表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
56/294

会議の決着

色々あったが、何とか会議が始まった。

単純に最初は情報公開という感じだった。


「分かっているだろうが、攻め込まれているのはトロピカル地方だ

 我々が居るこの国よりも奥に、他国など無いからな

 いや、あるやも知れぬが、少なくともそう易々と攻められる場所ではない」


ミストラル王国の後方から攻めることは非常に困難だろう。

攻められる地形ではないからな、そのお陰でこの国は生き残っていたんだろうし。

そもそもだ、元々オーム国だったトロピカル地方だし、オーム国と敵対していた国が

攻めてくるとすれば、そう考えてもその地方だろうな。


「まぁ、単純に考えれば、迎撃は基本攻撃部隊が行なうべきでしょうな

 あの地方に詳しいし、そもそも攻撃が主な目的だ」

「それは構わないが、支援くらいはあるんだろう? 流石に攻撃部隊だけというのは厳しい

 最悪抜けられることも考えられる、だから、防衛部隊の支援も欲しい」

「それは構わない、国を守るのが俺達の役目だ」


やはり攻撃に当たるのは基本攻撃部隊か、当然だけどな。


「支援もお任せください、私達が物資供給を行ないます」

「頼りにしてるよ」

「まぁ、やることは各々の仕事をこなすだけだな、ただ1つこの戦いに勝つために重要な要素がある

 分かっちゃいるだろうが、情報だ」


戦争において、情報を持っているかどうかで状況は変わる。

オーム国との戦いでは何度も交戦していたため情報はいらなかったかも知れない。

だが、今回の相手は始めて交戦する相手、オーム国も1度しかやり合ってなかった相手だ。

つまり、ハルから話を聞いたとしても大した情報は出て来ない。


「確かにそうだな、情報の有無は戦況に大きく影響を与える」

「つまり、情報収集が出来る奴らがいる、まぁ、ここまで言えば分かるよな、クソガキ」

「分かってますよ、俺達でしょう?」

「そうそう、ガキだし警戒もされにくいんじゃねーの?」

「つまり、潜入捜査をしろと?」

「そういうこった」


まぁ、情報を集めるなら、潜入捜査というのが1番効果的だろう。

だが、そんなの俺達にかなりの危険が伴う。

完全に相手のテリトリー内での諜報活動だからな

もし正体が割れれば確実に殺される。


「情報収集はやるけど、それならせめて退路を確保して欲しい

 それに潜入捜査は危険すぎる、バックアップも無い状況じゃ死ぬしか無いだろうに」

「臆病だな、戦場では死ぬか生きるかだろうによ」

「無意味な死を肯定する気は無い」


潜入捜査で死亡すれば情報を持ち帰ることが出来ないからな。

まぁ、俺の力なら潜入する必要も無く情報収集は出来るけど、限られてくるだろう。


「つまり、支援があれば良いのですか?」

「そうですね、ただ支援を置くには相手国の何処かに穴を空けないとキツいでしょう

 潜入捜査も同じだけど、穴が無いと入れないし」


いくら子供とは言え、穴が無いと侵入なんて出来やしない。

穴が無いのに入ろうとすれば、すぐに正体がバレて、掴まるからな。

だから、相手の何処かに穴を空けないと潜入捜査なんて不可能だ。


「ただ潜入無しでの情報収集ならいつでも出来ますよ」

「そんな方法があるのか?」

「はい、高い位置があれば何処でも」


俺の狙撃魔法にはスコープで覗いた場所の音を拾う能力がある。

これを上手く使えば、どれだけ距離があろうとも情報を集めることが出来る。

ただこの力を使っての情報収集の弱点は高い位置じゃないと使えないことと

潜入しての情報収集よりも重要な情報を聞き取りにくいというものだ。

なんせ、会話を盗み聞くだけしか集める方法が無いからな。


「ふむ…無理をしない手だというなら許可はしよう」

「む、無理をしないって、そんな心配は」

「リオさん、すぐに無理しますからね」


うぐ…た、確かに前の戦いではかなり無理をしたからな。

あの時もアルルの機転が無ければ勝てなかったし

無理しすぎてぶっ倒れたり…

ま、まぁ、結果的には勝てたけど…でも、あくまで結果的にはだが


「た、確かに普段から無理はしてますが、今回の手は無理な手じゃありませんよ」

「そうか、では許可するが、アルルよ」

「はい、何でしょうか」

「もし彼女が無理をすれば、その時は」

「分かってますよ、気絶させてでも連れ帰ります」


あぁ、信頼されてない、いや、うん、今まで結構やらかしてたし

何度か意識を失ってたし、でも、今は魔力量も多くなってきてる

そう簡単には気絶なんぞしないし、今までの無理も無理じゃ無くなってる…筈だ。


「では、情報収集は君の任せよう」

「あ、はい、ありがとうございます」

「情報収集は小さな戦士達が、攻め入ってきている兵士の攻撃、防衛は

 基本攻撃部隊と防衛部隊が当たる、支援部隊はその3隊の支援を行なう

 近衛部隊は…まぁ、何もすることが無いのだろう」

「国王様、その言い方は少し…」

「う、うむ、済まない、我々を守ってくれるのだな、しかしだな

 こんな緊急事態では、正直精鋭たる近衛部隊にも戦って欲しいのだが」


とは言え、国王様達の防衛が疎かになると、闇討ちの可能性が出てくるだろう。

ここまで敵が潜伏していないという保証も無いしな。

だから近衛部隊の何人かは国王様達の元に居て欲しい。

しかしだ、国王様が戦って欲しいというのにそれを無下にするわけにはいかないだろう。

それに、国王様が言うとおり精鋭たる近衛部隊が攻撃か防衛に参加してくれれば

戦況はこちらの有利になる可能性が十分ある。


「…確かに私達近衛部隊が動けば状況は有利になるでしょう

 ですが、国王様の御身をお守りするのが我々の仕事です」

「…では、近衛部隊の数隊を防衛、あるいは攻撃に向わせるのはどうだ?

 国王様達の防衛は君が指揮する近衛部隊が行なえば良い

 それにだ、トロピカル地方にはリサ姫もおられる、小さな戦士達が防衛しているが

 戦場となれば彼女達も動かざるおえない、我が軍の最高戦力の一翼を担っているのだからな」

「確かにその通りですな、ハウル殿、では、近衛部隊も数隊リサ姫の御身を守る為に送りましょう」


ハウル教官のお陰で近衛部隊の何隊かが動いてくれるようだ。

これで戦況は少し有利になるだろう。


「つまり近衛部隊も参戦と、これで戦力分布は出来たな、では次に細かい布陣や作戦だな」

「それは小さな戦士達が情報を集めてからで無いと出来ませんな、彼女が情報を集めしだい

 攻撃、防衛、小さな戦士達、支援部隊の総指揮を行なう4人で考えて貰おう」

「はい、お任せください」


とりあえずは攻撃部隊、防衛部隊で迎撃を行なうと言う事だな。

その間に俺が情報を集め、その情報を元に3人で作戦や布陣を考えると、まぁ、こんな所か。


「うむ、そうか…では、部隊の召集を掛けねばならぬな」

「そうなりますね、召集には少々時間が掛かりますが」

「構わぬ、出来る限り速く行なってくれ」


基本攻撃部隊と防衛部隊の2つは兵力も多く、召集に時間が掛かるのだろう

俺が指揮する小さな戦士達の兵士はまだ11人、数も増えてないこの状況なら

すぐに行動することが可能だ、今回はその強みを生かそう。

そもそも、あいつらはトロピカル地方にいるわけだし、俺が行けば良いだけだが。


「では、俺はすぐにトロピカル地方に向い、情報収集や支援を行ないます」

「うむ、君の援護は非常に頼りになる、頼むぞ」

「お任せください」


俺はすぐに会議室を出て、自室で少し準備を整えてからトロピカル地方に戻ることにした。


「よし、こんなもんだろう」

「リオさん、髪留め忘れてますよ」

「髪留めなんぞいるか、前から言ってるだろうに」

「良いじゃ無いですか、このひまわりの髪飾り、可愛いですよ?

 リオさんが育った孤児院の名前と同じお花ですし、似合いますって」

「要らないっての、俺は髪留め要らない、てか、髪の毛長くない!

 でもまぁ、一応持ち物には入れておく」

「付けないのですか?」

「付けない! 持って行くだけだ!」

「では、このドレスも」


今度はリサ姫とメア姫が持ってきたドレスを持ってきた。

何でここにあるんだ? このドレスは向こうに置いたままだったはずなのに。


「どうしてここにあるんだ? このドレスは向こうに置いて」

「…まぁ、良いじゃ無いですか」

「お前だな! お前が持ってきたんだな! 荷物が圧迫されるだろうが!」

「もう一度来てみて下さいよ! 似合ってましたし!」

「着ない!」

「私としては来て欲しいですわ」


俺とリオが喧嘩をしていると、扉の方からメア姫の声が聞えてきた。


「な、なぜこちらに!?」

「いえ、私もトロピカル地方に向いたいと思いまして」

「いや! 分かってます!? 向こうは戦場に!」

「お姉様もあちらにおられます、ですので、私も向かい、指揮を行なわねば

 そうで無ければ、お姉様は毎日内政に忙しくなり、休む暇が無くなりますわ」


確かに今、このままだとリサ姫が全部の内政を管理しないといけなくなるだろう。

だが、戦場になる場所に王家の人間であるメア姫を送るわけにはいかない。


「メア姫様、冷静になって下さい、戦場になる場所に王家の姫君であるあなたを連れて行けるはずも」

「大丈夫ですわ、お父様からは許可を取りましたの」

「え!?」

「最初は反対していましたが、必死に説得したら納得してくれましたわ」


…マジかよ、国王様の許可も下りたって事か? だったら、無理に止められないな。

だが、俺としてはメア姫を最前線に送り届けたくは無い。


「でも、死なれたら困ります、それ程危険なのですから」

「それはお姉様も同じですわ、私だけが死の危機から離れるなど出来ませんわ」

「しかし!」

「まぁまぁリオさん、国王様からの許可があると言ってましたし連れていってあげましょうよ」

「お前、本気か!? これから戦場になる場所に姫様を連れて行くとか!」

「メア姫様にも何か考えやどうしても向いたい理由があるのでしょう

 その考えを無下にするのはよくありませんよ」

「…でも、流石に」

「大丈夫ですよ、1人守るも2人守るも同じ事ですよ」


…はぁ、ま、確かにこいつの言うとおりそれなりの理由があるんだろうな。

それも国王様が許可を降ろしたというなら、理に叶った理由があると考えて良いだろう。


「分かりました、分かりましたよ…連れていきますよ」

「分かればよろしいのです、それでは向いましょう」

「そうですね」

「あ、リオさん! ドレスは着ないのですか!?」

「着ない!」

「向こうで着せてあげれば良いのですわ」

「そうですね!」

「着ないって言ってるでしょうが!」


そんなグダグダとした感じで、俺達はトロピカル地方へ向う馬車に乗った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ツギクルバナー
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ