表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
43/294

4人だけの作戦会議

とにかく、作戦を考えないと行けない、あの4人を回避して根源を叩く

これは口で言えば簡単だが、実際行なうとなると、かなり至難の業だ。

接近で最強レベルのフレイ、そのフレイに身体能力で合わせることが出来るマナ

接近戦~中距離で戦うことが出来るウィング、同じく接近~中距離で立ち回れるメルト。

勝つためには長距離での戦闘しか無い訳だが、あいにくここは室内だ

どう考えても接、中距離戦闘になってしまう、あいつらの独壇場だ。


「・・・・ヤバいな」


でも、トラ、シルバー、アルルが暴走しなかったのは不幸中の幸いだ。

この3人まで敵に回っていたとすれば、絶対に勝てない。

トラは中、長距離戦闘が得意だ、特に中距離なんて独壇場だろう。

シルバーは優秀なオールラウンダー、何でもそつなくこなすからかなり厄介だ。

アルルは優秀すぎる偵察兵、こいつが暴走してたら不意打ちは出来ないと思った方が良い。

まぁ、優秀なのは視覚だけだから、死角からの攻撃なら不意打ちは出来るかも知れないがな。

とりあえず、俺は条件などを3人に話した、こう言うのは共有するべきだしな。


「この特徴からしても、接近戦闘だけは避けないと不味い」


俺達には接近戦闘にめっぽう強い奴はいない、中距離ならまだ対処は可能かも知れないが

接近されてしまえば敗北は確定的に明らかになる。


「そうですよね、それにしても、やっぱりリオさんが暴走しなかったのが1番大きいと思います」

「それは私も思うよ」

「そうですわね」

「ん? 何でだ? 正直俺が1番弱そうだけど」


俺はひ弱だし、今はボロボロだ、殆ど動けないだろうし、俺が仮に暴走しても大したマイナスは無い。


「リオさんは自分を過小評価しすぎですよ」

「そうそう、長距離になったら確実に勝てない相手だし

 状況次第で1人だけでも私達を全員倒せる程の魔法だからね?」

「いや、それはフレイもじゃないか、接近戦であいつの右に出る奴はいない」

「そうですわね、でも、長距離でリオさんの右に出る奴はいませんわ」


まぁ、そうなんだよな、長距離~超長距離で最大の効果を発揮できるのは俺だけし。


「それと、フレイさんの対策は結構簡単なんですよ、集団で囲えば勝てます」

「あぁ、目の前しか見ないからな、あいつは」

「でも、リオさんの場合、距離を取られたら終わりですし、ある程度接近しても反撃はあります

 集団で囲んでも、状況しだいでは容易に壊滅してしまいますから」


確かにVSSを使えれば集団で囲まれても、かなり接近されていない限り対処は出来る。

実際、この状況でもVSSを扱うことが出来れば打破は容易なんだ・・・・でも、今は使えない。

俺が撃てる弾丸は推測で後9発、対物は2発が限度か、いや、下手したら1発かも知れない。

だから、燃費が悪いVSSを扱うことが出来ない、だから中距離戦闘は不可能だ。


「確かに囲まれようと状況によっては殲滅も容易だ」

「じゃあ、この状況の打破も出来るんじゃ無い?」

「あぁ・・・・最高の状況だったらな、でも、今は無理だ・・・・魔力量の問題でな

 俺が攻撃出来るのは・・・・恐らく後9回だけだ」

「9回だけですか、かなり少ないですね」

「無理もありませんわ、私達が来るまで戦い続けていたんですもの、こんなにボロボロになるまで」

「だから、今の俺はあまり役に立てそうに無いんだ」


こう言う状況でつくづく思うが、本当に魔力量の少なさがネックだよな

これが無ければ俺の魔法は接近~超長距離に至るまでオールで戦えるのに。

魔力が無いから接近は不利、中距離も厳しい、効果的に立ち回れるのは長距離位だ。

まぁ、スナイパーなら長距離~超長距離が普通なんだがな。


「1番最初に思いつく効果的な作戦はやっぱり基地の外に出てリオさんの長距離射撃

 何ですが、運が悪いことにあの場所は壁で遮られていますから狙撃は無理ですよね」

「あぁ、ターゲットの位置が正確に分かれば対物で撃ち抜けるが・・・・

 出来れば、その手は使いたくない・・・・お前らも見たくはないだろう?

 あのフードの女の子が・・・・木っ端みじんになるところなんか」

「うん、見たくはないね・・・・同じ様な境遇の女の子がそんな事になるところは」

「私もですわ、罪悪感しか残りません」

「そうですね」


そもそもだ、人が木っ端みじんになる様を見たいなんて思う奴が居るわけがない。

その相手が大人だろうと子供だろうと・・・・例え相手が真性の屑だろうとな。


「だとすると、長距離からの攻撃は止めた方が良いですね」

「あぁ、壁抜きが出来ないんじゃ無理だろう」


まぁ、正確な位置さえ分かれば、長距離からの狙撃で跳弾を使っての狙撃も可能だろうが

恐らくそれは対人の弾丸でしか出来ない、非殺傷の弾丸を使えないのなら避けたいところだ。

あんな可愛そうな奴をあのまま殺すなんて俺には出来ないからな。


「接近方法を模索しないと駄目だな、せめて俺の射線上にあいつらが大人しく入ってくれれば

 意識を奪うことが出来るだろう、あの脱出の時に出来てりゃ良かったんだがな」

「あの時は仕方ありませんよ、他の兵士達が邪魔だったんですから」


あの状況下で狙撃が出来なかった理由はそれだった、冷静さを欠いていたのもあるのだろうが

他の兵士達が邪魔で、あいつらの意識を奪うことが出来なかったんだ。

そもそも、周りに複数人いたんだ、仮に意識を奪ったとしても、あの場から救出は出来なかっただろう。


「はぁ、せめて敵の位置が分かれば良いんだがな」

「その点は大丈夫ですよ」


アルルが妙に得意げな表情でそう言ってきた。


「何が大丈夫なんだ? お前が犠牲になって敵を引きつけるのか?」

「こ、怖いことを言いますね、まぁ、最悪の場合はそれも良いでしょう

 リオさんのお役に立てるなら、このアルル、命くらいは手放します」


軽い冗談のつもりで言ったはずなのに何で真剣に返してきてんだよ。


「まぁ、それは良いとしてですね、大丈夫だといった理由はマルさんですよ」


そう言って、アルルはマルが眠っている場所を指差した。

確かにマルを救出していたんだし、あの魔法を使えば位置が分かるだろう。


「なるほどな、マルの魔法を使えば良いって事か」

「はい、それなら位置が分かります」

「どういうことですの?」

「私達にも説明して」


そう言えば、2人はマルの魔法の事を知らなかったな。

俺達は2人にマルの魔法について軽く話した。


「へぇ、指定した範囲の敵の位置が分かる魔法なんだ、更にそれを共有できる」

「そうだ、敵の位置の把握、戦場とか広い場所だと使い道は限定されるが

 屋内でのこの魔法はかなり効果的な魔法だ」

「はい、なんせ敵の奇襲も避けられてこっちは奇襲し放題ですよ、移動方向も分かりますから

 敵の通路上に正確に罠を仕掛けることだって出来ます、私達の部隊にとってはかなりの逸材ですよ」

「ま、ここの連中は馬鹿だったからか使えない魔法とか言ってたがな」


潜入、狙撃、偵察などを主な仕事とする俺達の部隊にとって、マルの魔法は凄く優秀だ。

弱点は多いが、その弱点をカバーできる程に有効的だからな。

それに、その弱点もアルルとかでカバーできるしな。


「なる程ね、優秀なんだ」

「そうですわね、それにこの状況下なら更に活躍も出来そうですわ」

「あぁ、ま、問題はこいつがいつ起きるかだが」


マルは結構なショックを受けた様だし、目が覚めるまで時間が掛りそうだ。

しかし、あの催眠状態を自力で解除ってかなり凄いと思うんだよな。

マルのメンタルってかなり強いだろうな、こりゃあ将来有望だ。


「なら、マルさんが目覚めるまでは休んでいましょう、私達もあまり動けませんから」

「だな、この怪我で下手に動けるわけが無い」


マルが起きるまでの休憩か、この短い間にどれだけ傷を癒やせるかが重要かな。

そもそも、ヒビが数分休んだ程度で治るわけが無いが。

こんなの、1ヵ月は休まないと無理だろうな。


「それじゃあ、この短い間に私もやることがあります」

「やること? 何だ?」

「それは・・・・リオさん成分の補給を!」

「お前・・・・馬鹿だろ」

「いや、20日間ですよ!? 20日の間、私はリオさんから離れていたんですよ!?

 もう待ちきれません! トラさん達の前だろうが関係ありませんね! リオさーん!」


アルルが暴走を始めて、俺に抱きつこうとしてきた!

ヤバいって! 逃げれないんだけど!? 足痛いんだし!


「馬鹿! や、止めろ! こちとら動けないんだよ!」

「うはー! 抱きしめてあげますよー!」

「や、止めろ-!!」


俺の制止も無視して、アルルの馬鹿は俺の方に覆い被さるように抱きつこうとしてきた。

こりゃあ、逃げられない、動いたら足が・・・・こんなんじゃ休め無い!


「アルルさん、少しは休んでいた方が良いですわよ」

「し、シルバーさん!」


危うくアルルの馬鹿が俺に覆い被さろうとしたとき、シルバーがそれを止めてくれた。

アルルはボロボロなのに対し、シルバーは殆ど怪我をしていないからか、あっさりと止まった。


「アルルさん、えっと、個人的な趣味は良いのですが、場所をわきまえてください」

「良いじゃないですか、リオさんは可愛いんです、本当は今は我慢したいんですけど

 今まで20日もの間離れていたんで、我慢できないんですよ! 幼女は可愛いのです!」

「ま、まぁ、それは同意しますわ」

「同意するんだ」


その会話を聞いていたトラが少しだけ呆れた顔でそう呟いた。


「い、いえ、本当ですので」              「リオ、こっちこっち、そこは危ないよ」

「そうでしょう? だから、愛でても良いじゃないですか」     「分かった」


俺はトラに言われたとおり、ゆっくりと足を動かしてトラが座っている場所に移動した。


「リオ、いつもあんな感じに追いかけられてるの?」   「いや、相手の迷惑も考えてください」

「あぁ、あんな感じだ」              「確かにそうですけど、我慢が出来ないんです」

「大変だね、大丈夫?」              「我慢してください、リオさんに嫌われますわ」

「大丈夫じゃないかな」              「は! そ、それは不味いです!」


まさかトラに心配されるとは・・・・そう言えば、今までアルルの馬鹿は

トラたちの前では暴走しなかったんだよな、で、今日暴走したから、本性がバレたか。

はん、ざまぁない、これで少しは落ち着いてくれれば良いんだが。


「うぅ、リオさん、私が間違っていました!」


シルバーの説得が効いたのか、リオが俺に向って土下座をしながら謝ってきた。

何か気味が悪い、しかし、反省しない奴だと思ったが、意外と反省するんだな。

俺が何を言ってもこんな風にはならないのにシルバーに言われたら大人しくなるとは

何だろうか、クソウザい・・・・まぁ、こいつがウザったいのはいつもの事だしな。


「はぁ、分かったらもう暴走するなよ?」

「善処します」

「それは大概出来ませんって言う言葉だよな? お前、実は反省してないだろ」

「いえ! そ、そんな事は!」


よし、このまま追い打ちを掛けて、こいつのメンタルにダメージ与えてやる。

今までの仕返しだ、これで反省しろ。


「じゃあ」


俺が口を開き、追撃を加えようとしたとき、扉が砕けた。


「は!?」


扉を粉砕して出て来た奴は・・・・どう見てもフレイだった。

何でここが!? どうしてこんな所に! どうやって!


「ミツケタ、コワシテワタシノオニンギョウニスル」


フランの狂気染みた声が聞えたと思うと、フレイ以外の連中まで部屋に入ってきた。

何だよ・・・・もしかして、あ、操ってるのか? こいつが・・・・クソ! 何処にいるんだよ!

フラン! 何で声だけが聞えてくるんだよ! 気味が悪い!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ツギクルバナー
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ