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拠点の案内

ケイさんの家にお世話になって2日目になった。

俺達はケイさんに案内されて仕事場である

この街の総司令部を案内して貰う事になった。


「ケイさん、今日は子連れですか?」

「まぁね、興味あるって言ってきたから」

「おぉ! ケイさん、結婚してたんですね」

「…してないわ、知り合いの子達よ」


と言うか俺達が仮に本当の娘だとすると

ケイさんどんな年齢で生んだことになるんだろうな。

アルルが18で、ケイさんは27、うん、9歳で生んだことになる

……死ぬだろうな、そんな年齢で生んだと言う事になると。


「そうなのですか!? し、失礼しました!」

「何処に失礼する要素があったのかしら?」

「い、いえ! 何でもありません! えっと、ど、どうぞ!」


兵士達はビビりながら総司令部の入り口を開けた

ケイさんはその2人の兵士に少し睨みを効かせながら司令部に入る。

俺達はケイさんをなだめながら司令部まで入った。

しかし、何処にキレる要素があったんだろうか

正直俺にはよく分からなかった。


「全く何で私が結婚してないって答えたら失礼しましたなのよ!

 何!? 私が結婚したくない感じの女だと思ってるわけ!?

 むしろ逆よ! 超結婚したいわ! 今すぐにでも結婚したいのに!」


あぁ、そう言う事だったのか、怒った理由って、なる程ね。


「ま、まぁまぁ、ケイさん、あれは多分ですけど、私が居るでしょう?

 私が居るのに結婚した、って感じだと、ケイさんが私を生んだって事

 それはつまり、ケイさんが老けて見えてるって言われてるような物ですよ」

「え!? そ、そうかしら」

「私みたいに大きな子が居るってなると、ねぇ」

「ま、まぁ、言われてみれば確かにそうね

 じゃあ、別に怒るところじゃなかったのね、後で謝っておくわ」


まぁ、確かにそうだよな、アルルくらいの年齢の娘が居るってなると

どう考えてもおばさんって感じになるからな

何せ、9歳だからね、今の年齢差し引いた場合。

だから、それを仮に16歳で生んだとするなら

今の年齢に7足して、今の歳は34歳、もしくは33歳か。

まぁ、大して差は無いような気はするが

多分女の人には痛すぎる誤差なんだろう、それをあの門の2人は知ってた。

だけど、ケイさん自身はよく分かってなかったという感じだな。


「ま、まぁ、良いわ、えっと、とりあえずここが私の仕事場よ

 それなりに広いでしょう? まぁ、全都市では小さい方だけど

 だって、あまり重要視されてない場所だからね、ま、それで良いけど

 むしろ重要視されてたら自由度が減るからね」


重要な場所は基本的に攻略されたりしたら大変だから規律が凄い

だが、規律が良い組織というのは、言い換えれば自由が無い組織だ。

規律が良いと言うのは良いことだけど、極端なのは駄目だろう。

個人的には全員が1つの目標を持っている組織

これ位が1番良いと思ってるけどな、そうすれば自由も増すし

各々が色んな方法で1つの目標を目指して進むから

色んな発展の仕方、色々な発想が生まれると思うし。

何より目標に向うための自由が無いのはどうしても嫌だ

1つの道筋でしか攻略できないってのも、あまり好きじゃないし。


「確かにそうですね、自由なのは大事です」

「そうそう、自由じゃ無かったら毎晩お酒飲めないわ」

「そ、そうですね、毎日凄く飲んでますからね、お酒」

「えぇ、自由が無かったら多分あれよ? 毎晩お酒飲むな!

 とか言われて、最大の楽しみが無くなってしまうわ」

「言われそうですね、それ位飲んでますもん」


毎日店に来る度にジョッキ10杯を軽く飲み干すくらいだからな。

家ではジョッキ3杯くらいだったけど…どちらにせよ凄い消費だが

だって、あの居酒屋に来るお客の平均の杯数は2.2杯位だからな。

で、多分ケイさんの分を引いたら2杯くらいだろうなぁ。


「全く、あれ位水よ、水」

「あまり飲み過ぎないでくださいよ? 早死にしたら大変ですし」

「そうですよ、長生きして欲しいですし」

「うん、長生きして」

「やっぱり優しいわね、あなた達って、涙出てくるわ」


ケイさんは少しシクシクと泣いた後、涙を拭き

俺達の案内を再開してくれた。

最初にケイさんが案内してくれたのは総司令部だ。

何でいきなりここ? よく分からんな。


「あ、ケイさん…えっと、その子達は?」

「知り合いの娘達よ、今、訳あって私が預かってるの」

「はぁ、ですが、何故この子達をこの場所に?」

「興味があるらしくてねぇ、嬉しいじゃないの

 若者の軍事離れが深刻な今、興味持ってくれるのって」


若者の軍事離れ? 何? そんな状況になってたの?


「まぁ、仕方ないですよね、命を賭けても出世が無いんじゃ

 若い子達も離れたくなりますよ」

「出世はあるわよ? 私とか出世頭じゃ無いの」

「それ以上が無いでしょ? ケイさんは本当に総司令官よりも

 国の為に尽力しているのに、いつまでも総司令代理です

 それに完全に総司令官みたいな物なのにお給料はそのまま

 そんな状況がこの街じゃ当たり前、誰も軍に興味は抱きませんよ」


意外とそう言う噂って広がってたんだな、知らなかった。


「まぁ、そうね…で、話に出たついでに聞くけど、総司令官は?」

「家で寝てますよ、どうせ」

「…まぁ、結局こっちに来ても寝てるだけだし、どうでも良いわね」


どんな総司令官だよ、仕事しろよ…代理が優秀じゃ無かったら

まず間違いなくこの街破綻してるぞ……もう殆ど破綻してるけど

防衛とかガバガバだったしな…あれは酷いと思った。

まぁ、そのお陰で潜入できたわけだからなんとも言えないが。


「さて、とりあえず色々と案内してあげるわ、えっとね

 この人が総司令部の伝達を総括してるマメちゃんよ」

「マーズ・メトリックです、マメちゃんじゃありませんよ

 まぁ、長いのでマーズでも良いですし、総司令のように

 マメちゃんでも良いですよ、好きに呼んでください」


女の人だな、青色の髪の毛に青の瞳

軍服の胸ポケットには勲章が3つほど付いている

ケイさんの場合は5つだったな、やっぱりケイさん凄いんだな。

にしても、軍服変わってるな、全体は青色で赤い線が何カ所かに入ってる

帽子も青で、真ん中に黄色い星が入っている。

下は青色の少しだけ長いスカート、動きにくいだろうな。

で、腰当たりには灰色の小さな鞘、多分ナイフが入ってるんだろう。


「それで? あなた達は?」

「あ、私はアルル・フィートと言います」

「私はリオ・フィートって言います」

「私はフラン・フィート」

「姉妹なんですね」


ひとまず自分達の自己紹介も終わらせた、姉妹設定だし名字は同じだ。


「しかしあれよね、何度見てもマメちゃんって軍服に合うわよね

 目の色とか髪の色とか完璧にそれよ、なんで青いの?」

「何でと言われましても、生まれ持った姿ですし」


やっぱり異世界なんだなぁ、同じ人種しか居ないだろうに

全員髪色とか瞳の色とかバラバラだからな、普通じゃあり得ないだろう。

いや、別にそれで何が不便とか無いんだけど

むしろ個性的な人が多くて、見てて飽きない。

てか、青色の髪の毛って実際ならかなり珍しいよな、奇跡的だろう。

まぁ、俺も人の事いえないけど、茶髪はまだ普通でも素で紅い目だし

真っ赤っかだよ、下手したら軽く狂気を感じるくらい紅いし。

いや、考えてみればフレイの髪の色も相当だよな

赤髪だし、いや、アルルもか、てか、青髪ってマナもだっけ

もう色々と考えたらキリがないという事に今更気が付いた。

もういいや、考えても何か変わるわけじゃねーし。


「まぁ、そうよね、私もそうだし…さて、この話はここまでにして

 色々と設備を教えてあげるわ」


さっきの話を振ったケイさんが自分で話を切り上げ、設備紹介を始めた。

殆どの設備は原始的な物が多い気がする、ガラスはまぁ、良いとしてだ。

軽くサイレンを鳴らす装置のスイッチと紙、多分これに記録をとるんだろう。

双眼鏡に信号弾、こう見ると電子的な物は結構少ない。

だが、1つ黒い物体だけはかなり電子的だった。


「で、これが無線とか言うやつね」


ケイさんが指差した無線機と思われる物はどう考えても現代にある無線機だ。

トランシーバーもいくつもあるし、形もゲームでみた物と同じだった。

まぁ、正直、本物を見たことがないから何ともだけどさ。


「これ凄いのよ? 遠くの人達と会話が出来るんだから」

「へぇ…ん?」


と言うか、よくよく見てみると、この黒いの…確か向こうでも見たぞ

確かフレイがぶっ壊した機械だ…その機械がこれと似た感じだった。

俺がそんな事を考えていると、無線機の方から声が聞えてくる。


『おい、私だリ・アースだ、定時連絡の時間だ』

「えー、こちらサンズ地方、総司令部代理ケイ、異常なし」

『よし、では、そのまま気を抜くなしかし、またお前か

 総司令はどうしたんだ?』

「恐らく眠っておられるかと」

『そうか、まぁ、下に付く物の宿命だ、運が悪かったな』

「そう仰るなら、何とか言って欲しいのですか?」

『上司の失態は部下が拭う物だ、貴様ら手足はそのまま動いていろ

 以上だ、通信終了』

「く、くぅ! 相変わらず嫌な奴!」


はぁ、こんな感じなんだな。


「あの、さっきの声の人は?」

「リ・アース国王よ」

「は!? そんな偉い人が!?」

「最終判断をいつでもするためらしいわよ」

「さ、最終判断!? な、何ですか!? それ!」

「そのままよ、この場所を切り捨てること

 確か定時連絡が3回返事が無かったら下すとか何とか」


……最終判断、切り捨てる、遠方にいる王様にそんな真似が出来るのか?

いや、切り捨てる判断は出来るだろう、だが、どうするんだ?

他の軍に指示を出して、その場所を攻めさせるのか?

いや、それなら定時連絡が1回無ければそうすれば良いだろう。

で、最終確認はその攻めさせた兵士達にさせれば良いだけのこと。

だが、そうじゃないとすると、やることは…1つしか考えられない。

爆破だ、俺達が最初に制圧した国と同じ様に爆破する。

だが、どうやって? そこが問題だ、そこを知ることが出来れば。


「あら、流石に怖かったかしら? 

 そうよね、最終判断って響きが怖いわ

 それにもう、実例も出てしまった、誰だって怖くなるわよ」

「隣街の?」

「えぇ、恐らくあれが最終判断

 だから、総司令部は誰もミストラル王国がやったとは思って無い

 国民は知らないけど、殆どの国民が王の仕業だと考えている」

「そんなに酷い王様なんですね」

「そうよ、噂でしか無いけどね」


ここまで場所が離れてるなら、悪逆行動は噂でしか来ないか。


「じゃあ、その最終判断ってどうするんですかね?」

「知らないわ、何処かにあるのよ」

「つまり誰も知らない」

「そう言う事、だから止めたくても止められないのよ

 だから死にたくないから指示に従うしか無い、ここは比較的自由であるけど

 本質的には拘束されたままなのよ」


……その爆弾を解除することが出来れば、何とか状況を打破できそうだけどな。


「じゃあ、地下とかにあったりするかもしれませんね」

「ん? アルルちゃん、どうしてそう思うの?」

「誰も見えない場所は地下くらいかと思いましてね

 ほら、建物とかだと目立ちますし、探せますから」

「可能性はあるわね、それに隣町の爆発は全体だって聞いたわ

 建物だと同じ様な建物が無数にないといけないでしょうが

 地下なら1箇所に入り口を設置、後は地下の道を広げれば…

 よし、探してみましょう! 良い復讐になりそうだしね」

「それ、私も噛ませて貰いますよ、ケイさん

 私もそろそろ鬱憤がたまってきてたので」


あれだな、国の長が駄目だったり、理不尽だったりすると

やっぱりこう言う反逆見たいな事が起るな、当然だけどよ。

これはどう考えても国王の人徳が駄目だったから何だろう。


「よし、地下探すわよ地下!」

「じゃぁ、それっぽい場所を探して見ますね」

「よしきた! じゃ、あなた達も一緒に反逆する?」

「あはは、面白そうですし参加しますよ!」


俺達はケイさんに協力して色々と探す事にした。

目的は地下、で、全員で基地内を探していると

マーズさんからよさげな情報がやって来て、その場所を探して見た。


「お、ここじゃ無い?」


その場所は基地の奥にあった小さめの扉だった。

その扉は非常に小さく、子供1人が入れそうなくらいの大きさしか無い。


「小さいわね、これ」

「じゃあ、私が行きますよ、行けそうですし」

「でも、かなり暗いわよ? 良いの?」

「大丈夫ですよ、目は良いんで」


俺は1人でその場所に入った、中はかなり暗い…何も見えないほどに。

だが、ある程度まで進み、入り口付近で見ているケイさん達が

見えない場所まで移動した後、M16を召喚し、タクティカルライトをカスタム

周囲を明るく照らしながら地下を探る事にした。


「…ドラム缶?」


地下には無数のドラム缶が置いてある、長い道のり全てにだ。

マジでどうなってるんだろうか、こんな場所…何の意味が。


「リオちゃん! 大丈夫!?」


俺がウロウロと回っていると、安否を心配する声が聞える。


「大丈夫ですよ!」

「良かったわ! じゃあ、その場所どうなってる!?」

「ドラム缶が沢山置いてあります!」

「ど、ドラム缶?」


その会話の後、俺はその場で少し周りを見渡した。

すると、変な物に気が付く、点滅する謎の場所だ。

俺はそれが気になり、ゆっくりとその場所に移動した。


「……これって」


そこにあったのは沢山のC4爆弾、なんでそうだと分かったのか

理由は単純、ゲームで全く同じ形状の物を見たからだ。

大きさも色も配線も全く同じ、ここまで同じなのかと思うほどに。

普通なら配線の色くらいは変わっても良いだろうに。


「……よし」


俺はタクティカルライトを取り、自分の武器を変更、M1に変え

銃剣にカスタマイズする、これで刃物が手に入る。

で、その剣の部分を外し、ナイフに変えてみる。

しかし、こんな妙な事をしたのは初めてだ

何だか集中力が…くぅ、クラクラする、無理してる感じなのかもな。

だが、刃物も無いこの状況だ、やるしか無いだろう、よし、解除する

普通なら様子を見る方が良いのかも知れない、だけども

俺は知ってる、このC4の解除方法を形状は寸分違わない

…だが、法則が違う可能性もある…どうする?

多分この作業は俺にしか出来ない、だがこの爆弾…取り外せない

止めるには起爆その物を解除しないと行けないが。


「……ふぅ」


仕方ない、下手な事をして周りを巻込むわけにはいかないだろう。


「ケイさん! 住民とかの避難って出来ますかね!?」

「え! 何言ってるの!?」

「ちょっと危ない事するので!」

「いやいや! 駄目よ! 駄目! 危ない事は駄目!」

「そ、そうよ! リオ! 危ない事をするなら駄目!」


そりゃ、そう答えるよな、当然ではあるけども。


「やらないと絶対に自由にはなれませんよ!?」

「あなたが命の危機に瀕するくらいなら別に良いわよ!」


……仕方ない、このまま強行するのは危険すぎるか、一旦戻ろう。

俺は取りあえず一旦皆の場所に戻った。


「よ、良かった、戻ってきてくれて!」

「流石に周りを巻込みそうなことはしないよ」

「あなたあれでしょ? 周り巻込みそうに無かったら強行してたでしょ?」

「はい」

「この!」

「この馬鹿!」


俺の返事を聞いた直後にアルルが手を上げたが

それよりも先にケイさんが俺の頬を平手打ちで叩いてきた。


「な、何を…」

「自分の命を粗末にしようとしないで!」

「でも、これが出来れば…」

「駄目よ! 絶対に許さないわ!」

「そうよリオ! 自分の命を粗末にしようとしないで!」

「……」


まさかケイさんにここまで怒られるなんて…思ってもみなかった。

……何か、本当にお母さんみたいな人だ。


「はぁ、もうこれは終わりよ、反逆は良いわ、やっぱり今まで通りが1番ね

 それじゃあ、帰りましょう」

「そう…ですか」


その日の夜、ケイさんが寝ている間に俺達は姿を消した

集める情報は集めるだけ集めた、もうこの場にいる必要は無い。

だが、何でだろう、少し後ろ髪を引かれる思いだ。

きっと爆弾を解除できなかったことが心残りなんだろう。

…きっとそうだ、きっと…そうなんだろう。

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