゃんが変なのよねぇ・・・・変なものでも食べたかしら?」
変とはなんだ変とは! 俺は至って普通だ!ちょっと刺激がほしいだけなんだよ。
母親に心配されつつもシドは朝の筋トレをこなしていく。毎日やってきたことだから最初は三時間掛かったことが今では
三十分でできるようになっている。俺はさっさと筋トレを終わらせるとバンズさんの所へ行く。
最近はよくバンズさんから村の外のことや冒険の話を聞くのが習慣になっている。
いつも通り話を聞いているとバンズさんから興味深い話があがった。
「シド、迷宮ってしてるか?」
「知ってますよ。確かダンジョンの進化系で中に神が居るとか何とか・・・」
「シンカケイ? まぁそれであってるよ。でな、なんとその迷宮がこの村から北に少し行ったところの山の麓にあるって話だ」
な、なんですと! なんだその耳よりな話は。
「その話、もっと詳しく!」
「お、おう・・・・予想以上の反応・・・」
それから俺はバンズさんから迷宮の話を聞いた。なんでもこの村を通った旅人が北の山の付近で休憩しているときに不審な
穴を見つけたらしい。でもって興味本位で穴の中に入ってみたところ穴の中はけっこう大きめの洞窟になっていて奥に向か
って進むと巨大な人工物を見つけたらしい。その旅人はそこから先に進むのが怖くなったらしくそのまま引き返したそうだ。
旅人は「あれはまさに迷宮と言えるものだった」と言っていたらしい。ずいぶんと男のロマンをくすぐる話じゃないか。
「とはいってももう三十年以上前の話だけどな」
「けっこう昔の話ですね」
「でもなんかこう・・・・・興奮するだろ・・・・男として」
「ええ、確かに興奮しますね」
こんなにわくわくする話を聞いて興奮しない男なんていない。
「ありがとうございます。これから家に帰っていろいろ調べてみます」
「おう、がんばれ!」
「はい!」 俺は家に走って帰った。
「はは、若いっていいな」
走っていく俺の姿を見てバンズさんはそうつぶやいた。
走って帰ってきた俺はそのままの勢いで書物室に入る。だいぶ勢いづいていたのかドアを開けた瞬間、ミシっと嫌な音が聞こえたが
聞こえないふりをする。
「地図だ。地図はどこだ」
俺は地図を必死に探す。少し興奮しているのか地図を探し出すのに思った以上に時間が掛かってしまった。
「あった! ・・・・・えっとここが俺が住んでいる村で北に山は・・・・これかな?北にはこの山しか存在しない旅人が山を通って
村に来たのだから必ず東に迂回するはず。ってなると山の東側で休憩したはずだから、山の東側で休憩できそうなところは・・・・・
・・ここしかないな。 よし明日さっそくここに行ってみよう」
シドは明日のことも考えて今日はいつもより早く寝た。
「よしもうすぐ目的地に着く」
今俺は絶賛登山中である。いや、完全に登山なめていたわ。本当は日中に目的地に着くはずだったのに初めて獣道を通ったので
かなり進むスピードが遅くなってしまったのだ。もう日が暮れそうである。夜、森の中にいるのは非常に拙い。
いつ獣に襲われるかわからないのだ。俺は魔獣に出会わないようにと強く念じつつ森の中を歩く。そしたらやっぱりフラグを
立てていたらしく目の前に巨大な漆黒の狼が現れた。よほど腹をすかしているのか狼のお腹から大きな音が聞こえた。
「ギュルルゥゥゥ」
「・・・・・・こんなでかい図体してるのに意外と可愛げがあるな」
よく見るとけっこうかわいい? ・・・・・・これならいけるか? 俺は意を決した。
「ポチお手!」
「ガウ!」
ぽんっとポチは俺にお手をしてくれた。俺は荷物から干し肉を手に取る。
「よし、ポチ行ってこい!」
「ワン!」
ポチは干し肉に向かって走っていった。
「なんとかなったな。 ん?あんなところに穴なんてあったっけ?もう外も暗いし穴の方がまだ安全か」
そうして俺は穴の中に入っていった。
一応毎日更新できたらいいなと思います。