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4人とおまけは賑やかに

「あはは! ほらほら! どうしたの!?」

「フレイ! い、いい加減に離れろ! 戦いごっことか良いだろうがぁ!」


くそう、フレイの奴め、風呂から上がったと思ったら、いきなり戦いごっこだぁ!

と言うか! 何でなにかと俺に絡んで来やがる! くそう! 自分の魔法まで使いやがってぇ!


「離れろ!」

「なら、私をどかしてよね」

「ふざけんな! おま、お前は身体強化魔法だぞ! 大の大人だろうが押し倒せる怪力だぞ!

 自覚しろやおらぁ! お前の怪力を、俺の非力な力でどかせるかぁ!」


ぜ、全体的に俺は非力なんだよ! そもそも、力でこいつに勝てるかよ!


「て言うか! 何で今更戦いごっこだ! ふざけてんのか!? 今日暴れ放題してただろうが!」

「私は、リオちゃんと戦いごっこがしたいのぉ!」

「ふざけんなぁ! 何で俺だ!? 1番力が無いのは俺だぞ! トラと遊んだ方が面白いって!」

「トラと戦ったら負けちゃうし、それに、怒られちゃうもんね」

「俺も怒ってるだろう!? 何でトラは駄目で俺は良いんだよ!」

「リオちゃん面白いし、反応が!」

「ふっざけんなぁ!」


くそう・・・俺の反応の何処が面白いんだよ・・・こちとら面白かねぇよ・・・

しかし、本当にどうしようも無い・・・手首はかなりの力でがっちり掴まれてる

あ、足は上に乗られているから動かせない・・・俺の非力な力だと、こいつを持ち上げられないし。


「ぐぬぅ! ほ、本当にそろそろ話してくれ・・・力込めすぎなんだって、腕痛いって」

「うーん、しょうが無いなぁ、じゃあ、はい、離れたよ」


ど、どうやら、俺のお願いを聞いてくれたようだな・・・助かった。

だが、あいつはまだまだ遊びたりなさそうな顔をしている。


「な、何だよ、そのスゲー不服そうな顔は」

「だってさ、すぐ怒るもん、今までそんなに怒らなかったのに」

「お前、自分が魔法を使って俺の腕を鷲掴みにしていた自覚無いのか?

 あんなとんでもない力で腕を握りつぶされそうになったら、誰だってキレる

 腕の血色も悪くなってたんだぞ? 若干青かったし・・・今は大丈夫だが」


あのまま握りしめられていたら、腕が動かなくなっていた可能性もあるな・・・

まぁ、全力では無かったんだろうが、力がありすぎる自覚は持って欲しい。

全力だったら俺の腕はもう動いてないし・・・あいつの魔法は強力すぎるしな。


「それでは、フレイさん! 安全に楽しく遊べる方法をお教えしましょう!」

「え!? 何!? どんな遊び!?」

「それはですね、まずはリオさんのズボンを」

「ふざけろ」


俺は狙撃銃を取りだし、射撃モードを非殺傷に変え、アルルを撃ち抜いた。


「あて・・・ふにゃぁ、世界が回りますぅ・・・」


弾丸を受けたアルルは、力無くその場に倒れ込んだ。

どうやら、麻酔銃だったようだ、それも、かなりの即効性だな。


「あれ!? アルルさん!? どうしたの?」

「うーん、えへへぇ、私の理想郷がぁ・・・」

「変態女が、寝てやがれ、間抜け」


それにしても、この麻酔銃って殆ど発砲音が無いな。

何せ、かなり近くに居たフレイが気にも留めないほど小さい様だしな。

もしも潜入することとかがあったら、かなり使えそうだ。

とりあえず、口には出さないが、アルル、実験台になってくれてありがとうな。


「うーん、駄目だ、完全に眠っちゃってるよ、どうしていきなり眠ったんだろう?

 聞きたかったのになぁ・・・リオちゃんのズボンをどうすれば良いんだろう・・・」

「気にしないで良いだろう、こいつの言葉は聞き流す方が良い、変態だし」

「ふーん、リオちゃんがそう言うならそうするよ・・・所でさ、変態って何?」

「こいつみたいな馬鹿な暴走野郎のことだ・・・野郎じゃ無いが」

「ん? どういう意味? やっぱりよく分からないけど、アルルさんはへんたいって事なんだね」

「そうだ」

「分かったよ、ありがとう!」


・・・何か、フレイの笑顔を見た一瞬だけ嫌な予感がした・・・いや、大丈夫だろう。

まさか、これからこいつがアルルのことを変態とか言うわけ無いよな・・・それは無いよな・・・

だが、一応不安だし、訂正を入れておくとしようか。


「あぁ、何だ、こいつは変態だが、こいつを呼ぶときに変態とか言うなよ?」

「え? 呼ぶときの言葉じゃ無いの?」


あぁ、やっぱりそういう風に誤解していたか・・・念の為に言っておいて良かった。


「そうなんだ、じゃあ、私もへんたいって呼ばない方が良いんだね」

「あ、あぁ、そうだ、お前らもあいつを変態とか言うなよ?」

「う、うん、言わない」


これで全体の誤解は解けたな・・・さて、それは良いとしてだ

この変態女・・・どうするべきだろうか・・・ここで寝かして置く訳にはいかないしな・・・

こいつと同じ部屋で眠るとか、ゾッとするし・・・


「うふふ~、リオさん、良い香りですぅ・・・」

「・・・駄目だ、こいつを担ぐこととか出来ない、絶対無理! 仕方ないか」


こうなったら仕方ない、もう隣に声を掛けて、拾って貰うしか無いか。


「あっと、こっちに誰がいるか分からないが、誰か居るよな!」

「えぇ、居ますわよ・・・えっと、その声はリオさんですわね」


俺が右の部屋の前で中に誰か居るかと聞くと、俺の言葉に応えたシルバーが出て来た。


「どうしたのですか?」

「いや、実はな、アルルを拾って欲しいんだ」

「アルルさんをですの? 一体、何故?」

「眠ってしまったからな」

「はぁ、分かりましたわ、なんで眠ってしまったかは分かりませんが、意識を失ったのです?」

「ん? 何でそんな風に思うんだ?」

「いえ、隣のお部屋でリオさんの怒鳴り声が響いていましたので」


あぁ、やっぱりあの怒鳴り声は聞えていたんだな。


「いやぁ、その、俺もほら、そこそこ悪いんだが、全ての元凶はあいつ自身だから」

「そ、そうなのですか? 確かにリオさんを怒らせた方が悪いですわね」

「おい、なんで遠い目をしている、何故俺から目を逸らす?」

「い、いえ、な、何でもありませんわ、短気すぎる気がするなどと思って等いませんわ」


・・・・確かに、俺は短気だからな、こればっかりは反論できねぇ。

だが、今回は10割あいつが悪いと断言できるぞ。


「いや、確かに俺は短気だが、今回は10割あいつが悪い、変態発言をしようとしたからな」

「へ、変態ですの? しかし、アルルさんはかなりお淑やかでございますわよ?」

「は!? あ、あいつがお淑やか! じょ、冗談だろう! あいつほどお淑やかから

 遠い存在なんてそうそう居ないぞ!」


なんせ、俺の前では殆ど落ち着いた姿など見せていない!

す、少なくとも、今日1日一緒に居て、あいつがお淑やかにしていた場面は1度も見てない!

確かに戦闘中はかなり静かで落ち着いては居たが、それでも他の時は変態行動と発言しかしてない!


「そ、そうなのですか? しかし、私はアルルさんと少しは行動をしていましたが

 あの方はかなり落ち着いていましたわよ?」

「は!? 嘘だろ!? そ、そんなはず!」

「どうやら、私といるときと、アルルさんと共に居るときの彼女は違うようですわね」

「そ、そうみたいだな・・・まぁ、何だ、取り合えず、あいつを引き取ってくれ」

「はい、分かりましたわ」


シルバーは俺の指示を聞いてくれて、俺達の部屋で寝ているアルルを軽そうに背負った。

そして、俺達の方に振り向き、軽く一礼をして、部屋から出て行った。


「行ったか、とりあえず、これで」

「えいや!」


俺が一安心していると、後ろから声が聞えてくると同時に、ズボンがズレる感覚・・・


「なぁ!」

「おぉ、動きやすそうなパンツ!」

「・・・・フレイ! お前、いきなり何を!」

「いやぁ、ズボンをがどうだって言ってたからさ、だから男の子が良くやってた悪戯が出て来てね」

「だ、だからズボンをずらしたと?」

「そうそう、リオちゃんって、男の子みたいなパンツを履いてたんだね!」

「この方が動きやすいし、しっくりくるんだよ」

「でも、女の子は女の子のパンツがあるって聞いたよ?」

「良いんだよ、何を履こうが俺の勝手だ、ぴっちりしたのは苦手なんだっての」


そんな事を言いながら、俺は降ろされたズボンを戻した。


「うーん、反応が薄いから面白くないなぁ」

「ねぇ、フレイ、あまりそうやってリオをからかうのは止めた方が良いよ」

「なんで?」

「人をからかうのは駄目だって、先生もよく言ってたじゃんか、忘れたの?」

「あ! 分かった! トラちゃんが何を言いたいのか!」

「あ、分かったんだ、それは良かっ」

「てりゃぁ!」


トラの話を遮り、フレイはトラのスカートを思いっきりずらした。

そして、トラの可愛らしいトラの絵が描かれたパンツが姿を表わした。


「あ、あぁ、あわぁあ!」

「おぉ! 先生が作ってくれたってパンツだね! このトラちゃん可愛いね!」

「う、う、うぅ、うぅぅ!! フレイぃぃ!!」


トラが顔を真っ赤にしている、恥ずかしがってるんだろうな。


「へ? え、えっと、やって欲しかったからじゃ無いの?」

「そんなわけ無いよ! は、恥ずかしい!」

「でもさぁ、ずっと一緒に居たし、パンツくらいで恥ずかしがらないでも良いじゃん

 恥ずかしいこと無いって、私達しかいないんだし、誰かに見られるなんて事」

「ゆ、ゆゆ、ゆ、許さない! 許さないんだからぁぁ!」


げ! と、トラが完全にキレた! あ、あれ!? な、何か周りの物が浮いてる!

て言うか、え!? に、二段ベットまで浮いてるんだけど!


「あ、あは、あはは、そそ、そんなにお、怒らないでよ、怒るような事な!」

「許さないんだからぁぁ!!」


周りに浮いていた筆やら枕やら、二段ベットが俺達の方に飛んできた!


「ぎゃぁぁ!」

「ちょ! ま、待って! こっちまで来るから!」

「うわぁぁ! ちょっと待て! それは駄目だ! 二段ベットは危ない!」

「逃がさないよ! フレイ!」

「止めて! 怪我しちゃ、うわぁぁ!!」

「あぁ! は、跳ね返ってくる!」

「ウィング! と、とにかくこの部屋から出よう! フレイは大丈夫だろうが俺達は不味いって!」

「そ、そうだね! 急いで逃げ」

「わぁぁ!」

「お、おいフレイ! お、俺達の方に走ってくるな!」

「だりゃぁぁ!」

「のわぁぁ!」


俺はすごい勢いで飛んできた枕が思いっきり顔面に当たった。


「のふぁぁ!」

「あぁ! リオちゃん!」

「く、くそう、あいつ、怒ると手が付けられないんだった、魔法の影響で更にヤバい!」

「あわわぁあぁ!」

「うがぁぁぁ!! 逃げるな! フレイぃ!!」


こ、このままだと、フレイは良いとしてもウィングと俺が大変なことになる

し、仕方ない、こうなったら、出来ればあまり使いたくなかったが。


「し、仕方ない、やるしか無い!」


俺は狙撃銃を召喚して、非殺傷の狙撃をトラに撃ち込んだ。


「い、あぅ」


麻酔薬を受けたトラはその場にすぐに倒れ込んだ。

やっぱり、即効性が凄いんだな、でも、少し痛いみたいだ。

だから、出来るだけやりたくなかったんだが、このままだと俺達の誰かが死にそうだし。


「倒れ、わぁぁ!」


しかし、トラが倒れたことで魔法の効果が切れたのか、宙に浮いていた色んな物が落下した。

その落下した物には二段ベットもあった。


「あっぶな!」


落下した二段ベットは、地面に激突して、粉々になりながら、木くずを周りにまき散らした。

俺はウィングと一緒に急いで伏せ、その木くずが当たるのを避けることが出来た。


「うわぁぁ!」

「はぁ!?」


だが、ここで再びハプニングだ、今度はフレイがやらかした。

あいつは飛んできた木くずをはじき飛ばし、壁に衝突させた。

その結果、左側の壁に大きな穴が開いてしまった。

そして、その際に飛んできた瓦礫は、俺の後頭部に衝突した・・・


「う、つぅ」

「・・・・あ、あの、えっと、え?」

「さ、騒がしいと思い、来てみたのですが、どういう状況ですの?

 何があったら、ここまでお部屋が散らかるのです?」

「とりあえずだ、分かることはだな、トラとフレイの魔法は超危険だ・・ぞ」

「あぁ! リオさん! どうしたのですか!? とにかく手当を!」

「訳が分からないけど、分かりました! 救急箱を!」

「うわぁぁぁんん! リオちゃぁぁん! 起きてよぉぉ!」

「あ、ちょっと見てください! ウィングさんとトラさんも意識がぁぁ!!」

「急いで医務室に運びますわ! 速くしましょう!」


こうして、俺達の初めての4人共同部屋の日は終わったのだった。

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