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指揮官を押さえろ

しばらく潜伏していると、それっぽい動きをしている影を発見した。

その影は恐らくこの基地内部の中心辺りに立っていると思われる。

確かこの塔は外から見た感じ5階建てだったし、あそこは3階か4階だろうな。

とりあえずあのポイントを見失わないようにしながら3階まで行ってみよう。


「それじゃあ、行くぞ、目指す場所は分かってるよな」

「はい、先ほど変な動きをした3階か4階にあるポイントですよね」

「そうだ、アルルは周辺警戒を頼むぞ」

「お任せください」


俺達は全員で足並みを揃えてそのポイントまで移動する事にした。

しかし流石に敵の基地を目的地まで問題無く移動できるわけも無く

早速問題にぶち当たる、階段を守るように2人の兵士が周囲を警戒していた。

どうにも動く気配が無いから、階段を守っている兵士みたいだな。

こうなると、無力化して通るしかないわけだが、まぁ、行けるだろう。


「仕方ない、あの兵士2人は俺が無力化する、お前らは周辺警戒を頼む」

「はい、でも、1人で大丈夫ですか? リオさんの攻撃は意外と時間が掛かるんじゃ?」

「今回は遠距離狙撃じゃ無いから大丈夫だ、すぐ終わる」


俺はウィンチェスターを変え、M16を召喚してみることにした。

一応ライフル銃として機能するからこれも召喚出来た。

しかし、召喚されたM16はセミオートと言うよりフルオートみたいだ

召喚するまでの時間からの推測でな、だから、あまり使えないな。

なら、仕方ない今回はM21を召喚する事にするか。

M16と似た構造みたいで、結構すんなりと姿を変えてくれる。

俺はそのM21のスコープをアイアンサイトにしてサイレンサーをカスタムした。

狙撃モードは非殺傷だ、ここであの2人を殺しても俺達に大したメリットは無いからな。


「それじゃあ、行くぞ…ふぅ、ん」


まずは一撃で奥の方を狙撃、狙撃は成功、弾丸を受けた兵士は足を崩す。

そしてすぐに手前の兵士に照準を合わせ、隣の兵士が倒れそうと言う事に気付く前に

照準を合わせ、もう一度トリガーを引く、ちょっと銃声に反応してたが狙撃は成功だし、問題は無い

しかし、短い間に2体か、やっぱりセミオートは連射が効くから良いな。

ただ、何か跳ね上がりも大きいし、意外とブレるから長距離狙撃には向かない。

そうだな、精々中、近距離用って感じか、やっぱり長距離はボルトアクションだろうな。


「ほ、ほぼ同時に敵2人が倒れましたね」

「非殺傷だからすぐに倒れる事は無いからな、片方が倒れる前にもう片方を撃つのは楽だ」

「凄いですね、流石リオさん」

「潜入なら任せろ、割と慣れてる」


まぁ、フランにはバレたけどな、あの勘の鋭さは正直異常だと思う。

ま、今は味方だから戦場ではかなり頼りになるが…普段は追いかけ回してきたりで散々だが。

それはアルルも同じ、もしかしてあれなのか? 優秀な奴って、普段は暴走気味なのかも?

フレイもそうだし、アルルもフランも…いや、他は暴走しないし違うか。

まぁ良い、とりあえず俺にちょっかいを出してくる奴は大体面倒だと言う事だな、うん。


「それじゃあ、ま、見張りも突破したし、上に行くか」

「そうだね」


周囲に怪しい影が無いかを確認した後、俺達は忍び足で階段を上がった。

上がるにつれて、目的のポイントは平坦になって来て、完全に同じ位置になったのは4階だった。

これで目的地の位置が分かった、しかしだ、問題は当然発生した。

階段の扉の向こう側に2つの影が見えた。

どうやら1階同様、4階も階段の出入り口は警戒しているらしい。

となると、仮にもうひとつ階段があったとしても同じ様に階段を警戒されてるだろう

だから、4階に入るにはその2人を何とかしないと行けないと。


「どうします?」

「ちょっと待て」


さて、この状況、どうやって打破しようか。

壁で相手を見ることが出来ないからフランの催眠術での操作は不可能

僅かに扉を開けて敵を見て催眠術を掛けるという手もあるが

扉は鉄製、僅かに開ければ扉が開く音がする、それは1階の扉を開けたときに分かった。

だから、僅かに隙間を開けて催眠術を掛ける手は不可能だろう

ちょっと開けた地点で扉が開く音でバレて捕まるだろうからな。

じゃあ、どうするか…まぁ、こうなってくるとやることは1つしか無いな。


「仕方ない、俺達の最大の特権を利用するとしよう、俺達は壁の向こう側から敵の位置が分かる

 だから、あの2人以外の敵が見えないタイミングでこちらから小さな物音を立てる

 で、扉が開いたタイミングで俺が奥の敵を狙撃するから、接近戦闘が得意なマナが

 確認しに来た敵兵を制圧してくれ、声は出させるなよ?」

「分かりました、でも、その…出来るんですか? 後ろの兵士を撃ち抜くことが」

「5階に続く階段から狙撃する、高さがあるから狙うことは出来るさ」


この階段は手すりで出来ており、5階に向うまでの中間場所から扉が見える。

そこから狙撃するつもりだ、あそこなら奥の兵士の頭部が見えるだろうから

そこを狙撃する、そうすれば奥の奴に騒がれることも無いだろう。


「じゃあ、俺はスタンバイしておくから、お前らのタイミングで始めてくれ」

「あ、はい」


5階へ向う中間の場所に移動し、ウィンチェスターを構えた。

やっぱり一撃だけの狙撃ならこれだよな、ぶれも全くないし、何か手に馴染む感じで最高だ。

当然今回も非殺傷モードでアイアンサイトとサイレンサーをカスタマイズしてる。


「それでは、カウント行きます」


アルルが自分の手を上げ、指先を一つ一つ減らしていった。

そして、最後の小指が減ったとき、金属と金属がぶつかるような音が響く。


「な、何だ?」

「階段? 誰かいるのか?」

「お、お前行ってこいよ」

「は、何ビビってんだよ、どうせ仲間さ、こんな所まで敵が来るわけが無いじゃないか」


そんな会話が聞えてすぐに鉄の扉がゆっくりと開き奥の敵兵の頭頂部が見えた。

俺はそのタイミングを逃さずに引き金を引き、扉の奥の敵を撃ち抜く。


「な!」


敵兵はすぐに俺の存在に気が付き、大声を上げようとしたが

扉の後ろに隠れていたマナが一気に姿を出し、敵兵の口を押さえ更に壁に押しつけ

すぐに強烈な膝打ちが彼の腹部に入り、その一撃で敵兵は意識を失った。


「ふぅ、何とかなりました」

「マナは接近戦闘凄いんだね」

「えっと、初めて自己紹介した時に言ったような…」

「覚えてない」

「お前、部下の特技くらい覚えてろよ、てか、戦ってる姿を見てれば分かるだろ?」

「だってさー、マナが戦ってる所見ないもん」


そうだな、マナは普段フレイの後ろで打ち漏らした敵兵を制圧してるからな

前しか見てないフレイがマナの戦いっぷりを見ることは殆ど無いか。


「はぁ、少しは感謝してろよ? お前の後ろでいつもお前を守ってるんだから」

「そうなの?」

「えっと、す、少しだけ…です、はい」

「もう少し自信を持てよ」

「うぅ、ぜ、善処します」


ふーむ、もう少し自信家になった方が動きやすいとは思うが

まぁ、自信満々過ぎるフレイとは良い感じに釣り合いが取れてるし良いのか?


「まぁ、今すぐに変える必要は無いだろうが、一応片隅くらいに入れておいてくれ」

「はい」

「さて、それじゃ、さっさとあのポイントの確認に向うぞ」

「分かりました」


さて、ここからの潜入も結構大変そうだな、推測敵の指揮官がいる場所だからか

敵の数も他の階と比べると、大分多いからな、下手に動くとバレそうだ。

でも、ここは結構広いし、割と隠れることは可能だろう。

とりあえずもしもの時の事を考えて、ウィンチェスターをM21に変えておこう。

勿論カスタムは同じだ、いちいち変える必要は無いからな。


「ストップ、こっち隠れろ」


しかしここまで数が多いと隠れることは出来てもさっさと進むことは出来ないな。

もう少し楽に進みたいのだが…もういっその事サーチ&デストロイで敵兵全部に

非殺傷の弾丸でもぶつけるか? でも、少し魔力喰うし、出来る限り使いたくないんだよな。

まぁ、今の俺なら割と連射も出来るから良いんだけど。


「中々に面倒ですね」、数も多いし移動に時間が掛かります」

「だな、もう面倒だし敵兵に出会う度に制圧するか?」

「その方が良いと思います、速攻で敵指揮官を押さえないと眠らせた兵士とかが

 目を覚ましたら面倒ですからね」

「そうだな、じゃ、一気に行くぞ、付いてこい」


もう面倒くさい潜入は無しとして、出会う敵全てに非殺傷の一撃を加えた。

中には俺達に気が付いて叫ぼうとした兵士もいたが、すぐに制圧して難を逃れることも多かった。

こうゴリ押しで向おうと考えると、どうしても凡ミスが発生するな。

でも、アルルの言うとおり、あまり時間を掛けてたら眠らせた奴らが起きたり

眠らせた奴らに気が付いた兵士が起こしに来たりするかも知れないからな。

そんな事になる前に制圧しておいた方が良いだろう。


「て! う…」

「やっぱ多いと面倒だな」

「そうですね、でも凄い反応速度です」

「そりゃあ、敵の位置が分かってるんだ、楽だろうよ」


本来ならバレそうになる事も無いんだろうが、大人数でぞろぞろと移動してるし仕方ない。

何せ敵に強力な防衛能力があったら1人じゃ突破できないし

それに最悪の事態への対策でもある、楽をするよりも安全第一だ。

死んじまったら元も子もないからな。


「よしよし、ここだな」


そのまま敵兵を何人も制圧しながら敵指揮官がいると思われる部屋の前にやって来た。

この部屋にいる敵の数はざっと5人だ、流石に5人を同時に制圧するのは困難だろうが

その内3人は同じ場所に集まってる、他2人を何とか制することが出来れば制圧が出来るだろう。


「さて…メル、フレイ、お前ら2人は左にいる奴らを制圧してくれ、俺は右3人を制圧する」

「うん、でも、3人も倒せるの?」

「行けるさ、あ、そうだ、突撃はフレイが先行、フレイが部屋に入ったらメルが入って

 魔道兵の腕で殴り倒せ、リーチも伸びるし届くだろう

 で、最後に俺が入って3人を制圧する、分かったか?」

「任せて! じゃあ、や!」

「ちょっと待て、タイミングを合わせる、俺がカウントするからゼロの時に入れ」

「面倒くさいなぁ、一気にやっちゃえば良いんでしょ?」

「そうだが、タイミングがズレたら連携も出来ないからな、分かってくれ」

「はーい」

「じゃあ、行くぞ、3、2、1…0!」


俺のカウントダウンと同時にフレイが扉を蹴破って部屋の中に入った……

えっと、よ、予想外だ、ふ、普通さ力強く開けるとかだろう?

なのに何で鉄の扉を蹴って破壊して吹き飛ばしてるんだ?

それにその蹴破った扉が本来こいつが接近して制圧するはずの兵士に当たって気絶させた。


「ありゃ?」

「な…」


そんな訳が分からない状況に室内の敵兵達は全員唖然としている。

俺達もちょっと唖然としてるが、そんな場合じゃ無い、い、一気に制圧だ!


「め、メル!」

「あ、う、うん!」


何とか俺の声がけでメルが走り出し、もう1人の敵を制圧。

俺はすぐに狙撃銃を構え、右側の3人をすぐに狙撃して制圧した。


「あ、焦った…な、何とかなった」

「そ、そうですね…あはは」


とりあえず俺達は制圧した兵士達の中に指揮官がいるかを確認してみた。

すると、最初にフレイが制圧した兵士が指揮官だと言う事が分かった。

まぁ、怪我はしてるが生きてる…あれだけの物が激突したのに大した生命力だ。

それにしても、フレイがぶっ飛ばした扉で壊れてた機械みたいな物が気になるな

何処かで見た感じの構造だが、どうもぶっ壊れて判別できない

はぁ、フレイにもう少し手加減を覚えさせるべきだったなったく。

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