決勝戦
今回で番外編も終り、転生幼女シリーズを完結とします!
長い間、お付き合いしてくれて、ありがとうございます!
何だかんだで今年は長かったように感じる。
ずっと大会優勝を目指して立ち回ってた。
そしてついに本番だ。
「さてと、ついに決勝が始まるな」
「はい!」
ついに決勝当日…当然相手はファース女学園、気を引き締めないとな。
まずはしっかりと心の準備をしないと駄目だろう。
「……ねぇ、リオ」
「ん?」
会場に入り、武器の手入れをし、心の準備をしている時に
ミロルが俺に話し掛けてきた、どうも深刻そうな表情だ。
「どうした?」
「…ふぅ、こう言うの、本来決勝前に言うべきでは無いんだけどね」
「ん?」
「いやでも、決勝後に伝えるって言うのも、何かフラグっぽいし」
「どうしたんだ?」
「……ふぅ、ねぇ、リオ」
「んぁ?」
「も、もし…もしよ、もし、あなた…自分が男だったら…その…わ、私と付き合ってた?」
「……あぁ、そうだろうな」
いきなりこんな事を言われるとは思わなかったがな。
確かに身体が男なら、きっとミロルとは付き合ってた、それは間違いないだろう。
だが、今の俺は女、惚れてるからと言っても、ミロルをわがままには巻き込めない。
「……ねぇ、リオ」
「ん?」
「私達の最初の会話って…覚えてる?」
「覚えてるよ、印象深いからな。
最初はそこに隠れてるのは分かってる、出て来なさい
で、俺が、出て来たら蜂の巣だろ? 誰が出るかよ。
そしてお前が、だったら無理矢理でも引きずり出してあげる、だな」
「記憶力良いわね」
「だろ?」
「……ねぇ、リオ」
「んぁ?」
「あなた、私の事、諦め切れてないんでしょ?」
「え? 何をいきなり…まぁ、そうだな」
確かに諦め切れては居ない…それは、諦め切れては居ない。
俺が死ぬ前に唯一惚れていた女の子。
初恋の人、姿を見たことが無くても、確かに初恋をした相手。
そんな相手と死んで、運良く転生した先で出会えた。
こんなの、誰であっても運命を感じてしまう。
でも、幸運中の不幸、俺は女に転生していた。
だから、俺には彼女を幸せには出来ない…
だが、だからって諦めきれる訳がない!
でも…大事な奴だからこそ…不幸に放って欲しくない。
例え彼女の1番になれなかったとしても、俺は彼女の幸せを祈る。
それで良い、ミロルが幸せになってくれるなら、俺はそれで良い。
「でも、やっぱりお前を不幸には出来ないからな」
「はぁ!? ばっかじゃないの!? 私が不幸になるわけが無いでしょ!?
誰かの事ばかり気にしてないで! 自分の為に強引に行動しなさいよ!
ハッキリと! 口に出しなさいよ! 私は受入れるんだから!」
「…は、はは、何だよ、最初の会話と合せてくるんじゃねぇのかよ。
何の為に最初の話をさせたんだか」
「ほ、本当は被せようかなって思ったのよ!?
でも…あなたがあんな事を言うから…わ、忘れてて
これでもロマンティストのつもりだったのに、うぅ…」
「お前、やっぱり感情的に動くことが多いな、計画倒れだ…」
「う、うぅ…」
「でも、そうだな…お陰で決心できたよ、じゃあ、ハッキリ言おう」
「……」
「お互い1度死んで、同じ世界に生まれ変わった、妙な奇跡だよな。
だが、残念な事に性別も同じだ…それでも、俺はお前の事が好きだ。
本気で好きだ、身体は女だし、男とは違うだろう…だから、これはわがままだ。
いやなら断ってくれ、でも、それでも一緒にいてくれるなら。
好きだ…曉美、俺と付き合ってくれ」
「…はい! 本当、今まで何度も何度も言おうとしたのよ、私から…
その度に…全部…でも、ようやく…言って貰えた。
自分で告白するよりも、何千倍も…嬉しいわ!」
「な、なんかすごく恥ずかしいけど…でも、やっと言えたって感じだ」
「…私を選んでくれて……ありがとう」
最初から…こいつしか選択肢には無かった。
俺には曉美しかいなかっただろう。
きっと、彼女には俺以外の可能性は十分あったはずだ。
金持ちの男だったかも知れないし、超絶イケメンだったかも知れない。
何も女になっちまった俺を選ばなくても良かったんだろう。
だが、俺には彼女しかいなかった…そりゃそうだ、この子しか居ない。
間違いない…でも、それが分かってても…今まで言えなかった
言えるわけがなかった、だって…俺のわがままでこいつを不幸にはしたくなかったから。
でも…受入れてくれると言ってくれて、ようやく決心が付いて…本当にありがとう。
「……本当にありがとうな、俺を選んでくれて…でも、本当に良かったのか?
お前には色々な可能性があったのに、イケメンとか金持ちとか」
「馬鹿ね…私はあなたしか眼中には無いわよ、どんなイケメンだったとしても
どんな金持ちだったとしても…あなた以上に魅力的な奴は居ないわよ。
私の恩人、命を救ってくれて、心を2度も救ってくれた。
あなた以上に魅力的な奴の姿なんて、想像すら出来ないわ。
だって、あなたは私が想像できる理想を遙かに超えてるんだから」
「は、恥ずかしい事を面と向って言わないで欲しいな…はは。
し、しかし、あれだな、大会直前に告白って…スゲーよな」
「決勝後に告白だったら、決勝で敗北ってオチになりそうじゃ無いの」
「くく、こんな状況でもゲーム脳だな」
「ゲーム脳で結構よ、私達を繋げてくれたのはそのゲームよ。
嫌ってる奴は嫌ってるけど、それで幸せになる奴は居るって事よね」
「…そうだな」
でも、まさか決勝直前で告るとは、斬新すぎるぞ、ミロルも俺も。
そして…よりにもよって武器手入れ中にって。
「しかし…ここでの告白って半端ないよな…周り見てみ」
「……ふぁ!?」
「……あ、え、えっと」
「お、おぉ…え? あ、う、え?」
「…………こ、ここ、こ、これは、ち、ちち、違うの! 違うのよ!?
こ、これは、ほら、あれよ! こ、告白の予行練習的な!」
「え? じゃあ、リオちゃんにあんな事を言わせて…練習だったの?」
「え!? あ、いや…それはその…」
「あはは! 照れ隠しも良いけど、もう遅いよ!」
「うぅ…」
「おめでとう!」
「え? い、良いの?」
「何が?」
「い、いや…だって、フレイも…リオの事」
「うん! 大好きだよ!」
「じゃあ……」
「リオちゃんは私の大事な家族だからね、大好きなのは当たり前だよ。
トラちゃん達も絶対にリオちゃんの事が大好きだよ?
トラちゃんは自分では隠してる風だけど、隠せてないよね」
「そ、そうね…」
「……うん、おめでとう」
「フランも?」
「うん、分かってたこと、ミロルはもう少し自分を知った方が良い、バレバレ」
「うぅ…」
「それに、リオにはミロルが一番似合うよ」
「そりゃそうだ、俺の相棒でありライバル、そして恋人だぜ? 当然だって」
「うぅ、は、恥ずかしい…」
「自分の方が最初に言ったのに、今更だよ…」
「うぅ…」
そりゃな、だって、最初のセリフの方が恥ずかしいよな。
いやうん、俺が言ったセリフの方が恥ずかしいんだけど!?
全員に聞かれていたと思うと、よ、余計に恥ずかしい…
あ、顔から火が出そう…今絶対顔が真っ赤だろ、これ。
「あー! リオちゃんが顔を隠した! 女の子っぽい!」
「くぅ! だ、誰がぁ!」
「…よし! じゃあ、リオとミロルの結婚を祝して戦おう!」
「おいメル、少し気が早い、いや、少し所か大分早い!
まだ結婚してないから! プロポーズすらしてないから!
そもそも、告白したばかりだから!」
「…ま、まぁ、わ、私は結婚も当然…」
「いや、将来的にはするけど、同性婚認められてるし。
だが、少なくとも今はその時じゃない!」
「はぁ!? は、はずかしい! 宣言した! 宣言したわよね!?
ヤバい、か、顔から火が! あぁ、もう恥ずかしい!
でも何かしら、この感情…恥ずかしいはずなのに、嬉しい…うぅ
こ、この微妙な感情は初めて…うぅ、うぅう!」
「あ、冷静に考えたら、また顔が…」
「ふふん、とにかくこの大会で優勝しないとね!
この高ぶりが! 私達を勝利に導くんだよ!」
「うぅ、良かったですね、リオさん…」
あ、アルルも見てたんだ…でも、怒ってないし絶望もしていない。
むしろ、俺達の事を祝ってくれてる感じ…何か泣いてるし。
でも、あの涙が悲しみから来る物ではないのは分かる。
「あぁ、もう! と、とにかく大会行くわよ! 大会!
この決勝戦! 必ず勝利してやるわ!」
「あぁ、相手はファース女学園、相手にとって不足なしだ」
「そうだね、やろう!」
俺達は会場に入り、決勝の開始を心待ちにする、そして。
「それでは! 第10回! スポーツ戦争決勝戦を始めます!
対戦するのは前大会の優勝者、伝説が率いるトロピカル女学園!」
「よし、やるか」
「対するは! 前回、ギリギリの所で敗北した前大会準優勝校!
前大会の雪辱を晴らすため、この場に再び立った! ファース女学園!」
「今回は私達が勝つよ、もう掌の上では踊らない、むしろ踊らせてあげるよ」
「今、部長達が握手を交わします!」
「へ、今回もお前らが俺達の掌の上で踊るんだ」
「さっきも言ったよね、今回は君達に踊って貰うよ!」
フェミーと力強く握手を交わした、お互いに力強く。
…今回も俺達が勝つ。
「さぁ、決勝戦を始めます!」
「…今度は、今度こそは、僕達が優勝するよ」
「負けねぇよ、勝つのは俺達だ!」
俺達は別れ際に会話をし、定位置に移動した。
今回のルールは殲滅戦、連係プレーが物を言うルールだ。
人数は60対60、夏期合宿の時よりも多い。
「始め!」
「よっしゃ! 行くぞ!」
「おぉー!」
へへ、最高のゲームにしよう!
俺達は長く考えた布陣を展開し、迎撃態勢を整えた。
俺の相方はミロル、ベストマッチだ。
そして、そのまましばらくの間待機していると、足音が聞えてきた。
「ん、来たっぽいな」
俺達は潜伏を目指していたであろう相手部員を飛び出し、排除した。
「うぅ…」
人数は3人、どうやら少数で潜伏するという作戦らしい。
「おっと!」
その3人を排除したと同時に、別方向からの攻撃が飛んで来た。
その攻撃を擦らせながら、俺はすぐに身を隠した。
隠れた直後、すぐに隠れた木から飛び出し、弾丸が飛んできた場所を狙い
敵を発見し、引き金を引き、2人撃破した。
「リオ、ほら!」
「サンキュー!」
俺の背後から攻撃を仕掛けようとしていた部員をミロルが倒してくれた。
「っと!」
「懐かしいわね、これ!」
「あぁ! 楽しもうか!」
「えぇ!」
そのまま俺達2人はこちらに向かってくるファース女学園の部員を排除。
その場を維持しながらゆっくりと攻め上がり、防衛陣を突破されずに維持し
持久戦に持ち込み、俺達が勝利することが出来た。
「よっしゃぁ!」
残ったメンバーはこっちが12人、かなり良い勝負をしたと思う。
「……はは、あっさり負けちゃった、やっぱり勝てないなぁ。
それにしても、君達2人、随分と楽しそうにしてるじゃ無いか」
「まぁな、色々と吹っ切れた」
「ふふん、まぁ、私達は最強コンビだからね」
「全くだよ、死角がない、本当にすごいよ、でも、次回は今度こそ私達が勝つ!」
「いや、次も俺達が圧勝だよ!」
俺とフェミーはお互いに強く握手をした。
開始直前よりも力強く…次も俺達が勝ってやるよ!
最強コンビがより最強になったんだ…負けねぇっての!
長く続いたシリーズもついに終わり、達成感を感じます。
これで転生幼女シリーズは終了しますが
新しい作品や未完の作品を書いていくので、別作品もよろしくお願いします!
では、またお会いしましょう!




