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状況を立て直す為には

「とにかく逃げましょう、今はそれしか無い!」

「そうだな、うぐ!」


アルルに引っ張られたが、その時に腕と足に激痛が走る。

こう言うときにひ弱な体だと不便でしか無い。


「リオさん、やっぱり怪我が」

「こ、これ位・・・・お前の怪我と比べりゃ」

「無茶は駄目です、とにかく、私が抱いて行きます!」


そう言って、アルルは俺とマルを片手で抱えた。

やはり、小さな子供を持ち上げる程度なら、片手で問題ないのか。


「とにかく、急ぎます!」

「・・・・」

「うわぁ!」


今度はフレイか! 畜生、ヤバいぞ、この状況はヤバすぎる!

脱出路は1箇所のみ、その1箇所を突破するにはマルの母親を越えないと行けない。

これを越えないと、フレイ、ウィング、メルト、マナ、マルの父親、母親に完全包囲される。

流石にこの手傷で、この数を突破することは出来ない・・・・迷ってる暇は無い!


「アルル! もう、突っ切れ!」

「ほ、本気ですか!? このまま進めば、マルさんのお母さんに」

「俺が何とかする! お前はただ信じて突っ込め!」

「・・・・分かりました、信じてますよ、リオさん!」


アルルは俺の言葉を信じてくれて、マルの母親を突破するために突っ込んだ。

俺はウィンチェスターを召喚し、モードを非殺傷に変化させた。

ただ、難点としては、走っている状態での狙撃だと言う事だ。

照準は上下に激しく揺れ、場合によっては左右にも揺れている。

マルの母親だって動かないわけじゃ無い、だから、狙うのは一瞬!


「行きますよぉぉ!」

「・・・・」


マルの母親は突っ込んできたアルルに攻撃するために、側面に回り込んだ。

これは予想できた、戦いのプロ故に、相手の弱い方向から攻撃する。

でも、今、この状況ではそれが最大の弱点!


「ぶち抜け!」


マルの母親が剣を振り上げた瞬間を狙い、そのこめかみに非殺傷の弾丸を撃ち込んだ。

その弾丸を回避できる筈も無く、俺の銃弾はマルの母親に当たった。

頭部を狙ったからか、その一撃の弾丸でマルの母親は一瞬では意識を失う。

これで逃走経路は開けた、このまま逃げる!


「こっちだよ! 急いで!」

「わ、分かりました!」


アルルはトラが待っている方に走り込んだ、後方からは何人もの兵士達が迫る。

だが、その中にフレイとウィングの姿は無い。

あの2人が追いかけてきていないのなら、逃走は楽だろう。


「よし、何とかなった! シルバー!」

「分かっていますわ!」


俺達が到着すると同時に、シルバーがアルルの背中に右手を回して、急ぎ足で走った。

その時、シルバーの左腕には、魔道兵を召喚していた女の子を抱えている。

いつの間に・・・・いや、それは後で聞くとして、今は逃げる方法を考えないと。


「私は下がりながら魔法で目眩ましをする!」


トラはそう言うが、普通にやったら兵士達に怪我をさせることになるだろう。

俺の魔法は非殺傷にすれば、大したダメージは無いだろうからまだ良いが

トラの魔法は違う、周囲の物を浮かしたり、操ったりして飛ばす魔法だ。

操る物体を柔らかくしたりすることもできないし、怪我は避けられない。

マルの両親にもし攻撃が当たれば、共闘関係が崩れる可能性もある。

いや、流石にそこまで理不尽なことを本人達が言うとは思わないが、あの2人を慕ってる兵士は

もしかしたら、この事実を知れば、俺達に反感を感じる可能性もある。

そうなると、共闘関係に亀裂が走るかも知れない、できるだけそれは避けたい。

そもそも、打ち所が悪かったら殺してしまう危険だってある。


「トラ、直接狙うな!」

「え? でも、そうしないと時間が稼げない」


確かにそうだろう、攻撃しないと足止めはできない。

なら・・・・どうする? こう言う状況下で、相手を目眩ましする方法。

・・・・・・あ、良い手段があるじゃないか、視界を塞げば、相手の行動が鈍るはずだ。


「よし、トラ! フレイが粉砕した壁の破片を操って、壁にぶつけろ!」

「一体、何のために・・・・よく分からないけど、リオが無駄な事を言うわけが無いか、やってみる!」


トラは俺の指示通りに、フレイが粉砕した壁の破片を操り、凄い速度で別の壁にぶつけた。

勢いは十分だったようで、そのぶつけた破片は粉々に散らばった。

その時、粉砕した破片が少しだけ埃を上げる。

かなり粉々にしないと、こんな風にはならないだろうが、流石はトラだ。


「あ、もしかして、そう言う・・・・よし、分かった!」


俺の意図を理解したのか、トラはフレイが粉砕した破片を複数個操って、砕く。

この動作をある程度行なうと、周りには凄い埃が生じた。

その効果もあってか、兵士達の動きが遅くなったように感じる。


「効果はあったようですわね、流石はリオさんですわ」

「今は良い、急いで逃げてくれ」

「そうですわね、急ぎましょう!」


目眩ましを成功して、俺達は急いで逃走することにした。

そして、あいたままだった1室に逃げ込むことに成功した。

その部屋は大きめの水色のベット、水色のタンスと、水色の物が多い。

雰囲気からしてみて、女の人の部屋だろう。


「部屋? かなり広いですね」

「そうですわね、それに雰囲気は女の人の部屋なのでしょう」


シルバーはアルルの言葉に部屋の扉を閉めながら答えた。

そして、部屋の鍵を閉めた、これで時間は稼げるだろう。


「これで、時間は稼げるでしょうね、その間に、何とか打開策を考えないと」

「そうだな」


俺達は、とりあえずベットに腰掛け、少しだけ休む事にした。


「それで、お二人は大丈夫なのですか?」


シルバーとトラは心配そうに俺達の方を見た。


「大丈夫ですよ、これ位・・・・ちょっとめまいがするだけです」

「それは、大丈夫では無いでしょうに」

「リオは大丈夫?」

「あぁ、大丈夫だ・・・・ちょっと足の痛みが増した程度だ」


さっき、逃げようとしたときに感じた痛み、それから足の調子が悪い。


「少しお見せください」

「あぁ、でも、あまり動かしたくないから・・・・悪いけど」

「分かっていますわ、こう言う状況で下手に動かすわけには行きませんから」


俺の身を案じてくれて、シルバーは俺の前に移動してきて、腰を低くて俺の足の怪我を見た。


「・・・・少し触りますわね、痛みを感じたら言ってくださいませ」

「あぁ、分かった」


最初に触った場所は、俺の傷跡だった、少し触られた程度では大して痛くはないが

ちょっと強めに押されると結構な激痛が走る。


「うぐ!」

「あ、すみません! 大丈夫ですか!?」

「だ、大丈夫だ」

「そうですか、あまり強く押さない方が良いですわね」


その後、時々結構な痛みが来たが、最初ほどじゃなかった。

最初の事故から、俺の身を案じてくれた感じか。


「どう? 何か分かった?」

「・・・・そうですわね、やはり骨にヒビが入っている感じでしょうね

 あまり派手に動いたら・・・・最悪の場合、折れる可能性もありますわね」

「そうか・・・・そうなったら、もう動けないな」


あまり足は使えないな、このままだと抱いて貰って移動するしか無い。

でも、アルルの怪我も酷いから、あまり頼ることは出来ないだろう。


「それでは、次はアルルさんの怪我を見せてください」

「わ、私は大丈夫ですよ、大した怪我はしてないので」

「どの口が言うんだよ、お前、無理しすぎだろ」

「でも、皆さんに心配を掛けるわけにはいきませんし」

「自分の限界を知るためにもやった方が良いだろう?」

「ですが」

「じゃあ、あれだ、命令だ、しっかり調べて貰え?」

「命令ですか、なら仕方ありませんね」


俺の説得に応じ、アルルは大人しく診断を受けてくれた。

こいつが1番痛がっていた箇所は腹だ、他の傷口を軽く触ったときも

少し痛そうにしていたが、腹を少し強めに押されたときの方が痛そうだった。

あまりそう言う素振りを見せていなかったが、表情で分かる。


「もしかして、あまりダメージは無いのでしょうか、あまり痛そうに見えませんでしたわ」

「だから言ったじゃないですか、これ位問題ないって」

「強がるな、腹を押えられたとき、結構痛そうにしてただろ?」

「そうなのですか?」

「私には分からなかったけど」

「・・・・あぁ、流石はリオさん」


ふーむ、あまり表情を変えていなかったからか、2人には分からなかったようだ。

結構ハッキリと変化したように見えたのにな、よく分からん。


「推測なんだが、お前、あのパルスと戦ったときに、腹を思いっきり蹴られたりしたか?」

「そうですね、組み合ったときに思いっきり」

「その時に、内臓にダメージを受けたとかか?」

「さぁ、良くは分かりませんが、多分そうだと思います」


そうか、やっぱりあまり派手に動けないのは確からしい。

俺もこいつも、このまま長期戦となると、かなり不利だろう。

出来る限り素早くこの状況を打破しないと・・・・ヤバい。


「長期戦だけは駄目ですわね、あなた方の怪我が酷くなったら大変ですから」

「そうだね、2人の怪我が酷くなったら大変だから」

「えぇ、リオさんに何かあったら大変ですから」

「お前は自分の心配をしていろ、お前も酷い怪我だろ?」

「そうですね、死んじゃったらリオさんを守れません」


言い方からして、俺の為に死ねないって事か。

自分の為に死なないって考えて欲しいんだが、まぁ、無理をしない理由があるだけマシか。


「となると、短期決戦の作戦を考えないといけませんわね」

「そうだな、出来るだけ短期決戦だ」


状況を打破する為にはこの術者のフランを制圧することだろう。

だが、そこにはフレイ達がいるからかなり危険地帯だ。

移動していれば良いが、していない可能性もある。

確認して行動じゃ遅いからな、最悪の事態を想定するしか無い。


「短期決戦、どうするべきか」

「あの術者の女の子を倒せれば解除できるはずですよね」

「そうだな、だが、あの場所には」

「フレイ達がいる、このメンバーだけで、フレイ、ウィング、メルト、マナの4人を倒せない」

「えぇ、あの4人の能力は仲間だった私たちが1番分かっていますわ」

「移動していれば良いんだが・・・・推測だけで行動は出来ない」


あぁ、逃走できたとは言え、状況を打破できたわけじゃ無いか。

仕方ない、かなり時間を掛けても作戦を考えるしか無いか。

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