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パーティーを控え

2人がパーティーをしようと決めてから、凄い速度で話は進んでいった。

ミストラル王家は2人の意見に最大の協力をして、会場決定もすぐだった。

とんでもない速度でパーティーのチラシまで作り、国中にもばらまいた。

そして、もうすぐパーティーの時間となる、これまでの経過時間は3週間程度だ。


「・・・・まさか、構想から決行まで僅か3週間でやるとはな」

「ミストラル王家が一切の躊躇いも無く承認しましたからね」

「家族の構想だからと言っても、もう少し考えろよな」


ただ、兵士達がこの計画に全面的に賛同しているのも事実だ。

それに、兵士達のやる気は国民まで巻込み、更に規模は増した。

実はミストラル王国の元々の国民はこのパーティーには反対が多数だった。

しかし、トロピカル地方の国民達の熱気は凄く、食料の提供も彼らが行なった。

確か圧政を解放してくれたお礼を兵士達にしたかったらしい。

で、その熱気に押され、ミストラル国本地の国民達も賛成となった。


「しかし、規模が凄いですよね、一般国民まで歓迎とは」

「だな、まぁ、働いている中には有志の国民達もいるから人手は十分足りたんだろう」

「因みに私の情報だと、その有志の中にいる本地の国民は少なく5人だけです」

「・・・・トロピカル地方の有志は何千といるのにな」


はぁ、何だろうか、だんだんと本地の国民達の薄情さが目に見えてきたぞ。

今でも本地は強制徴兵制度の撤回に反発している勢力もいたり、まだ兵士を嫌ってる国民もいる。

だが、トロピカル地方の国民達は全体的に国王の意見に賛同してくれている。

自主的に軍に入ってきてくれている兵士達も殆どがトロピカル地方だしな。

こりゃあ、本地の民度をあげないと軽い内戦になる可能性もあるな。

あぁ、頭痛い・・・・そもそも、なんで俺がそんな事で頭を抱えないといけないのだろうか。


「はぁ、嫌になるな」

「リオさん、何もリオさんが悩むことじゃないでしょう」

「あ? 俺が悩んでるの分かったのか?」

「そりゃあもう、私はリオさんをよく分かってますから、多分本地の事でしょう?」

「あぁ、そうだよ・・・・このままだと最悪内戦になりそうで怖いんだよな」


普通内戦をおっぱじめるのは後から併合した地域がその国のやり方に付いていけないから始めるのだが

今回の場合は本来の国土の国民が反発、普通じゃあり得ないだろ、こんな状況。

全く、あそこの国民はわがままで自分本位な奴が多すぎて嫌いだ。

少しは先生を見習って欲しい。


「はぁ、くそう、平気で自分のために子供を捨てるクソ共が多すぎて大っ嫌いだ

 どれだけ自分勝手なんだか」

「恐らく強制徴兵制度で徴兵した子供の親に金を渡すという制度が失敗だったんでしょうね」

「そもそも、強制徴兵制度が駄作だった気がするがな・・・・まぁ、あの状況だと仕方ないが」


戦力が少なく、完全に追い込まれていたんだ、少しでも抵抗するには強制徴兵しか無かっただろう。

はぁ、しかし、その駄作の尻ぬぐいが大変だな、でも、今回は良い機会かもしれない。

国民と兵士達や国家が協力しての大規模なパーティー、これを機になんとか出来れば良いな。


「さて、アルル」

「はい、なんでしょうか?」

「パーティーは3日後だろ?、もう準備した方が良いんじゃ無いか? 道が整備されてるが

 馬の移動だと2日はかかるじゃないか」

「あれ? あまりテンションが高くないですね、どうしたんですか?」

「いや、俺はパーティー出ないし」


人混みは嫌いだ、色々と考えたが、やっぱり1人でのんびりしているのが俺の性に合っている。

元々は重度の引きこもりだったんだしな、ずっと振り回されていたし、たまには部屋で休みたい。


「へぇ、本気ですか? マジですか? 国家をあげてのパーティーに

 最大の功労者が参加しないってどうなんですか?」

「最大の功労者はお前だろう? お前の行動で国を2つ取った様なもんだし」

「いや、私は動かしただけです、実質制圧に動いたのは私達10人で、その指示は全てリオさん

 リオさんの指示での勝利ですから、最大の功労者はリオさんでしょう

 そもそも、リオさんが命をかけて国王様達を守ったお陰で国が動いたんですから」

「俺が良いって言うんだから、お前は俺の手柄を奪っとけよ、出世できないぞ?」

「いえ、私は出世など、どうでも良いのですよ、リオさんと共に居るだけで私は満足です!」


なんだろうか、兵士になると欲が少なくなるのかも知れない。

いや、普通にこいつの欲の方向がおかしいだけかもな。

まぁ、こう言う野心が無い所は好印象だ・・・・別の野心はありそうだけど。


「まぁいい、とりあえず俺は参加しないぞ、パーティーなんてかったるい、移動は面倒だし」

「でも、ここら辺にも会場はあるじゃないですか」

「あるけど・・・・徒歩1時間も掛かる」

「馬ならすぐですよ?」

「馬は腰が痛いし、乗りにくいし、言う事中々聞かないし」

「大きい馬がリオさんの言うこと聞いてるじゃないですか」

「デカすぎるんだよ! 子供の身長だと本当に乗れないんだ!」


俺は何故か馬には懐かれない、ただ1頭の馬を除いては。

だが、この馬は結構な馬鹿だし、右を指示したら左に行くことがたまにある。

そもそもデカすぎて乗るのがしんどい・・・・ただ、他の馬には何度も振り落とされたりしているが

こいつにだけは1回たりとも振り落とされたことが無い。


「んもぅ、折角ミストラル王国にも馬術が来たんですから乗りましょうよ」

「乗れないんだよ!」

「だから、私がだっこして乗せてあげますって」

「なんか、抱き上げられる度に変な気持ちになるから止めてくれ」

「それはきっと私に恋してるんです! そうですよ! だっこされて気になっちゃっうみたいな!」

「安心しろ、それは絶対にあり得ない」

「当たり前の様に鋭利な刃が私を貫く!」

「お前も泣くんだな」

「まぁ、私はめげませんけどね! いつか私の愛がリオさんのハートを撃ち抜くと信じてます!」

「それは・・・・いつか俺を殺す的な意味か?」

「なんでそう言う発想に!?」

「いや、俺をショック死させるって意味かと」

「違いますよ! そんな訳無いじゃないですか!」


たまにアルルをからかうと面白い・・・・だが、こいつと一緒に居ると本当にショック死しそうになる。

やることがいちいち唐突すぎて心臓に悪い。


「まぁ、冗談だ」

「はぁ、そうですか」

「リオ! リオはいますの!?」


俺達が話をしていると、扉の向こう側からメア姫の声が聞えてきた。

なんだろうか、少し焦っている様に聞えるが。


「どうしました?」


扉を開けるとそこにはかなり怒った様子のメア姫とリサ姫が立っていた。


「リオ! 何故ここにいるのですの!? 早く準備をなさい!」

「え? いや、え?」

「手紙を渡したでしょう? 主賓は3日前に来て下さいと!」

「え? 手紙なんか来た記憶が、そもそも俺が主賓?」

「・・・・あ」


メア姫の言葉を聞いたリサ姫が自分が持っていた鞄の中から綺麗な封筒を2枚出した。

その手紙の封の部分には、赤く丸い形で、その中心にはミストラル王家の家紋である

盾とその真ん中のユニコーンとペガサスが書いてある。

これはミストラル王家の家紋、普通は拝むことが出来ない本物だ。


「・・・・り、リサお姉様!? 何でその手紙を!?」

「わ、忘れてたの! よりにもよって2人の分!」

「なんで忘れたのですの!? 大事な物だって言ったではありませんか!?」

「いやぁ、大事な物だからって思って、奥に閉まってたら忘れちゃってて」

「何故ですの!? 他の9枚も大事と伝えたはずですわ!」

「いやぁ、この2枚が1番奥で、影だったのよ」

「なる程です、昨日シルバーさんがフレイさんを引っ張って出て行ったのはそう言う

 教えてくれれば良かったのに」


多分、フレイは手紙を読んでいないな、きっとウィングも、読んでたとしてもトラくらいか。

何も言わなかったのは、俺達が基本的にゆっくり行動しているのを知っていたからかな。

だが、マナやメルトの誰かは教えてくれても良かった気がするな。


「でも、フランとメルとマルも来ていませんでしたわ」

「多分、届いても読んでないんだと思います、それか難しい字で読めなかったか

 戦闘訓練はよくやってましたが、勉強はしてませんでしたからね」


結構忘れがちだが、俺達はまだまだ7歳児だ、普通なら小学校でお勉強してる頃だ。

頭のレベルもあいつらは5歳児のままで止まってるしな、それ以降は勉強はろくにやってないし。


「う、うーむ、そうでしたわね、難しい言葉を使いすぎましたわ」

「それはそうよね、そもそも、普通は7歳の子供が主賓なんて言葉が分かるわけ無いわ」

「そうですわね、リオがあまりにも頭が良すぎるので忘れていましたわ」


俺は見た目は7歳・・・・いや、5歳くらいだが、中身は高校生だからな。

ただし、ヒキニートだが、でも、ゲームとかでも言葉くらいは学習できる。

ネット環境も整ってたし、気になる言葉は即チェックだったし。

まぁ、こっちは文字が少し違うが、殆ど同じだから問題は無い。

発声言語は同じなんだし、そこからひもとけば結構分かる物だ。

色々な基礎は先生から教わったし、なんの問題も無い。


「そうですわね、フレイ達はリオみたいに頭は良くありませんでしたわ」

「いや、その言い方はちょっと、まぁ、フレイが馬鹿なのは認めますが」

「あ、そこは認めるんですね」

「あいつの頭が良かったら、俺は怪我ばかりしてない」

「あはは・・・・そうですね」


まぁ、今日は怪我をしてないから良いんだけどな。


「うーむ、今度から気を付けないと行けませんわね」

「メア、そんな話をしている場合なの?」

「は! そ、そうでしたわ! リオ! 急いで準備なさい! それと、リサお姉様!」

「何かしら?」

「リサお姉様は少しおっちょこちょいすぎますわ! もう少し自らが王家の一員であるという事を」

「えっと、努力するわ」


妹に説教されている姉か、情けないな。

でも、言い教訓になったかも知れないな。


「とりあえずアルル、服取ってくれ!」

「あ、はい、これですね」

「違う! 軍服だ! それはドレスだ!」

「良いじゃないですか、パーティーには丁度良いですよ」

「俺は兵士としてパーティーに向うんだ! なら、軍服だ!」

「そうですわね、フレイ達も軍服でしたわ」

「うぅ、パーティーでこのドレスを着たリオさんと華麗に踊るつもりだったのに」

「馬鹿か! 身長差的に無理だ! そもそも、お前なんぞと踊るか! それと、荷物を整えないと!」

「荷物は大丈夫ですわ、今回は予行、なんの問題も無いですわ」

「あ、そうか、じゃあ、アルル! 準備が終わったらフランとメルとマルを呼ぶぞ!」

「あ、はい!」


結構ドタバタしたが、俺達はギリギリ予行に間に合った。

中々に厳しいようで、大変だった、てか、主賓ってお客様なのに練習があるのか。

やっぱり国規模のパーティーだし当然か。

因みにフレイは暴れまくり、ウィングやマルは転けて、フランは俺に抱きついてきたりと散々だった。

ろくに練習が出来なかった気がするが、本番、大丈夫だろうか。

何て心配していたとしても、当日は来る物だ、はぁ、不安しか無い。

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