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正面から堂々と

あの後からも俺は訓練を続けた、激しい吐き気、激しい頭痛を何度も経験した。

だが、それでも必死に訓練し、その結果、それなりに消耗を減少できた

と言っても、10秒程度しか超集中状態にはなれていないが。


「ある程度は使えるようになりましたね」

「あぁ、10秒使っても、弾丸が30発は残るようになったからな」

「それでも殆ど消耗してるんですね」

「かなりな、だが、最初と比べりゃ上出来だろう」


最初は使うだけで殆ど何も出来なくなっていたのが

今は10秒は集中を保てる様になったんだから

これだけでもかなり前進と言える、5秒と10秒では2倍の差があるし

まだ魔力量も残っているんだから、だが、まだ燃費をよくしたいな。


「よし、じゃ、明日も訓練に励むか」

「勿論賛成したいのですが

 そろそろ私達は敵国への潜伏をしないと不味いと思います」

「…そう言えば、そんな約束してたな、情報収集」

「はい、ですので、明日辺りから準備をしなくては、許可証も来ましたし」

「許可が下りたんだな、じゃあ、明日から準備か…

 しかし、侵入出来そうな穴は見付かったのか?」

「そうらしいですよ、生き残った国民の方が安全なルートを知っていたそうです」


そう言ってアルルは地図を取り出し、俺の前に広げた。

きっとこの訓練の後に告げるつもりだったから用意していたんだろう。


「次の街は守りが非常に甘いらしいです

 特に12時から13時の間は見張りすらいないとか」

「なんでそんな事を知っているんだ?」

「隣町に友人が居て、何度も往復していたからだそうですよ

 それで、この時間の間だけは見張りがいないらしいです」


まさかの昼休み中は見張りすら用意しないというのか、警備全然なってないな。


「しかし、不安要素はあるぞ、それは俺達が制する前の警備状態だ

 あそこが俺達に取られてからはその場所が前線になっているだけだから

 警備を固くしているはず」

「そうですね、なら、明日は確認に向いましょう」

「だな、じゃ、それで変わらないと判断したら潜入しようか

 でも、変装しないな」

「あの国の服装は生き残った方々が作ってくれています

 どうやら復讐したい様ですね」


あんな悲劇になったんだから、当然復讐したいと思う国民は多いだろう。


「そうか、随分と協力的だが、俺達がやったと思ってる人は居ないのか?」

「居ないそうです、どうやら全員国王様が原因だと考えているらしいです

 やはり大半の国は圧政が多いのでしょう、むしろ圧政で無くては

 戦いばかりの中で国が生き残る事は出来ないと思いますね

 ミストラル王国だって

 リオさんがオーム国を制圧するまではそうでしたし」


確かにそうだな、でも、リ・アース国の国王どんだけ自分勝手なんだろうか

勢力を拡大しているはずなのに

それでも国民に怨まれるほどの圧政を続けているってさ。


「まぁ、そうだな…とりあえず明日はちょっと様子見だな」

「そう言う事です、あ、服は持って行ってくださいね

 潜入出来そうな場合そのまま行きますから」

「分かってるよ」

「では、私は速めに帰って報告書を作成しますね

 潜入を開始する準備を始めたって」

「分かった」


その日の訓練が終わった後、俺も部屋に戻り、潜入するための準備をしたが

予想以上に時間もあまり、とりあえず明日の方針を考える事にした。


「明日、どうするかな」


とりあえず、誰と一緒に潜入するかを考えないといけないな

アルルと俺はほぼ確定として

他にも何人か欲しいところだ…だが、フレイはちょっと潜入は苦手そうだし

ウィングも弱気だから、すぐにボロが出る可能性だってある。

だったら、マル、メア、フランの誰かだが……よし、フランにも参加して貰おう。

あいつの催眠術は情報を効き出すにも便利だし、もしバレた場合でも

催眠術を使って貰えば何とかなるだろうしな。

よし、そうと決まればさっさとフランに探して話をしてみよう。


「フラン、いるか?」


俺は取りあえず全員で寝泊まりしている部屋に移動してフランを探した。

しかし、フラン所か誰1人この場には居なかった。

考えてみれば、今全員で訓練してる時間帯なんだよな

俺は魔力消費が酷くてすぐ終わったけど。


「居ないな」


仕方ない、歩き回って探そう、フランが訓練しそうな場所は……分からないな。

あいつに訓練をしてやることが出来る奴は居ないし、マジで分からねぇ。

とりあえず、他のメンバーが訓練している場所に移動してみるか。

そうすれば訓練しているフレイ達に合わせて、フランがいるかも知れないし。


「あ、リオちゃん、もう訓練終わったの?」

「あぁ、俺の場合は魔力消費が激しいから、速めに切り上げたんだ」

「そうなんですか? …あ、そ、そう言えば

 アルルさんが、リオさんの新しい力がって」

「多分それだな、その力を使いこなすための訓練は消費が激しくて

 だから引き上げが速いんだ」

「むぅ、何だかリオちゃんばかり強くなってるよね

 それ以上強くなってどうするの?」

「俺はそこまで強くない、接近戦じゃ最弱、中距離戦でもトラには勝てない

 勝てるのは遠距離戦闘くらいで、この遠距離戦闘も1回1回の攻撃が遅いからな

 だから、その弱点を克服するために鍛えてる、そう言う事だ」

「よく分からないけど、とりあえず私、もっと強くなるから頼ってね?」

「そこは守ってね、とかじゃ無いのか?」

「守るのは私の役目だから!」


こいつ、自分が守ってると思ってるのか?

やっぱり気が付いてないんだな。

自分だって守られているって事を

こいつが突っ込んでる間に後ろはマナが守ってるのに。

だが、マナはその事をフレイには言わないだろう、当たり前だと思っているから。


「そうか、でも、フレイ…お前は誰かを守ってると同時に

 誰かに守られてる事に気付けよ?」

「んー?」


俺の言葉を聞いたマナが指を立てて言わないで欲しいというジェスチャーをした。

やっぱり知られたくないんだな、恥ずかしがり屋だな。


「ま、良いさ、所でフレイ、フラン知らないか?」

「あぁ、フランちゃんなら向こうに行ったよ」


フレイが指差したのは訓練場の近くにある森だった、なんで森に?

あ、もしかして動物相手に催眠術の訓練でもしてるのかもな。


「分かった、ありがとよ」

「うん!」


森に入ると、そこにはフランが何故か座り込んでいて、何かをジッと見ていた。

あっさり見付かったのは良いんだが、変な行動を取るのはどうしてだろうか。


「フラン、何してるんだ?」

「…リオ、これ」


フランが指差したのは蟻の行列だった…何で蟻? よく分からないな

もしかして、こいつって虫に興味あったりするのか?

基本的に女子は虫嫌いだと思っていたが、案外そうじゃ無いのかも知れない。

しかし、何か一匹の蟻が変な動きをしている、クルクル回ったり

後ろから来ている蟻に体当たりしたりと、よく分からない状況だ。


「…何だ? この蟻」

「私が操ってる、面白いよね、綺麗な隊列を崩すのって」


ざ、斬新な遊び方だな…俺では考えつかなかった

あ、いや、ガキの頃1回やった気がする

蟻の列を1回指先を地面に接触させて横切らせると蟻達が混乱するんだよな

あれ始めてやったとき何でこうなるのか面白かったから

何回もやってた記憶がある。


「まぁ、変わった遊びだな…だが、止めとけ、蟻が可哀想だろう?」

「リオがそう言うなら止めとく」


催眠術が解けた蟻はすぐにキョロキョロと周りを見て

バラバラな方向に動き回った。

どうやら意識が戻ったがここがどこだか分からなくなって

うろちょろしている感じだな。

そりゃぁな、気が付いたら見たことない場所だったら

人間でも間違いなく混乱する。

いや、むしろ混乱しない方がどうかしているか。


「で、リオ、なんで私を探してたの?」

「あぁ、実は手伝って欲しいことがあってな」


俺はフランに一緒に潜入する時に一緒に来て欲しいと言うことを告げた。

フランは一切悩むこと無く、2つ返事で了承してくれて、説得の必要など無かった。

まさかここまであっさりと引き受けてくれるとは思わなかったな。

その後日、アルルが報告書を書き終わり、すぐに出発と言う事になった。


「こっちであってるよな?」

「はい、地図では」


俺達はアルルの持つ地図を頼りに

ゆっくりと進んでいき、新しい街の場所に着いた。

今の時間は11時53分だ、遅れたら不味いから早めに出た。

俺達は街の門からそこそこ離れた平原の岩陰に隠れ、門番を監視することにした。


「今は11時53分だよな、あと7分」

「大人しく引き上げますかね?」

「さぁな、だが、そのまま見張りをする場合もあるだろうし

 過度な期待はしないでおこう」


俺は狙撃銃を構え、そのスコープで門番2人の様子を観察している。

声も入ってくるはずだが、会話をしていないのか、沈黙したままだ。


「……なぁ」


お、1人が話し出したぞ、そりゃあ、見張りなんて仕事は退屈だし

2人居るなら当然片方に話しかけるだろうよ、人なんて殆ど来ないだろうし。


「何だ?」

「あと少しだし、サボろうぜ」

「もうすでにサボっているような物だろう、立っているだけなんだから」

「誰も来ないっての」

「隣の町が制圧されたんだ、敵が来る可能性がある」

「あぁ、そう言えば爆発してたな…随分と無茶な制圧の仕方をするもんだ」

「あれは敵国の攻撃だと? それはないだろう

 制圧し、自らの拠点にしようとしている国が

 その街を吹き飛ばすわけが無いだろう? 金と時間の無駄だ

 国民が邪魔だったというなら、爆撃しないで国民だけを殺す方が効果的だろう」

「何が言いたいんだ?」

「あの爆発は恐らく国王様の指示で誰かが起した爆発だろう、敵兵に痛手を与え

 資産になりそうな建物を全て破壊する、あの無茶苦茶な王がやりそうなことだ」


やっぱりあの兵士も同じ事を考えているらしい

だが、結構頭が良さそうな兵士なのに

何で一兵卒なんだろうか、あそこまでの推測が出来るなら

指揮官としてもやれそうだが。


「お前はそんな反発思考だから出世できないんだよ」

「ふん、誰だって反発思考になるさ、あんな無茶苦茶な国王じゃぁな

 国民だって、敵国が仕掛けた爆発だと言う噂を誰1人信じては居ないだろう?」

「そうだな、はぁ、せめてもう少しまともな王なら、信じて貰えただろうに」


当たり前と言えば当たり前だが、向こうは国民達全員にあの爆発が

俺達の仕業だと言っているらしい、だが、圧政の国家だから誰も信じない。

無茶苦茶ばかりしていたせいで、そのしっぺ返しが来たという感じか。


「さて、そろそろ休憩の時間だな、休むぞ」

「いつも通り、この時間帯はがら空きか、大丈夫なのか?」

「良いんじゃねーの? どうせ誰も来やしないっての」

「…はぁ、もう少し守りを固くすれば良い物を」


その後、2人の番兵は門の内側に入っていき、その間の守りががら空きになった。


「本当だったみたいですね、それじゃ、向いましょうか」

「だな」


俺達はこの国でよく着られているという服に着替え、街に潜入した。

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