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聞き込みの結果

さて、あれから聞き込みの成果があったらしく、それなりに沢山のメモが来た。

しかしまぁ、その中でフレイ達が書いているメモはまるで参考にならない。


「……えーっと」


フレイが持ってきたメモは正直聞き込みのそれでは無く、ただの日記だ。

緑の髪の毛の女の子とお話ししたよお話ししてたら楽しくなって一緒に遊んだよ

今度リオちゃんも一緒に遊ぼうよ

と言う、完全に聞き込みをするつもりが無い感じだった。

字は当然汚く、全部下手な字だった、まぁ、そこは仕方がないことだが。


「フレイ、あのな、聞き込みの意味、知ってる?」

「うん! 色々とお話しすることだよね! それ位分かってるからね!」


フレイは腰に手を当て、胸を張り、ドヤ顔で答えた。

しかしだ、全然理解していない、あぁ、詳しく説明していなかったせいだな。


「あぁ、えっと……何だ」


ヤバい、どうしよう、聞き込みってどうすれば成立スルのかって言うのを

こう、口頭で伝えるのって結構難しいかも知れない。

そもそもだ、聞き込みとかって言う単語の意味とかを探る事とかした事無いし

大概、テレビとかで見た物を把握してるわけだから、聞き込みと言う事が

テレビでやっている様なこと、と言う知識くらいしか俺は持ち合わせていない。


「え、えっと……そ、そうだ、じゃぁ、俺がお前に対して実演するから、それで覚えろ」

「ん? 良いよ」

「そうか、じゃあ、行くぞ…こほん、こんにちは私、小さな戦士達の隊長を勤めているリオと言います」

「知ってるよ、何言ってるの? いくら私が馬鹿だからって、リオちゃんの事を忘れるわけ無いじゃん」

「違う! 聞き込みの実演なんだよ! 最初は挨拶、自己紹介! 何故話しかけたかを言うんだ!」

「へぇ、そうなんだ!」

「そ、それじゃあ、続き行くぞ、実は今回話しかけたのは今度この地方で祭りをするので

 どのような祭りが良いかというのを全体に聞き、統計を出す為にお話しを聞いて回っているんです」

「うん! よく分かんないや!」


くそう! 全然! 全然分かってもらえねぇ! くそぅ、こんなんじゃ聞き込みなんざ出来ん!


「リオ、子供はそんな難しく話しかけても分からない、もっと簡単に言う方が良い」


確かにフランが言ってる事も一理ある気がする、フランが担当する相手は子供

子供相手に俺が実演したみたいに堅苦しく言っても、分から無いかも知れない。


「た、確かにそうかも知れないな」

「だから、こうすれば良い、祭りをするから何が良いか吐けって言えば完璧」

「怖いっての! 何で睨んでんだよ! 何か最後の単語もこえーよ!

 子供相手にそんな強気で言ったら泣くだろうが!」

「泣き顔もまた良い、でも、やっぱり笑顔の笑顔の方が好き、だからこれは駄目」


じ、自分で言ってすぐに自分の意見を否定したのか、ある意味凄いな。

妙なところは大人っぽい、子供なら自分の意見を押し通そうとすると思うが。


「でもまぁ、そうだな、じゃあ、お祭りするんだけど、どんなお祭りが良い?

 とか、そんな感じで良いんじゃ無いかな」

「分かった! やってくる!」


ど、どうやら今度は理解してくれたらしい……はぁ、これで少しはマシになると良いが。


「はぁ、なぁ、シルバー、そっちはどうだ?」

「はい、メルトさんが集めてきた情報では、どうも大食い大会が人気のようですね」

「そうなのか? どれ位だ?」

「30件中7件です、残りはダンス3件、クイズ4件、料理対決6件、何か面白そうな奴でが10件です」

「最後なんだよ! と言うか、最後が1番多いじゃねーか!」

「何でも良いって事でしょうね」


な、何でも良いが1番多いのか、まぁ、分かる気がするな。

俺だってそんな風に聞かれても何でも良いとか答えそうだし、そもそも行かないだろうから

祭り自体どうでも良いんだよな、だから適当に答える、人混み嫌いだし。


「まぁ、あれだな、1番盛り上がりそうなのはクイズだが、1番人集めしやすそうなのは料理対決か

 大量に料理を作って貰って、祭りに来た人に抽選で配るってすればドキドキ感も味わえるだろう

 いや、待てよ……その抽選方法がクイズ大会なら、それなりに面白そうだな」


料理を食えるか持って言うワクワクと、クイズという全体参加の実力勝負

この2つならそれなりに賑やかになりそうだ。


「なる程、それなら料理大会の6人とクイズの4人を合わせ、10人分の意見を取り込めますわね

 この情報が全てだと考えると、3分の1の人は満足してくれますわ」

「あぁ、中々に面白そうだろう?」

「えぇ、確かにそうですわね」


まぁ、大食い大会と料理大会を同時にやっても良いんだろうが、それだと2連続で蚊帳の外だからな

国民の人達には一応競技に参加して貰いたいし、やっぱりクイズ大会との方が良いかな。


「まぁ、これだけで判断するのは早計かな、とりあえず、アルル達が帰ってくるまでは様子見だな」

「そうですね、それが良いと思いますわ」


それから、しばらくの時間が経ち、公務をこなしていたメア姫とリサ姫も合流してくれた。

その後、少し経った後にアルル達も戻ってきてくれて、結構色々と集まった。

かなり多いから手分けしてどんな感じか把握して意見交換をすることした、その方が速いし。

で、俺の担当はアルルだ、一応俺の部下だからな。


「リオさん、私、かなりの手応えだったんですよ!」

「まぁ、お前は俺以外に対しては普通だからな」

「やだなぁ、リオさんに対しても普通ですよ」

「あれが普通だったら、お前はもう牢獄の中だよ」

「そ、そうですかね? 私流の好きな人に対する普通なんですけど」

「そんな普通捨ててしまえ!」

「普通は当たり前だから普通なんですよ、当たり前の行動をそうそう捨てれませんよ」

「ならせめて捨てる努力をしろよ!」

「無理です!」


こいつ、本当にイラつく、その内マジで風穴開けてやろうかな。

……はぁ、まぁ良い、こいつと話をしていても先に進めん。

とりあえず、こいつが集めてきた情報を……ん?


「お、おいアルル、何だよ、この服の絵」

「勿論! お祭りでリオさん達が着たら可愛いと思う服を聞いてきたのですよ! 

 皆さん喜んで答えてくれましたよ? リオさんはいつも服が同じですからね」

「お前! そんなくだらない事を聞いてんじゃねーよ!」

「くだらない事ではありませんよ? リオさんは同じ服なのにフレイさん達は服が違う

 もしかして、いじめられてるのかも? とか思ってた人もいましたし

 お金を貰ってないのかも? とか、思ってたひともいました

 そう言う人は、少しですが国に不信感を持ってましたし、フレイさん達にも反感がありました」

「な、何でだよ! あいつらは関係ないだろ!? 俺は面倒だからこの服だけで!」

「甘いですね、リオさん、リオさんが好んでその服を着ていると言うことを

 知らなければ、貧乏なのかいじめられているのかとか思いますよ、ずっと同じ服なんですから」


どうしてたかが服程度でそんな事になってるんだよ、訳が分からない。


「リオさんは国民の皆様にとっては英雄なのです、あの人達が好きなのは国よりもリオさんでしょう

 そんなリオさんが酷い目に遭ってると勘違いしてしまえば、国民達が不信感を持つのは当然です

 私はそれを防ぐためにそんな事は無いと言って理解はして貰えましたが

 やっぱりその後も同じ服のままだと不審がられます、そこで私は考えました!

 リオさんはファッションとかよく分からないから服を着替えていないのだと!」

「普通に着替えるのが面倒くさいからとかにしとけよ!」

「やだなぁ、それだとリオさんが重度の面倒くさがり屋だと国民の皆様にバレてしまいます

 そうなるともしかしたら士気が落ち込むかも知れない、だからですね!

 子供だからファッションがよく分からない! からと言う事にし!

 皆様からリオさんにどんな服が似合いそうですか? と聞いて回ってきたのです!

 仰ってくれたらお祭りの時、服が変わっていると思いますと!」


こいつ! 何て、何て余計なことを国民に流布してんだよ!

それじゃあ、これからも街に出るときは着替えないと行けなくなるだろう!?


「お、お前! そんな事を言ったら、祭りの後も俺は色んな服を着ないと駄目になるだろうが!」

「そうなりますね、国民の皆様にお話を聞き、色んなファッションを教えて貰ったのです

 それなのにリオさんの服がお祭り以降変わらないとなると、ファッションが駄目だからでは無く

 やはりお金かいじめを受けているのだと思われます、それに祭りに着た服はそれを隠そうと

 国がやったと勘違いされるかも知れません、そうなると間違いなく反感が出ますね、最悪反乱とか」

「お前! も、もしかして、もしかしてそうなる事が分かってて!」

「まさかぁ、皆様の反感を抑えるための嘘が偶然こんな事になっただけですよ~」


絶対に嘘だ! 何だよ! 棒読みじゃ無いか! 絶対に分かっててやりやがったぁ!


「こ、このアマァ、ほ、本当に、いい加減に!」

「お、怒らないでくださいよ! ほら、結局問題になる事だったんですから!

 それを私が大きくなる前に消しに掛かったって事ですよ!?

 実際あんな声があったんですから、火は小さいうちに消せって言うじゃ無いですか!」

「あぁ!? そんな声があったって言うのもどうせでっち上げだろうが!」

「いや! 本当ですよ! 本当! リオさんは少しくらい自分の存在感とか自覚してくださいよ!」


ほ、本当に本当なのだろうか……まぁ、こいつはあまり嘘は言わないし、本当の可能性もある

あそこまで緻密な言い訳が即席で出るとも思えないし、第1普通は国民が反感を持つなど言わないはず。

そんな重要な情報を嘘として報告するほど、こいつは馬鹿じゃ無い……と、思う。

だったら、本当なのかも知れない。


「ほ、本当に、本当なのか?」

「本当に本当ですよ、国民の方に聞いてみれば分かると思います

 それで私の言葉が嘘なら、私に風穴を開けてくれたって構いません」

「そ、そこまで言うのか」

「自信がある事に対しては一切の迷いはありません」


……うーん、そこまでいうなら信じてみるか、嘘をついているようには見えないしな。


「そこまでいうなら…信じよう、だがお前、俺の信頼を裏切ったりしたら、マジで」

「分かってますよ、私がリオさんの信頼を裏切ったことありますか?」


一応無いんだよな、変態行動はもうなれてるし、あれが無くなるとは思ってないし

それに何というか、あいつの変態行動は越えちゃ行けない一線を越えてないからな。

まぁ、それでもあの行動が普通は殺されても良いほどの罪だが。


「まぁ、そうだな……うん」

「でしょう? ですから信じてください、これは本当ですよ」

「……く、くぅ」

「と、言う訳で、こちらの服を着て下さい! 買ってきました!」


アルルのアホが青いオーバーオールの服を取り出してきた。


「……オーバーオール?」

「そう言う名称でしたね、確か、後この後ろにはこちらの白色の服です!」

「…お、お前にしては、まだマシなチョイスだな」

「いきなりフリフリのミニスカートを渡しても着ないでしょう?

 それ位分かりきってるので、まずは大した冒険をしていない服を着て貰い

 可愛い服を着ることに対しての抵抗をゆっくりと無くそうかなと」

「永遠に冒険なんぞしたくない、家から1歩たりとも出たくない、引きこもりだし」

「駄目ですよ、お外はきっと綺麗です、お部屋から出なかったら見ることが出来ませんって」

「でなくて良いんだよ! 俺にとって自分の部屋はお宝の山なんだから!」

「ひ、引きませんね! 何ですか、シルバーさんだってシルバーなのに髪の毛緑色なんですねって

 言ったら、髪の毛銀髪にしてくれたのに!」

「お前か!? お前が理由だったのか!?」

「そうですよ、何か気になったので言ったら、銀色になってました、私的には銀色の方が似合ってると

 思いますよ、お嬢様力がより一層増したって感じがします」


まぁ、確かに俺も緑髪よりも銀髪の方が似合ってるとは思っていたけど。


「まぁ、そうだな」

「と! 言う訳で! リオさんも私を信じて着てください!  天使力が上がりますから!」

「そんなの上がらんで良い!」

「ぐぬぬ! 絶対に似合います!」

「似合おうが似合わなろうが! 俺はそれを着るのが嫌なんだよ!」


誰があんな服着るか! どこぞの配管工じゃあるまいし!


「あ! に、逃げないでください!」

「誰だって逃げるっての! って、うお!」


俺が急いで部屋から逃げようとすると、嫌なタイミングにリサ姫にぶつかってしまった。


「どうしたの? そんなに焦って」

「リサ姫様! リオさんを捕まえてください! オーバーオールを着て貰うのです!」

「あ、その手に持ってる服? 割と似合いそうね、よし、乗ったわ!」

「ちょ! は、離して! あんな服着たくない!」

「イメチェンよ、イメチェン、リオはずっと同じ服だからたまには良いでしょ?」

「さぁ! リオさん! 諦めてくださいね!」

「ち、畜生!」


結局、メア姫とアルルに捕まってしまい、強制的に服を着替えさせられてしまった。


「うん、似合うわね」

「いやぁ、活発な女の子って感じで素晴らしいです!」

「何でこんな事に!」

「でもほら、国民達が皆リオの事を気にしてるらしいし、仕方ないと思うわよ」

「う、うぐぐ……」

「そうですそうです! 仕方ないんですよ!」


アルルの凄い幸せそうな笑顔がとことんまでウザいと感じた。

あぁ、何でこんな目に遭わなくちゃならないんだよ、何だよ、この服。

まぁさ、まだ動きやすい服だから良いが、いや、良くないな。


「さぁ! これで外を!」

「アホか! やることあるし! 誰がそんな恥ずかしいことを!」

「いえ、リオさん、これは国民の皆様にリオさんが不憫扱いを受けてるわけでは無いと伝えるために」

「お前のせいで! 俺はずっと不憫な目にあってるだろうが!」

「いいえ、これは愛なのです!」

「お前の一方的な愛なんて迷惑以外の何物でも無いだろうがぁ!」

「ぐは! よ、容赦ない…でも、なれてます! この程度で挫けない!」

「大人しく挫けてろ!」

「まぁまぁ、アルルの言ってる事は間違いじゃ無いでしょう?」


クソ、実際あいつがさっき言った言葉は嘘じゃ無い、あくまであいつの報告が本当ならだが。

は、はぁ、何だよ、じゃあ、何か? しばらくはこの格好で過ごすのか? 凄く嫌なんだけど。


「あぁ、最悪だ」

「へっへっへ、大人しくしてくださいね、これは仕方ないことです!」

「ち、畜生め……何で俺はこんな目に遭うんだよ」

「そう言う星の下に生まれたのよ、諦めなさい」

「元凶はもうすでに決まってますが?」

「で、でもほら、悪い事ばかりじゃ無いでしょ? ね? ほら、ね?」

「はぁ……」


結局、しばらくの間はこんな服装で動くことになった、本当に災難だ。

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