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寝苦しくて

1日中抱きしめられているからろくに眠れない。

力は強いし、耳元で寝息がガンガン聞えるし

なんか眠ったら大変な事になりそうと言う気持ちがあるからなぁ。

やっぱり眠るときは1人でスヤスヤ眠りたい物だ…いや、考えてみれば1人で寝る事は最近無いかも

城で眠るときだって、二段ベットが2つあるとは言え、気が付いたらフレイが隣で寝てたり

ウィングが俺のベットで泣き寝入りしていた事もあったしなぁ。

周りの寝言も大きく特にフレイ、静かな事の方が珍しい。

むしろ、今更静かな場所で眠るという方が落ち着かないのかも知れないな。


「むぅ、はぅ」


俺が色々と考えていると、フランが俺の耳たぶをくわえてきた。


「や、やめろって、なんかヌメッとしてて嫌だから!」

「むぅ、はふはふ」

「噛むなぁ! 甘噛みするなぁ!」


うぅ…寝てるこいつに何言っても意味ないのかも知れないけど、止めて欲しいこう言うの・

うぐぐ、耳が変な感じがして、更に眠れなくなる。

本当にどうして子供って言うのは、色々と咥えようとするんだよ…うぅ。


「はぁ」


もうどうこう言っても、きっと眠っているフランには聞えないだろうからな

仕方ない、こうなりゃ堪えて眠るしか無いか…出来るか不安だが。


「…うぅ」


俺は仕方なく目を瞑り、眠る事に集中することにした。

しかし、耳は変な感覚だし、窮屈だし、うるさいしでやっぱり眠れそうには無かった。

それでも眠らないとどうしようも無いから、俺はずっとずっと目を瞑る。

それからしばらくして、少しだけ今の状態になれてきたのか、少しずつ意識が遠くなったとき

何処からか話し声が聞えてきた。


「…らないね、こんな組み合わせ」

「そうか、なら、見たら言ってくれよ、国の為だ」

「はいはい、分かったよ」

「それとお前ら、サボってるのは見逃してやるから、あとで俺に奢れ」

「分かった、本当にお前は真面目なんだか不真面目なんだか分かりゃしねぇな」

「ふん、それじゃ、また来る、次来るときは客としてだから」

「はいよ、良い酒用意して待っててやるさ」


…どうやら、エナさんが誰かと話しているような声だった。

話している相手はきっと男だ、そして、国の為と言っていたところから

多分兵士なんだろう…だが、一体兵士が誰を探しているんだ?


「ふぅ、やれやれ、子供2人を連れてる女の人はいるかなんて聞かれてもね

 そんな人は沢山いるだろうに、あんな曖昧な聞き込みで何が分かるんだか」

「そうですね、もっと特徴を言わないと流石の僕達も分かりませんよ」


聞き慣れない声が聞えた、女の人の声の様に聞えたが、自分の事を僕と言ってたし

もしかしたら男? でも、声は女だと思うんだけどな…


「一体、なんで探してるんでしょうか?」

「あいつはなにやら隣街を滅ぼした兵士? が、紛れ込んでるとかで探してるらしいぜ」

「隣国を滅ぼした兵士? 馬鹿じゃ無いのかい? 3人程度で滅ぼせる訳がないじゃ無いか

 そもそも、仮にそんな芸当が出来る奴が入ってきてるってんなら、もうここも滅んでるだろうに」

「違ぇねぇ、隣街をまとめて滅ぼしたような兵士がここに来てるんなら

 もうとっくにこの場所はねぇだろうなぁ、兵士も俺達もまとめて吹っ飛んでるさ」


……馬鹿な、潜入がバレていたのか? いや、そんなはずは無い。

潜入したとき周りには兵士なんていなかったし服装も溶け込む服装だったはずだ。

そもそも潜入時に追われた訳じゃ無いのになんで今更潜入がバレるんだ?

あり得ないだろそんな事…追ったけど逃げられて探してる、なら分かるが

俺達を追うどころか面識すら無いのに突如探し出すなんて事…あり得ない。


「しかし、ここの兵士は普段はサボってばかりなのに、あの人は熱心な物だねぇ」

「はは、言うなよ、耳が痛いじゃねーか」

「自覚があるんならしっかり仕事しなっての、忙しいんだろう? 酒を食らってる

 暇は無いんじゃないのかい?」

「あんなアホな情報信じてマジに探してたら体がいくらあっても足りねーよ」

「それなら城門の守りに戻りなよ、サボってないでさ」

「誰も来やしねぇよ、こんな時間に」


……うーん、どうして今頃潜入がバレたのか、と言うのは不思議でならないが

少なくとも、ここにいれば安全そうではあるな。

で、普段行動する時は3人同時に行動したら不味いってのも分かった。

今、この国で俺達の特徴で分かってるのは、俺達が3人組だと言う事だけみたいだからな。

だから、3人で行動しなければ疑いの目は向きにくいと言う事だな。


「…よし」


俺はその後、話を聞くのをやめて眠り、次の日から行動を開始することにした。

次の日の朝、俺はエナさんに話をして、夜の仕事の手伝いをさせて欲しいと頼む事にした。


「エナさん、私もお姉ちゃんと一緒に働きたいです!」

「ん? なんでだい?」

「お姉ちゃんが毎日頑張ってくれているのに何もしないのは嫌だから!」

「……ふーん、姉の為か…でも、あんたの姉はあんたらの為に頑張ってるんだよ?」

「だったら、私はお姉ちゃんとフランの為に頑張りたい!」

「…はぁ、出来た子だね、本当…じゃあ、そうだね、アルルと話をしてからにしな」

「分かりました!」


俺はすぐに部屋に戻り、部屋で少しの間眠っているアルルを起そうと近寄って見た。


「む! この気配はリオさん!」

「な、なんで近寄っただけで起きるんだよ」

「あぁ! リオさん! どうしたんですか? 夜這いですか!? 良いですよ! 私はいつでも!」

「うっさい、自重しろ」

「あだ! 全く、殴る事は無いじゃないですか…まぁ、冗談はこれ位にして

 何かご用ですか? リオさんが無意味に私の所に来るとは思えませんし

 あ、もしかして、甘えたいとか? すみません、毎晩お仕事が忙しくて

 ですが、明るい時間ならいつでも甘えてくれたって構いま、あだ!」

「んな訳ないだろうが、1度でも俺がお前に甘えたことがあったか? ん?」

「あ、ありませんね、すみません」


やっぱりブレない奴だなったく、ま、とりあえずさっさと事情を話すとしよう。


「さっさと本題に入るが、実は今日からお前と店で働こうと思って」

「え? 居酒屋の? 何でですか?」

「居酒屋の方で働いてれば、それなりに情報も集まるだろうし

 もしも、来てる兵士に取り入る事が出来れば、子供の容姿を利用して

 敵の基地内に連れて行って貰える可能性がある、そうすれば情報収集が可能だ」

「なる程、ですが、エナさんには話をしたんですか?」

「あぁ、エナさんからはお前から許可を取れば良いと言われてるか」


ドアの外から階段を上がるような足音が聞えてきた。

どうやら気配を感知されないよう音を消しているつもりみたいだが

よく足音が聞える…あまり気配を消すのになれていないらしい。


「…リオ、あのね、私と一緒に働きたいってのは嬉しいけど

 可愛い妹であるあなたにそんな大変な事をさせる訳にはいかない」


どうやら、アルルもその足音に気が付いたらしく、口調を変えてきた。


「でも、お姉ちゃんばかり大変な思いをさせたくない、一緒に頑張りたいの!」

「リオ…お姉ちゃん、なんか嬉しい!」


な、なんでいきなり抱きついてきてんだ!? 意味あるのか? この演技意味あるのか!?


「はぁ、はぁ、う、嬉しいリオ!」


もう演技じゃないだろうこれ! なんで鼻息荒くしてるんだよ気持ち悪い!

でも、無理に振りほどけば、多分ドアの向こう側でこっちの会話を盗み聞きしてる

エナさんに疑われる! こいつ! 絶対に分かってやってるな!


「ぐ、ぐぬぬぅ…」

「リオさん、怒ったらエナさんに疑われますよ?」

「く、くっそ!」


絶対に分かってやってる! 間違いなく分かってやってる! 本当にイラつく!

クソ! だが、仕置きは後だ! 今はエナさんに疑われないことが大事だ!


「お、お姉ちゃん、強く抱きしめすぎだよ、苦しい」

「でも、お姉ちゃん嬉しくて、ごめんね」

「じゃあ、良いって事?」

「うん、一緒に頑張ろうね」

「うん!」


俺はその会話をした後に左手でアルルの腕の皮を思いっきり抓って引っ張った。

アルルは少し痛そうな表情をしながらも、声を上げることは無い。


「一緒に頑張って、皆で楽しく暮らそうね」

「そ、そうね」


今度は両手でこいつの腕の皮膚を強く引っ張り続け、痛そうにしているのに

全然話さないアルルに対して地味なダメージを与え続けた。

だが、その程度の痛みでアルルが離れることは無く、ずっと抱きしめてきてやがる。


「あた!」


ドアの外で止まっていた足音が動きだし、階段を降りきったのを確認した後。

ウィンチェスターを召喚し、召喚時のダメージをアルルの腹にぶつけて引き剥がした。


「痛たた、容赦ないですね」

「アルル、テメェ、マジで調子乗りやがって」

「いやほら、だ、抱きしめた方が盛り上がるかなぁと」

「抱きしめてきたとしても、向こうには見えないだろうが!」

「うん、ただ私の怒りを買うだけ」


部屋の中にいて、俺達の考えを聞いていて、何も喋らなかったフランだが

俺達が平常に戻ったのを確認して、アルルの前に出て来た。


「あ、ふ、フランさん」

「…今度こそ操って大変な事をさせてやる」

「こ、今回のは、あの! あぁ! ち、力が抜けますぅ…リオさん、助けてくださいぃ…」

「今回は反省しろ」

「そ、そんなぁ…」


フランはアルルを操って、自分に対して何度も土下座をさせた。

その後、自分は駄目駄目の変態女ですとあいつに言わせた。


「うぅ、口が勝手にぃ…」

「私はその気になれば意識を残したまま体を操ることも出来る」

「戦いでは使い道無いな、その使い方」

「こうやってお仕置きする事は出来る」

「へぇ」

「じゃあ、今度はリオの犬になるって言わせる」

「勿論私はリオさんの犬にでもなんでもなってやりますとも!」

「……おい、これはお前が言わせたのか?」

「勝手に喋った」

「…良し、こいつの体を操って、自分の鼻の穴に指を突っ込ませろ」

「分かった」

「え!? ちょ、そ、それは! それはぁぁ!!」


まぁ、そう叫んだところで催眠術にかかっているアルルが抵抗できること無く

アルルはフランに操られ、自分の鼻の穴の指を2本突っ込んだ。

その後、フランは満足してアルルを解放する。


「…も、もうお嫁に行けません」

「安心しろ、お前なんぞを嫁に取る男は居ねぇ」

「は! そうだ! 私がリオさんを嫁に貰えば問題ありませんね!」

「…もう一度鼻の穴に指を」

「ストップ! ごめんなさいでした!」


…はぁ、もうなんか…疲れるな、こいつの相手は。


その後、俺はエナさんにアルルから許可を貰ったと言う事を伝え

今日から夜の間、アルルと一緒に居酒屋の仕事をすることになった。

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