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同棲犯  作者: 松河直人
1/6

相談

「この男なんかと一緒にしないで!」

言葉に詰まった末に梢は、結局本意をこぼした。彼女の頭はすでに沸騰しており、弁明することなど忘れきっていた。


この子は、いや、この女は何を言っているのだろう。京子は思考を巡らせようとするが、当然のごとく状況は理解できないままだ。

ただ、理解の範疇を越えるモノを前にすると、人は笑えてしまうらしい。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「どしたの。なんかあった?」

京子は目の前の友香からなにか異変を感じて聞いた。

「んーん、なんでもない。」

これほどまでに信用できない言葉があろうか。いや、ない。

「そんなわけないでしょ、言ってみな。」

脳内で文系受験生並みの反語を脳内でかましたところで京子は雑に切り返した。

「バカにしないで聞いてくれる?あのさ、最近なんかずっと人の視線を感じるっていうか、何て言うか、ストーカーに遭ってる気がするの。」

思わず、はあ?と言ってしまいそうになったところでなんとか飲み込む。あくまで女の私から見てだが、お世辞にもストーカーに遭うほどの魅力を兼ね備えているとは思えない。

というか、話したがってはいなかったはずだが、立て板に水のごとく言葉があふれている。余程話したかったんだな、と判断し適当に相槌を打つ。


「なに話してんの?」

精進料理ばりに味気ない(H大ヘルシーランチ)を持って、隣の席に梢が座ってきた。面倒くさいことになった、と京子は心の隅で思った。

都市部から遠く離れた田舎に位置しているこの大学では、キャンパスの近くに昼食をとれる場所など無いので、昼食時の学食は学生で賑わっている。だからこそ隣の席が空いているのは稀なことで、ちょっとラッキーだと思っていたらすぐこれだ。

梢は京子らと同じ旅行サークルに入っているが、大学二年の春休みの活動で初めて話せるようになったばかりだった。

悪い子じゃないんだけど、と弁明じみたことを考えながら、ストーカーだってさ、と返す。

「ほんと?友香大丈夫なの?」

と梢がすぐに返す。よく信じたな、と思ったことは内緒だ。

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