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私のおまじない  作者: りうろら
屋上での出会い
1/2

先輩との出会い ーTsugumi sideー

ある友人と創作のキャラクターをコスチュームプレイをしていた時に思いついた設定を小説化してみました。

百合尊い……を私がどこまで再現出来るかは分かりませぬが、お付き合い頂けたらと存じます。

本当に嫌なことばかりだ。


4月、新しく高校生活がはじまり着慣れない制服に身を包み出して間もない頃。

1人の少女は屋上で金網にもたれ掛かっていた。

太陽がちょうど真上くらいにあり四月と言えど、とても日の元では眩しい上に暑い。

皆は教室で、この太陽のように明るく机を囲ってお昼ご飯を食べている時間だ。



「うぅ……何でこんなに上手くいかないんだろう」

俯き半ベソをかきながら金網に身を預けゆっくりとしゃがみ込み、そのまま尻餅をつく。

屋上のアスファルトは硬くて生ぬるく、風も吹かないままで気持ちの悪い空気とじんわりと張り付く汗を身にまとっていた。



「学校なんて」

「学校なんてどうしたの?」


小さく口もとでぼやいた事に、ふっと空からそよ風のような声が降ってきた。

思わず俯いていた顔を上げ、その声の主の方を見るが太陽が眩しくて目を細める。

読めた情報は"女の人"という事くらいだ。

あまりにもなんて答えたら良いかわからず黙りを決め込んでしまっていると数秒の沈黙のあとその"女の人"が口を開いた。


「嫌なことでもあった?」

「あ……いえ、えっと、その……」


目の前に立っていた"女の人"はゆっくり私の右隣に来て同じように座り込んだ。

そこで気付いたことは、ネクタイの色から一つ年上の先輩だということ、ショートカットで綺麗な髪をしているということ、その私を見ていない凛とした横顔がとても綺麗だということ。


「答えにくかったら答えなくていいよ。無理に答えるほうが大変でしょ?」

「えっと、……すみません」

「別に悪いことしてないのに謝らなくていいよ。ごめんなさいの価値が減っちゃうよ?」

「すみません」


一度も口角を上げることなく、先輩は静かな声で淡々と話す。



「そんなに謝らない。ほら、手を出して」


急に言われたので何をされるかもわからずに、右手をぱっと差し出す。

先輩と初めて目が合う、と同時に何かに取り憑かれてしまったかのように目が離せなくなってしまった。

物静かなほほ笑みを浮かべ先輩は華奢な指で私の手を左手で掴みわたしの手のひらを空に仰がせた。すると細く綺麗な右手で私の手のひらに何やら手の上で至る方向に滑らせて何かを書いているようだった。

何を書いているのかは全くわからないけれど、思わず目で追ってしまった。

くすぐったくてあったかくて不思議な感覚だ。



「……できた」

先輩の声とともにふわっと私の右手が先輩の両手に包まれた。

思わず心臓が跳ねる。

太陽を浴びているからか頬と耳が少し熱い。


「これは君が嫌だと思っている事が上手くいくおまじない。君は笑顔が似合うよ」

伏し目がちだった先輩の目がまっすぐ私を見ていてそのまま動けなくなってしまった。

さっきとは違って気持ちい風が吹いているというのに顔が熱い。



「じゃあまたね」

そのまま踵を返して名前もわからない先輩はどこかへ消えてしまった。


私はそのままぼーっと太陽の方を見つめる。

「あつい…」




何が起こったか頭で整頓できずぐちゃぐちゃで、よく分からないまま昼休みが終わって言った。

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