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状況を覆せ!

状況は最悪! 完全に多勢に無勢! この手勢じゃ勝てないぞ!

気味の悪い声も多いし、一体どうすればこの状況を打破できるんだ!


「リオさん!」

「な!」


この状況に素早く反応したアルルが俺の腕を掴み、窓の方まで引っ張ってきた。


「突っ込みます! トラさん達も急いで!」

「分かってる!」


アルルに言われたとおり、トラ達も同じ様に窓際に走った。

しかし、マルと魔道兵の女の子も一緒に引っ張っているから遅い!

このままだと、2人は確実にフレイに捕まる!


「このままだと!」

「時間は稼ぐ、急げよ!」


俺は急いでウィンチェスターを召喚した、まぁ、召喚した手はヒビが入った左腕

精々撃てて一撃…狙いは引っ張られながら走っているからブレ続ける。

この状況の中で、僅か一撃だけで素早く動くフレイを撃ち抜く…厳しいな。

一撃を外せばトラ達が捕まる、この一撃があいつらの命運を握っているのか。


「…ふぅ」


…まぁ、大丈夫だろう、俺は今まで何度も狙撃をしてきたんだ。

その一撃で仲間の命運を左右したこともある、だから、出来る!


「フレイ、大人しく寝てろ」


俺は冷静さを取り戻し、フレイに狙いを定め、引き金を引いた。

大きな銃声と共に、結構な反動が俺の左腕を襲った。

更にその反動と同時に、左腕には激痛が走る。


「う」


まぁ、その痛み程度でフレイを眠らせる事が出来たんだ、儲けものだろう。


「このまま!」


俺達は急いで窓の方に走り込み、窓をぶち割り室内から脱出した。


「あの建物に急ぎましょう!」

「あ、あぁ」


俺達は必死に近くにあった建物に避難した。

そして、急いで室内に入り、扉を内側から閉めた。


「はぁ、何とかなりましたわ」

「そうだな…いっつぅ」


安心したからか、左腕に激痛が走る・…やはりかなり厳しいらしい。


「大丈夫ですか!? やっぱりあの時! 無理するから!」

「馬鹿か、ああしないと一大事だ、そもそも、足の方もヤバいしな」


無理矢理アルルに引っ張られたんだ、怪我をした足には厳しい。


「はぁ、もうしばらくは動けないな」

「そうですね、酷くなっています」

「これからどうしますの?」

「そうだな」


俺はシルバーの言葉を聞いた後、ちょっとだけこの建物を見渡した。

周囲を軽く見て分かったことは、ここは武器庫だと言う事だけだ。

武器庫だと言う事は、武器は使い放題…つまり、トラの独壇場。

更にシルバーの戦闘技術なら多種多様の武器を扱えることだろう。

戦うとしたら、もはやここで戦うしか手は無いだろう。


「…よし、じゃあ、ここで勝負を着けるか」

「え? 本気?」

「あぁ、俺の足は殆ど動かない、だから下手に動くことは出来ない

 それにここは武器も多彩だ、この状況ならお前の能力もフル活用できる」

「そうだけど…かなり狭いよ」

「そうだ、だから勝負を掛けるのはマルとその友人が起きたときだ

 こいつらが操られている可能性はあるが

 それは起きたときに判断するしか無い

 操られていなければ勝算は五分五分

 もし操られていたら敗北は避けられない」

「つまり、彼女達が鍵と言うわけですわね」


2人が操られていない事を祈りながら、俺達はこの武器庫の中で待機した。

そして、運命の時が来た。

2人の眠りが浅くなっている、これなら起せるだろう。


「…それじゃあ、起すぞ」

「はい」


俺は覚悟を決めて2人を揺すり、目を覚ますように促した。


「…うぅ」


最初に起きたのはマルだ、マルはゆっくりと目を開け、俺達を見渡した。


「あ、あぁ…リオ!」

「な!」


マルは目を覚まし、俺の方をジッと見た後

涙を大量に流しながら俺に抱きついてきた。

良くは分からないが、あの時、意識が戻ったときの続きみたいな感じだ。


「ごめんなさい! ごめんなさい!」

「よ、よく分からないが、落ち着け」

「仲が良いんだね…それにしても、少し妬いちゃうよ」

「何処に妬む要素があるんだ?」

「いや、私はリオと一緒に長い間居るけど

 こんな風に抱きついたこと無いし」

「それが普通だろ、いや、そう言えば何度か」

「うわぁぁぁ!」

「ちょと痛いぞ?」


まぁ、本当にちょっと痛いだけなんだが

この程度の抱きしめフレイにいつもされてたし。

あの馬鹿の怪力と比べれば、大した力じゃ無い。


「あ、あの…あまり大きな声で泣かない方がいい気がするんですが」

「そうですわね、位置がバレたら大変なことに」


まぁ、そういうときは大概悪い予想が当たるわけで。

2人がそう言った後、ほぼ同時くらいに倉庫の扉が強く叩かれた。


「あぁ、やっぱり」

「え? ど、どうなって」

「マル、キョトンとすんな、さっさとお前の友人を起せ!」

「え? あ、メルちゃん! どうして」


メルか、なる程、そう言う名前なのか。


「メルちゃん! 起きて!」

「おい、あまり急いで起すな、もし操られていたら大変で」


しかし、俺がマルを止めようとしたとき、メルの目が開いた。

目は虚ろで、目の前のマルを見ている様子は無い

この様子から察するに、多分!


「……」

「そんな!」


俺達に気が付くと同時に、彼女は右手を握り

そこに魔道兵の腕が出て来た。

ヤバいぞ、やっぱりまだ暴走している! 何てことだよ!


「させませんよ!」


しかし、その拳がマルを貫こうとしようとしたとき

近くに居たアルルが彼女の腕を押さえつけた。

そのお陰で腕は止まったのだが、あまり時間は稼げないだろう。


「アルルさん! 私も!」


その動きを見たシルバーが急いで接近して、左腕を押さえつける。

だが、力はかなりあるようで、2人は結構辛そうだ。

もしかして、魔道兵並みの力を発揮できる特典でもあるのか? 厄介な!


「そんな…メルちゃん、どうして」

「動揺は後だ! お前はこいつの友達なんだろう!?」

「でも、メルちゃんは」

「操られてるだけだ! 信じろ、お前ならこいつを救えるだろ!?」

「でも、私は」

「うっさい! 疑う暇があったらやれ!

 お前なら出来る、こいつを友達だと思ってるなら

 こいつを信じろ、大丈夫だ、お前の声は絶対にメルに届く!」

「…分かった、頑張る! メル! 私だよ! マルだよ! あなたの友達!」


ようやく覚悟が決まったようで、マルはメルに必死に呼びかけた。

どうやら、時間は掛りそうだな…だが、確実に届くはずだ!

しかし、俺達には結果が分かるまで待つ事なんて出来ないようだ。

扉が砕けたような聞えてきた。


「リオ…やるしか無いみたいだね」

「2人だけで出来るか不安だが、やるしか無いよな

 良いか? 出来る限り殺すなよ」

「分かってる、あの中にはフレイ達もいるんだから」

「いや、フレイは居ない、あいつがいたら扉を砕く程度で時間が掛るわけが無い」


あいつの身体強化魔法ならこの程度の扉、あっさりと粉砕できるだろう。

だが、砕くのに時間が掛っていたし、砕けた時の音も地味だった。

この事から考えても、あいつが扉を砕いたわけじゃ無いとハッキリと分かる。


「だが、あの中にはウィング達が居る」

「そうだね、でもフレイが居ないならまだ時間は稼げる!」


そう言って、トラは周囲に掛けてあった剣を複数個操り、周囲に展開した。

俺もその動きを見て、ウィンチェスターを召喚、残弾数は8か。


「トラ、出来るだけお前で処理してくれ、俺はもう魔力が殆ど無い。

 倒せて8人程度が限度だ」

「分かってるよ、でも、的確な支援を頼むよ、今まで通りに」

「分かってる、攻撃出来る数が少ないだけで支援の質に低下は無い」


俺達がそんな話を終えたとき、一気に敵兵達が雪崩のように押し寄せてきた。


「はぁ!」


トラは素早く展開した武器をその雪崩に向って放った。

その数はかなり多く、敵兵達に致命傷を与えないように攻撃が飛んでいる。


「…」

「う!」


しかし、その攻撃をかいくぐって俺達の方に接近してきた奴が2人居た。

その相手はメルトとマナだ、こいつらは接近戦闘のプロフェッショナルだぞ!

接近されれば勝算はない、なら、この近寄られる前に何とかするしか無いが

あいつらは2人同時にこちらに向かってきている

俺のウィンチェスターでは1人しか撃ち抜けない。

畜生、こんなんなら残弾数が減ろうがセミオートを出しときゃ良かった!

まさかこの2人にここまでの身体能力があったなんてよ!


「クソ!」


考えてる暇は無い! どっちかを撃たないと2人同時に相手になる!

それだけは避けないと・…ん? トラの奴

マナを完全に見ていない、じゃあ、メルトを狙ってる?

なら、俺がやるべきことは1つだけ! 俺が狙うのはマナだ!


「トラ! メルトを!」

「分かってる!」


俺はトラに指示を出すと同時にマナを撃ち抜き、意識を奪うことに成功した。

それと同時位に、トラは手元に武器を持ちメルトの攻撃を受け止めた。

まさかの接近戦闘のプロに対して接近戦闘を挑むなんて!

だが、トラは受け止めたと同時に

周囲に浮かしていた武器を1点集中させメルトを狙った。


「…」


しかし、メルトの反応は凄まじく、素早く身を引きながら

飛んできたいくつもの武器を捌きながら後退していった。

やっぱり加減した速度でメルトにダメージを与えることが出来るわけが無いか。


「やっぱり、手加減は出来ないみたい」

「そうだろうな、あいつは強い」


俺はそう言いながら、痛む左腕を使い弾丸を入れ替えた。

これで次に仕掛けてきたときに意識が奪える。

だが、兵士達がそろそろ無視できないほどに接近してきている。


「ヤレ」


その状況を理解すると同時に俺の頭の中にそんな声が響いた。

その言葉が響くと、やはり敵兵士達が一斉に突っ込んできた!


「クソ! このままじゃ!」


兵士達の群れが俺達を襲おうとしたときだった。


「うわぁぁぁ!」

「な!」


後ろの方から大きな機械的な腕が伸びてきて兵士達を大きく殴り飛ばした。


「マルちゃんの新しいお友達の皆さん、ごめんなさい、そしてありがとう」


後ろの方を向くと、そこにはさっきまでぶっ倒れていたマルの友人メルが立っていた。

さっきの一撃は恐らく自分の腕を魔道兵に変化させての一撃だったのだろう。


「ここからは私も戦います!」


はは、間に合ったか、それじゃあ、こっから反撃開始と行こうか!

一気に勝負を着けてやる! この状況なら勝つことも出来るからな!

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